受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ何でも相談室

 算数では、式や図など、答えに至るまでの考え方をかかせる問題が出題されることもあります。このため、「ふだんから途中式や図をかこうとしない。今後、影響が出ないだろうか」と不安を感じるご家庭も少なくないようです。そこで今回は、千葉校校舎責任者の谷口謙介先生にアドバイスを頂きました。

第105回「算数で途中式や図をかくときの注意点」回答者/千葉校校舎責任者・谷口 謙介先生

かかない理由は、「かく必要を感じていない」と 「かき方がわからない」の二つ

 入試において、算数の問題では、解答用紙に答えだけでなく、式や図、考え方をかかせるものが出題されることがあります。主な理由としては、中学校の先生が受験生の「思考の過程を見たい」「他者が見ても理解できる解き方を、表現できるかを測りたい」などが考えられます。また、式や図、考え方をかかせる問題で最後まで解けなかった場合でも、論理的に考えることができていれば、部分点を与えることもあります。
 このように、入試本番を考えれば、「ふだんの授業やテストでも、かかないより、かいたほうがいいのでは」と思う保護者の方もいることでしょう。お子さんが途中式や図、考え方を頻繁にかかないタイプならなおのこと、不安を感じるかもしれません。
 お子さんが途中式や図をかかない理由としては、大きく「かく必要を感じていない」「かき方がわからない」の二つが挙げられます。まず、「かく必要を感じていない」は、それほど心配することはありません。たとえば、4年生は初夏に「つるかめ算」を習い、授業で面積図を使った解き方を学びますが、問題の仕組みを理解したお子さんは、面積図をかかなくても頭の中で解いてしまうことができます。このように、「かく必要を感じていない」については、その単元をしっかり理解していることが多いので、4・5年生のうちは特に問題はないでしょう。
 これに対して、「かき方がわからない」は、その単元の理解が不十分であることが考えられます。式や図をかくということを意識するよりも、ふだんの授業ノートを見直したり、解説を読んで再現してみたりするなど、まずは内容の理解に重きを置いた学習をするようにしましょう。

筆算を使わないことが計算ミスを減らす場合も。 工夫しながら計算する力を高めてほしい

 続いて、「ふだんから途中式や図をかく」というお子さんに対してのアドバイスです。解き方がわかる場合は、教材やテスト用紙の設問と設問との間にある余白などに、上から下へ、または左から右へと順序立ててかいているかと思います。一方で、初めて解くような問題では、手を動かして試行錯誤した結果、余白のあちこちに式や図をかいて、煩雑になってしまうことはないでしょうか。これでは後で見直すときにわかりにくいので、正解だった場合でも、式や図の流れを整理しながら、もう一度解いてみましょう。その問題に対する理解度が高まります。
 また、「順序立ててかくのが苦手」「字が汚い」といった場合は、ミスにつながることもあるので、ある程度の改善が必要です。最初は「この教材だけはきれいにかく」と限定して、徐々に範囲を広げていくようにしましょう。すべてをきれいにかこうとすると負担が大きく、モチベーションが下がることもあるので、欲張らずに一歩ずつ取り組んでください。
 加えて、「すべてをかかない」ことも大切です。すべての計算を筆算で解けばいいということでもありません。筆算は「計算がしやすい」という利点が当然ありますが、その一方で、かく量が増え、かき間違いをして計算してしまう可能性も高くなります。このため、筆算しなくても解けるように、工夫していくことが重要です。
 たとえば、4年生の秋に「円とおうぎ形」という単元で、3.14という円周率のほか、円周の長さや円の面積を求める公式を学びます。半径3㎝の円であれば、円周は「(3+3)×3.14=18.84㎝」と、面積は「3×3×3.14=28.26㎠」と求めることができますが、円周率を使う計算は、九九のように覚えてしまうのが効率的です。10までの数値のほか、よく使う16・25・36といった数値まで、3.14をかけたら、どんな値になるのかを反射的に答えられるようにしましょう。筆算での計算が減り、計算ミスも減ります。
 このほか、計算の工夫としては、ある数に99を足す場合、100を足してから1を引いたほうが楽です。これなら暗算でも正確に答えられるでしょう。式や図をかくことも大切ですが、状況に応じて筆算や暗算を使い分ける力も大事なのです。4・5年生のうちはこうした力を養うように、学習を進めてほしいと思います。そうした土台に、6年生の後期から繰り返し過去問演習に取り組んで、志望校の入試形式に慣れる経験を積んでいけば、本番で十分に対応できるようになるでしょう。

ページトップ このページTopへ