受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ何でも相談室

 塾で学習する受験生のなかには、小学校の授業を軽視して、結果として小学校の教科書の内容をあまり把握していない人がいることもあるようです。しかし、中学入試のエッセンスは、教科書に凝縮されているので、しっかり読むことが大切です。そこで今回は、下高井戸校校舎責任者に、主に理科の入試問題を具体例にして、その大切さを語っていただきました。

第101回「軽視しないでほしい小学校の教科書。その理由とは?」回答者/下高井戸校校舎責任者

教科書に掲載されている内容が
入試問題の題材になることが多い

 小学校の授業や教科書を、おろそかにしないようにしましょう。サピックスの授業のほうが速く進むこともあるため、すでに学んだ内容を一から聞くことは、初めて学ぶときより忍耐力が必要かもしれません。しかし、集中して授業を受け、教科書もじっくりと読んでみましょう。そうすることで、塾で学んだ知識を補完することができます。
 一方、中学校の先生方も、小学校の教科書を見て、今の小学生が学校でどんなことを学んでいるのか、どんなものに触れているのかを確認しながら入試問題を作っている可能性が高いので、できれば隅々まで読んでみてほしいと思います。1月の入試直前期に、「家庭学習で何をすればいいのか」という質問をよく受けますが、理科については、「教科書を振り返るのも一つの方法です」とお伝えすることがあります。それほど教科書の内容はとても大切なのです。
 たとえば、生物の問題については、女子学院中の入試でモンシロチョウやアゲハの幼虫とさなぎの特徴について解答したり、成虫の姿をイラストから選択したりする問題が出題されたことがあります。モンシロチョウやアゲハは、多くの学校の入試で取り上げられる題材ですが、ほとんどの出版社の教科書に写真付きで掲載されています。特に形や大きさを問う問題については、教科書をよく見ていた受験生にとって解きやすい問題であったはずです。
 また、慶應義塾普通部では、カラスノエンドウの葉の様子を作図させる問題が出題されたことがあります。マメ科であるカラスノエンドウの葉は、小さな葉が左右に1枚ずつ並んでついているように見えるとても特徴的な葉なので、実物や写真を見たことがあるかどうかが決め手となります。カラスノエンドウについても、出版社にもよりますが、教科書に写真や絵が掲載されている生き物です。もちろん道端や、小学校の植え込みにも生えているような植物なので、実物を目にした経験があるかもしれません。このように、入試問題の題材になる生き物は、教科書でクローズアップされているものが多いのです。
 生物以外では、たとえば塩化鉄を取り上げた出題がしばしば見られます。塩化鉄とは、塩酸と鉄の化学変化でできた物質です。塩酸にスチールウールを入れると、泡を出しながらとけていきます。そして、とけた後の液を蒸発皿に入れ、熱して水分を蒸発させると、黄色の粉が残ります。これが塩化鉄で、鉄とはまったく違う物質です。実際の入試では、蒸発皿に残った粉の色などがしばしば問われます。一見、細かな知識のように思えますが、実はこれも実験における注意点などを含めて、教科書に写真付きで詳しく掲載されているのです。

ほかの教科も同様に
教科書をきちんと読んでほしい

 教科書をきちんと読んでほしいのは他教科も同様です。たとえば社会では、参考書などであまり取り上げられない内容について、教科書に載っている図がそのまま入試問題に使われることもあります。また、近年注目されている情報化の進展に関する話題や、災害に関する内容も、教科書では幅広く取り上げられています。そうした内容も大いに参考になります。国語についても、教科書に掲載されている文章をしっかり読んでください。さまざまな文章を読んで読解すること自体、国語の受験勉強に大いに役立つからです。このように、入試本番で役立つ有効な内容が教科書には詰まっているのです。それをきちんと読まないのは、もったいないことだといえるのではないでしょうか。

ページトップ このページTopへ