受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

世田谷学園中学校

2021年5月22日(土)

今年度から「理数コース」「本科コース」の2コース制を導入

 1592年に開設された曹洞宗吉祥寺の学寮「旃檀林(せんだんりん)」を前身とし、今年創立120年を迎えた世田谷学園は、仏教・禅を柱とした人間教育を実践する難関の男子進学校です。

 この日の説明会の冒頭であいさつに立った校長の山本慈訓先生は、「教育理念である『Think&Share』は、お釈迦様のことば『天上天下唯我独尊』を独自に英訳したものです。誤解して使われることが多いのですが、本来は『この世界で、わたしにはわたしだけが持っているかけがえのない価値がある。同じように、あなたにはあなただけが持っているかけがえのない価値がある』という意味です。本校では、『明日をみつめて、今をひたすらに』『違いを認め合って、思いやりの心を』をモットーに、自立心にあふれ知性を高めていく『智慧の人』、喜びを多くの人と分かち合える『慈悲の人』、地球的視野に立って積極的に行動する『勇気の人』を育てています」と話しました。

 続いて、今年度からスタートした「理数コース」と「本科コース」の2コース制について説明がありました。社会のニーズに応えて設置した理数コースは、中1から理数系のカリキュラムを充実させ、科学的思考力を育成します。一方、本科コースでは、じっくりと幅広く学び、多様な体験を重ねたうえで高2以降は文系・理系に分かれます。

 中1・中2の前期には、コース別に「土曜プログラム」を開設し、2時間連続の授業などで知的好奇心を刺激します。また、本科コースでは、習熟度別に細かくクラスを分けた英語の授業のほか、「星新一賞」に挑戦したり、文学散歩や世田谷線沿線の散策に出かけたりするなど、多彩なアクティブラーニングを予定しています。理数コースでは本物に触れる実体験を重視し、「サイエンスプロジェクトⅠ(自由研究)」のほか、学校外で稲作体験や自然探究会なども催されます。

 中期(中3・高1)以降は、海外研修など、国内外の多様な文化や価値観に触れる機会を設けるとともに、将来に向けた学力も高めていきます。本科コースは中3から特進クラスを編成し、効果的な学習指導を行います。理数コースでは専門的な研究を行う「サイエンスプロジェクトⅡ・Ⅲ」や医療系ゼミなど、進路を見据えたプログラムが実施されます。山本先生は、「どちらのコースでも、頭の柔らかい時期に、体と心を使って学ぶ楽しさを実感させます。そうした経験を重ねることで、みずから知性を高められるようになるのです」と強調します。

 慈悲や勇気を育む根幹となっているのは、校内にある禅堂での「坐禅」です。「多くの生徒が、『坐禅をするとスッキリする』と言います。自分を見つめ、ただひたすら座ることで、余計なものにとらわれていたことに気づき、心が自由になるのです」と山本先生は語りました。

 次に、広報部副部長の糟谷肇先生が学校生活について紹介しました。毎年9月に生徒が主体となって開催される学園祭「獅子児祭」では、中1から中3までが成長段階に応じて芸術やダンスなどのテーマに取り組み、高1以上は、自由な発想でジェットコースター製作などのさまざまな企画を実現しています。また高1では全員参加のカナダ英語研修(約10日間)があり、ホームステイも体験しながら英語力を磨きます。姉妹校のグレンライオン・ノーフォーク・スクール(GNS)とは、30年以上にわたって交流を続けているそうです。糟谷先生は「『学力の3要素』を構築するものは授業だけではありません。行事やイベント活動など、すべてが学びになります。学園を信頼し、視野を広げ、プラス思考で一歩足を踏み出すことが大切です」と結びました。

 2022年度入試では、日程や科目の変更はありません。詳細については、9月以降にホームページで発表するそうです。

イメージ写真 東急田園都市線・世田谷線「三軒茶屋」駅から徒歩10分。60名収容の本格的な禅堂があり、週1コマの「生き方」の授業や、有志による早朝坐禅会などで坐禅を組む機会があります

www.setagayagakuen.ac.jp/ 別ウィンドウが開きます。

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