受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

女子美術大学付属中学校

2020年12月2日(水)

専門的な美術教育と教科横断型の学びを柱に、教育改革を推進

 「芸術による女性の自立」をめざして1900年に創立された女子美術学校(現・女子美術大学)。1915年に女子美術学校附属高等女学校が開校し、1951年に現在の女子美術大学付属高等学校・中学校となりました。同校では「美術をとおして、我が国の文化に貢献する有能な女性を育成する」という教育理念を実践するため、美術教育のパイオニアとしてさまざまな改革を推進しています。

 この日、オンラインで開催された説明会で校長の石川康子先生は、同校を受験するための唯一の条件として、入学後の力となる「『ものづくりや、絵を描くことが大好き』という思いを持ち続けられること」を挙げ、「本校は中学入試ではあえて実技試験を行いません。『美術が大好き』という思いさえあれば、小6の段階で技能が伴わなくても、中高6年間でしっかりと伸ばしますのでご安心ください」と語り掛けました。

 中学校では、文部科学省が定めた教科・科目の授業に加え、高校・大学への一貫性を考慮した美術の授業を週4コマ実施しています。高校は「知性が感性を支える」という美術教育の方針に則り、普通科(普通課程)となっています。美術の授業については、高1では週7コマ(絵画2、デザイン2、工芸・立体2、美術史1)あります。「絵画コース」「デザインコース」「工芸・立体コース」に分かれる高2以降は、それぞれ週10コマ設定されています。石川先生は「本校の美術教育は、アトリエに通わずとも表現力を磨けるカリキュラムが特徴です。高3生は東京都美術館で開催される卒業制作展に向けて、2学期の後半から卒業式直前まで心を込めて芸術性の高い作品を制作します。美術を学ぶということは、ただ好きなものを描いたりつくったりすることではありません。試行錯誤を繰り返し、悩みながら創作活動に打ち込み、また制作者の立場から他者の作品を鑑賞します。つまり、美術を学ぶことで多様な個性が育まれるだけではなく、『自己実現力』『他者理解力』も培われるのです」と結びました。

 教育目標に「智の美」「芸(わざ)の美」「心の美」を掲げる同校は、「心が豊かで知性と感性の豊かな調和のとれた生徒の育成」をめざしています。広報部主任の中村晃子先生は、美術と関連した教科横断型の授業を紹介しました。中1の数学では色とりどりの折り紙で多面体を作り、中3の技術家庭では「ハウス模型」を制作します。日本人の英語科の教員とネイティブ教員の2名がチームティーチングで指導する「アートイングリッシュ」は、同校オリジナルの授業です。たとえば中1では、実際に交流が深かったゴッホとゴーギャンの関係性を知識として学び、身につけた英文法を使って、2人がどんな会話をしていたのかを考えます。さらに高校ではモネの作品などについて、場面・色彩・筆遣い・構図・主題などについて英語で鑑賞します。中村先生は「さまざまな教科を生徒たちが好きな美術と合わせることで、学ぶ意欲を引き出しています」と強調しました。

 進路については、卒業生の約90%が美術系の学部に進みますが、そのうち約75%が女子美術大学・同短期大学部に推薦で進学しています。一方、美術系以外の学部・学科を志望する場合は、高3次の美術の授業(週10コマ)をすべて受験に必要な教科・科目に変更できます。その科目は、希望者が1人でもいれば開講されるとのことです。

 次に、美術科主任の遠山香苗先生が美術教育について紹介しました。同校には10室の美術室とCG室が1室あり、18名の美術科教員が本格的な指導を行っています。中学では週4時間の授業を通して「美術が好き」という気持ちを大きく育てるために、風景画・静物画・工作・染物・陶芸・木工などの楽しい課題がたくさん用意されています。高2からは、水彩画・油彩画・木炭デッサンなどの技法や特質を学び、絵画制作の基礎力を高める「絵画コース」、平面構成や鉛筆デザイン、デジタルデザインによる制作を通して基礎力・技術力を発展させ、表現の幅を広げる「デザインコース」、工芸素材の性質や特性を学びながら道具の扱い方を習得する「工芸・立体コース」に分かれて、より専門的に学びます。遠山先生は「高校ではデザインソフトを使用する授業もありますが、中高6年間の美術で重視しているのは『手仕事』です。事象や素材を自分の目でしっかりと観察し、表現する経験を積み重ねていくことを大切にしています」と語りました。

 2021年度の入試については、変更はありません。出題傾向も例年どおりで、国語は記述問題が多く、部分点もあります。理科・社会では、表やグラフからわかることを文章で表現する問題が出されます。「面接は各回3分程度で、4科受験生の面接終了予定時刻は12時30分です。第一志望率が95%以上と高いため、補欠者の繰り上げ合格は例年少なめです」といった説明もありました。

イメージ写真 ICT教育を推進する同校では、オンライン英会話のレッスンなど日々の学習でiPadを使用。生徒たちは作品を保存するツールとしても活用しているそうです

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