受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

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 社会の記述問題というと、初めから「難しい」というイメージを持ってしまい、敬遠しがちになるのではないでしょうか。しかし、少しだけ手間をかけて、しっかりとトレーニングを積んでいけば、社会科全体の理解を深めることにもつながります。記述問題を利用する際に、どのような工夫をして学習すればよいのか、高田馬場校校舎責任者に伺いました。

第123回「社会の記述問題に
どのように取り組めばよいか」
回答者/高田馬場校校舎責任者

「記述は特別なものではない」
口頭での説明こそ記述力のもとになる

 「記述は特別で難しい」と構える必要はありません。まずは、どんなことでもいいから書いてみることです。記述問題に取り組むときに、「完璧な解答を書かなくてはいけない」と考えてしまい、自信がないと、何も書かずに自分で×を付けて、ただ解答例を写すだけになっている生徒もいます。それでは、根本的に理解することにはつながらず、少し切り口を変えた問題が出ると、まったく歯が立たなくなってしまいます。
 社会科の学習で大切なのは、「これは何?」「なぜだろう?」という疑問を持つことです。サピックスの授業でも、講師が疑問を投げ掛けて、生徒に“とりあえず”でもいいから答えてもらうようにしています。その答えに対して、さらに「それはどういうことだろう?」と質問し、ほかの生徒に答えてもらう、ということを繰り返して、一つの解答をみんなで作り上げていきます。記述においても同様で、途中まででも構わないので、少しでもわかることを書いてみることが理解への一歩になります。そこから講師が少しずつヒントを与え、生徒が自分で考えながら解答に近づけていくのです。実際に手を動かして書く機会を与え、書くのが「特別なこと」にならないようにするとよいでしょう。
 ご家庭でもふだんの会話のなかで、保護者の方が「これは何?」と疑問を投げ掛けて、お子さんに説明してもらうようにしてください。お子さんが答えたことに対して、「この後はどうなったの?」などと、さらに深く突っ込んで質問をしていき、その答えをつなげると、記述問題の解答のような文章ができ上がるでしょう。会話をすることが好きで、保護者にわかるように説明しようとしているお子さんは、記述力の素地ができていると思います。

記述問題に上手に向き合うことが
知識の正確な理解にもつながる

 社会の記述問題では、テキストで太字になっている重要な用語をうまく当てはめて文章にしていくケースが多く見られます。ほかの人に伝わるように説明するためには、用語の意味を正確に理解していなくてはなりません。
 たとえば、「日本経済は急成長を遂げたが、1970年代になると伸び悩んだのはなぜか」という問題に、「中東」「石油危機」「価格」という語句を使って答える場合、少しわかっている生徒は「中東で発生した戦争が原因で石油危機が起こって、石油の価格が上がったから」と書きます。しかし、石油の価格が上がって社会が混乱したことが「石油危機」であるので、これでは「石油危機」という重要な用語を正確に理解できていないことになります。用語をただ丸暗記するのではなく、その原因や影響と併せて「どういう出来事なのか」をきちんと理解するきっかけになるでしょう。
 記述問題に取り組むと、このようにお子さんがどこまで理解しているのかをチェックしやすくなります。正確に理解できていなかった用語は、テキストや資料集などを使って自分で調べてみるとよいでしょう。そうすれば、記述力を磨くことが知識の正確な理解につながり、記述以外の問題にも役立ちます。
 家庭学習では、一目見ただけではまったくわからない問題であっても、保護者の方が解答例のなかからいくつかお子さんにキーワードを教えたうえで、書かせてみてください。解答例はシンプルな文章で説明してあるので、さらに詳しい説明をつけ足すなど、欲張ってみるとよいと思います。「お子さんが解答例を写すだけ」よりも当然手間はかかりますが、そのような練習を積むことで、着実に力がついていくはずです。また、用語の漢字を間違えたり、わからなくてひらがなで書いたりしてしまった場合でも、記述の文脈のなかでキーワードを理解できれば、漢字の意味を意識しながら用語を書こうとするようになるかもしれません。
 選択式の問題では「〇」か「×」かが決まってしまいますが、記述問題は書けば部分点をもらえる可能性があります。「間違いから正しく覚える」のはむしろ良いことと考え、記述問題にも意欲的にチャレンジして、間違えても恥じることなく、逆にチャンスととらえて、正確な理解につなげていってほしいと思います。

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