受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

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私立・国立との違いは? 適性検査って何?

 公立中高一貫校は、学校教育法の改正によって1999年に制度化されて以来、次々に開設され、現在は全国に100校以上設置されています(連携型を除く)。首都圏でも都立の伝統校が相次いで一貫校に改組。難関大学への合格実績でも一定の成果を残しており、中学受験の選択肢の一つとして、多くの受検生を集めています。ここでは、公立ならではの特徴のほか、入学者の選抜方法とその受検対策について紹介します。

応募倍率の高い公立中高一貫校
大学合格実績も人気の要因に

 現在、首都圏(1都3県)には全部で23の公立中高一貫校があり、いずれも多くの受検生を集めています。特に千葉県の学校は応募倍率が高く、2021年度は、県立東葛飾中が10.3倍、県立千葉中と千葉市立稲毛高等学校附属中がそれぞれ7.6倍となっています。なお、市立稲毛高等学校附属中は、来年度から高校募集をやめ、市立稲毛国際中等教育学校として新たに開校します。公立校としては、県内初の完全中高一貫校となります。

 神奈川県を見てみると、県立相模原中等教育学校が7.0倍と、昨年度に引き続き県内トップの倍率に。また、横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校附属中も、それに迫る6.7倍という高い倍率となっています。

 埼玉県では、さいたま市立浦和中が7.0倍、県立伊奈学園中が5.0倍、さいたま市立大宮国際中等教育学校が3.9倍となっています。2021年度に新設された川口市立高等学校附属中学校の応募倍率は7.3倍という高倍率に。注目度の高さがうかがえます。

 東京都で最も高い倍率だったのは、都立両国高等学校附属中の7.0倍で、これに都立桜修館中等教育学校(6.2倍)、都立白鷗高等学校附属中(6.0倍)、都立大泉高等学校附属中(5.9倍)が続きます。

 なお、2021年度から高校募集を停止し、中学校の募集定員をそれまでの120名から160名に増やした都立富士高等学校附属中と都立武蔵高等学校附属中は、それぞれ前年度の5.2倍から3.2倍、4.3倍から3.2倍と倍率が低下。2022年度には、都立大泉高等学校と都立両国高等学校が、2023年度には、都立白鷗高等学校が高校募集を停止し、附属中の募集定員を拡大します。これらの3校でも、競争の緩和が予想されます。

 さて、各校の人気に影響を及ぼすのは、私立と同様、難関大学への合格実績です。今春の東大の合格者数(浪人を含む)※を見てみると、県立千葉高等学校(19名)、都立小石川中等教育学校(18名)の2校が2桁の合格者を輩出。特に、都立小石川中等教育学校は、前年比8名増、加えて前年度に引き続き、全員が現役合格でした。このように、公立中高一貫校が一定の進学実績を残していることを考えると、今後も人気は続いていくと思われます。

※併設型の場合は、高校からの入学者の実績を含む。中学からの入学者が卒業を迎えていない学校は除く。

 

首都圏1都3県の公立中高一貫校
(2021年度現在)

開校年 学校名
03年 埼玉県立伊奈学園中学校(伊奈町)
05年 都立白鷗高等学校附属中学校(台東区)
06年 千代田区立九段中等教育学校(千代田区)
都立桜修館中等教育学校(目黒区)
都立小石川中等教育学校(文京区)
都立両国高等学校附属中学校(墨田区)
07年 さいたま市立浦和中学校(さいたま市浦和区)
千葉市立稲毛高等学校附属中学校(千葉市美浜区)
08年 千葉県立千葉中学校(千葉市中央区)
都立立川国際中等教育学校(立川市)
都立武蔵高等学校附属中学校(武蔵野市)
09年 神奈川県立相模原中等教育学校(相模原市南区)
神奈川県立平塚中等教育学校(平塚市) 
10年 都立大泉高等学校附属中学校(練馬区)
都立富士高等学校附属中学校(中野区)
都立三鷹中等教育学校(三鷹市)
都立南多摩中等教育学校(八王子市)
12年 横浜市立南高等学校附属中学校(横浜市港南区)
14年 川崎市立川崎高等学校附属中学校(川崎市川崎区)
16年 千葉県立東葛飾中学校(柏市)
17年 横浜市立横浜サイエンスフロンティア
高等学校附属中学校(横浜市鶴見区)
19年 さいたま市立大宮国際中等教育学校
(さいたま市大宮区)
21年 川口市立高等学校附属中学校(川口市)

