受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

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 高学年になってから算数でつまずかないようにするには、思考力を高めていくことがポイントとなります。そのためには、低学年のうちに、どのような学習姿勢を身につければいいのでしょうか。東戸塚校校舎責任者の佐々木楽先生にアドバイスを頂きました。

第94回 「算数の思考力を高める学習姿勢とは?」回答者/東戸塚校校舎責任者・佐々木 楽先生

失敗を恐れずにどんどん手を動かして、 精いっぱい試行錯誤する

 中学入試の算数では、典型的なパターンに当てはまらない問題や、さまざまな複合問題が数多く出題されます。そのような問題を解くには、試行錯誤しながら粘り強く取り組んで、考え抜く思考力が求められます。
 そうした思考力を育むには、その土台となる正しい学習姿勢を低学年のうちに身につけておくことが大切です。そこで、授業においても、家庭学習においても意識してほしいのが「手を動かしながら考える」ことです。
 これは全学年に共通して見られる傾向ですが、授業中に問題演習をする際、制限時間ぎりぎりまで式や図をかいて問題と向き合う生徒がいる一方で、最初からあきらめてしまい、ただ講師の解説を待っているような生徒もいます。正解者がほとんど出ないような難問だとしても、「解いても不正解になるから意味がない」「解説を覚えればいい」という考えでは、思考力を高めることはできません。
 家庭学習でも同様です。すぐに解説を見ようとしないでください。まずは決めた時間のなかで、精いっぱい考えてみましょう。算数の授業では単元ごとに、線分図・面積図や表をかいて考える方法と、式の立て方を学んでいるはずです。そんな「問題を解くために必要な手の動かし方」を実践してください。
 初めはただ書き出すだけでも、当てはめてみるだけでも構いません。結果的に正解できなくても試行錯誤することで、その問題や単元におけるつまずきやすい箇所がわかるようになります。だからこそ、失敗を恐れずにどんどん手を動かしていきましょう。
 考え抜いた結果、それでも理解できなかったものについては、自分で解説を見たり、先生に質問したりして、理解を深めてください。その際に注意してほしいのが、「わかったつもりにならない」ことです。答えや解き方を確認した後は、手を動かしてノートの上にそれを再現したり、家族に口頭で説明したりしましょう。そうすることで、学んだことがしっかりと定着し、思考力が磨かれていきます。

効率的な解き方のみを追い求めない 算数嫌いにならない工夫を取り入れながら学習を

 さらに、大切にしてほしいのが、「一つの解き方にとらわれない」ことです。高い思考力を必要とする問題は、解き方が一つとは限りません。たとえば、ある問題にA・B・Cと、大きく3通りの解き方があったとします。このうちAが最も効率の良い解法で、B、Cの順に効率が悪くなっていく場合、「Aの解法だけ知っている」という生徒と、「3通りの解法を知っていて、そのなかで最も効率の良いものがAであることを知っている」という生徒とでは、結果は同じ正解であったとしても、本質的な算数の力には大きな差が生じています。効率的な方法ばかりを追い求めては、試行錯誤をしなくなり、確かな思考力が身につきません。遠回りな解法であってもそれを知ることで、なぜAの解法が最短で解けるのか、その理由もより明白になって思考力が深まります。
 こうした学習姿勢を低学年のうちから養うには、算数が嫌いにならないようにすることが重要です。そこで、保護者の方には「ほめる・見守る」ことを心掛けていただきたいと思います。試行錯誤した結果、たとえ間違えていたとしても、考え抜いたことをほめてあげてください。また、お子さんが一生懸命考えているのであれば、いくらでも考えさせてあげましょう。解くのに苦労すればするほど、解けたときの喜びは大きくなります。一度、苦労して解く喜びに気づいてくれたら、算数嫌いにはならないはずです。
 併せて、常に小さな目標を立てながら学習を進めていくこともお勧めします。「1週間の復習テストで満点を取る」「基礎力トレーニングで全問正解する」というように、クリアしやすい目標を立てて、達成感を味わいながら算数を楽しんでいきましょう。時には保護者の方と競い合って問題を解くのも、おもしろいかもしれません。算数を楽しむ工夫を上手に取り入れながら、正しい学習姿勢を身につけて、思考力を高めていってほしいと思います。

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