受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート特別編

柳沢幸雄先生による特別講演

「コロナ禍・下」の子育て

増えた家庭時間を好機ととらえ、
自己肯定感を高める働きかけを

 6月11日(木)、開成中学校・高等学校の前校長で、現在は北鎌倉女子学園の学園長を務める柳沢幸雄先生のオンラインによる特別講演が行われました。テーマは「コロナ禍・下の子育て」。この講演はオンライン会議アプリを用いて行われ、画面にスライドを映しながらお話が進みます。

 柳沢先生は、ハーバード大学公衆衛生大学院にて研究や指導に長年従事してきた、環境健康学の専門家でもあります。その視点から、世界的に猛威を振るっている新型コロナウイルスの特徴や、未来を予測することの難しさについて触れました。

 「未来を事細かに予見することは難しいが、現在のすう勢からおぼろげながら見えてくることもある」として、国内の在留外国人や海外駐在邦人の数が右肩上がりに増加しているグラフをスライドに表示。「今後も社会の多様化が進むことは間違いない」と分析します。

 その次に映し出されたのは、内閣府が2018年に日本を含めた7か国の満13~29歳までの若者を対象に行った意識調査の結果です。「自分自身に満足していますか」という問いに対して、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた若者の割合は、アメリカが87.0%、イギリスが80.1%、韓国が73.5%なのに対し、日本は45.1%。日本の若者の自己肯定感が際立って低いという結果に、柳沢先生は「これからは、自信あふれる世界の若者と渡り合わなくてはならない時代。自己肯定感を養い、自信を涵養することこそ真の国際教育」と強調します。

 なぜ日本の若者の自己肯定感は低いのでしょうか。その理由として挙げたのは、親すなわち「大人の自己肯定感の低さ」です。「子どもは親の鏡。親が自信なさげにしていれば、子どもの自己肯定感が育まれないのは当然のこと」なのです。

 子どもが家庭で過ごす時間が増え、保護者の役割が高まっているこの状況下では、特に、「大人が自信を持って子育てをすることが大切」と柳沢先生は考えます。休校が長引き、対面授業が満足に再開されないこの状況では、保護者に焦りが募るのも不思議ではありません。しかし、柳沢先生は「子どもに最も悪い影響を与えるのは、親のいら立ち」と警告したうえで、「できないことを嘆くより、できていることに目を向けてください。置かれた状況の中で、相対的に望ましい選択を重ねていけば、おのずと良い方向に向かっていくはずです」と、コロナ禍の子育てに悩む保護者にエールを送りました。

 そして、「長い目で見れば、子どもが親元で過ごす時間はとても短いもの。しかし、このような状況に陥ったことで、以前より多くの時間を子どもと過ごせるようになりました。これを好機ととらえ、お子さんと一緒に何かに取り組んでみてください。そして、大人自身が学ぶ姿勢を示してください。そうすれば、子どもたちは、特別なことばを掛けなくても自己肯定感を伸ばし、学びを楽しむようになるはずです」と結びました。講演終了後は、質疑応答の時間が設けられ、ミスに向き合わない子どもへの接し方や、柳沢先生ご自身の今後の展望など、保護者から寄せられた質問に、ていねいにお答えになりました。

イメージ写真 講演中の柳沢先生

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