首都圏1都3県の公立中高一貫校
 サピックスからの合格実績

学校名 開校年 19年 20年 21年
都立桜修館中等教育学校 06年 5名 12名 8名
都立大泉高等学校附属中学校 10年 3名 3名 3名
都立小石川中等教育学校 06年 37名 35名 35名
都立立川国際中等教育学校 08年 1名 1名 0名
都立白鷗高等学校附属中学校 05年 3名 2名 2名
都立富士高等学校附属中学校 10年 2名 2名 2名
都立三鷹中等教育学校 10年 1名 6名 9名
都立南多摩中等教育学校 10年 0名 0名 0名
都立武蔵高等学校附属中学校 08年 4名 1名 9名
都立両国高等学校附属中学校 06年 2名 5名 3名
千代田区立九段中等教育学校 06年 7名 15名 7名
神奈川県立相模原中等教育学校 09年 1名 3名 7名
神奈川県立平塚中等教育学校 09年 1名 0名 2名
川崎市立川崎高等学校附属中学校 14年 0名 0名 2名
横浜市立南高等学校附属中学校 12年 4名 4名 9名
横浜市立横浜サイエンス
フロンティア高等学校附属中学校
17年 9名 8名 7名
千葉県立千葉中学校 08年 40名 38名 27名
千葉県立東葛飾中学校 16年 21名 18名 18名
千葉市立稲毛高等学校附属中学校 07年 1名 2名 7名
埼玉県立伊奈学園中学校 03年 0名 0名 0名
川口市立高等学校附属中学校 21年 - - 4名
さいたま市立浦和中学校 07年 7名 7名 6名
さいたま市立大宮国際中等教育学校 19年 2名 2名 0名
23校計 151名 164名 167名

経済的な負担は軽い一方
指導体制が未知数の部分も

 公立中高一貫校のいちばんの魅力は、なんといっても学費の安さでしょう。附属中の3年間、中等教育学校でも中学校に当たる最初の3年間は義務教育のため、授業料は無料です。この3年間は給食があるので、昼食の準備の負担も軽減されます。高校の授業料は2014年度から始まった「高等学校等就学支援金制度」によって、年収がおおむね910万円未満(「モデル世帯」の場合)の世帯に、公立高校の授業料に相当する月額9900円が支給されます(国立・私立の高校でも同じ条件で支給。私立の場合は、年収がおおむね590万円未満の世帯では支給額を加算)。

 一般の公立中学・高校と同じ負担で、私立と同じような一貫教育を受けられるので、多くの保護者の方が公立中高一貫校に魅力を感じるのも納得できます。このため、私立校を第一志望にするご家庭が公立校を併願するケースは珍しくなく、公立中高一貫校を第一志望にする、もしくは私立は受けず、希望する公立中高一貫校に不合格なら地元の公立中学に進学させるという方針のご家庭もあります。

 ただし、私立校と違って、さまざまな決定事項が行政に委ねられているため、カリキュラムや選抜方法などに学校現場の意向がなかなか反映されないという面もあります。またコロナ禍においては、私立に比べると公立は対応が鈍く、オンライン授業が進まなかったという報告もあります。入学後に後悔することのないよう、きちんと情報を集め、検討することが大切です。

学校ごとに定められた
独自の教育内容に注目

 主な学校の教育方針や独自の取り組みを見てみましょう。

 まず、都立小石川中等教育学校や都立両国高等学校附属中などは、グローバル時代に対応しようと、国際理解教育が充実しています。海外での研修のほかに、オンライン英会話やディスカッションなど国内での国際交流プログラムによって、高い語学力とグローバルな視点を養っています。

 また、千代田区立九段中等教育学校や都立武蔵高等学校附属中は、中高6年間を通してキャリアデザインに関する支援態勢を整えています。早期に進路についての意識や関心を高めるため、「職場訪問・体験」「進路講演会」を行うなど、主体的に進路を選択できる生徒を育てています。

 都立白鷗高等学校附属中は、日本の伝統文化を積極的に取り入れた多彩な教育が特徴です。中学で行う地域めぐり、高校での地元の伝統的行事への参加など、地域との連携により伝統や文化に触れる貴重な機会をつくっています。

 チューター制度を取り入れている学校もあります。都立桜修館中等教育学校では、指導員として現役の東大生などが平日は夕方5時から7時まで、土曜日は午後1時から4時まで常駐。学習指導をするほか、大学生活や受験勉強の方法など、さまざまな質問に答えてくれます。

 また、県立千葉中では、各教科をバランス良く学ぶカリキュラムを編成し、独自の授業を展開。総合的な学習の時間では、実社会への共感力、社会貢献の志を育て、社会の中で自己実現を遂げる意欲を高める「プロジェクト」を実施しています。

 このように、公立校でも、中高一貫校は学校ごとに独自の特色を打ち出しています。志望校を選ぶ際は、教育方針やカリキュラムをしっかり確認してください。

21年10月号「そこが知りたい!」シリーズ Vol.4:
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