受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

東京都立小石川中等教育学校

2021年6月3日(木)

6年間を貫く教育活動で、科学的思考力を持ったグローバルリーダーを育成

 東京都立小石川中等教育学校は、前身である東京府立第五中学校の伝統を受け継ぎ、2006年に開校。「立志」「開拓」「創作」を教育理念に掲げ、次代を切り開くグローバルリーダーを育成しています。

 この日のオンライン説明会には、この4月に校長に着任した鳥屋尾(とやお)史郎先生が登壇。「本校では、三つの特色ある活動『小石川教養主義』『理数教育』『国際理解教育』を推進し、その理念の実現をめざしています」と述べました。

 幅広い教養を養う「小石川教養主義」を掲げる同校では、卒業まで文系・理系のクラス分けを行わず、生徒全員が共通の教科・科目を学習します。また、後期課程では、自由選択科目として第二外国語(ドイツ語・フランス語・中国語)を開講しており、4年生(高1)の約7割の生徒がいずれかを履修しているとのことです。また、文部科学省から3期連続でSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の指定を受けている同校では、第一線で活躍している研究者・大学教授を講師に迎えて行うSSH講座「小石川セミナー」が開催されています。そのほかにも、生徒の知的好奇心を高めるさまざまな機会があります。

 同校の「教養主義」を象徴するのが、総合的な学習の時間や、学校設定科目の時間に行われる課題探究型学習「小石川フィロソフィー」です。ここでは、1・2年生(中1・2)で、探究活動の基礎となるスキルを身につけ、3年生(中3)では「プレ課題研究」を通して課題研究の手法を、4年生(高1)では科学的アプローチの手法を学びます。そして、5年生(高2)になると、より高度な課題研究を行い、英語でのポスターセッションにも挑戦。6年生(高3)は、6年間の集大成となる研究成果を学校内外に発信します。鳥屋尾先生は「教科横断的に進められる『小石川フィロソフィー』には、すべての教科の教員がかかわります。課題発見力・継続的実践力・創造的思考力の養成を狙いとしています」と話します。

 一方、「理数教育」では、全生徒が高度な理数系カリキュラムに取り組んでいます。理科では分野ごとに専門の教員が授業を担当し、数学は習熟度別授業が行われ、3年生で高校の内容に入ります。このほか、科学分野で活躍する専門家を招く「サイエンスカフェ」を開催し、放課後や土曜日に実験室を開放する「オープンラボ」で自主的な研究活動を支援しています。国際的な活躍も視野に入れ、イギリスのカーディフ大学で最先端の研究に触れる「海外サイエンスプログラム」(4・5年生)、英語での発表をフォローする「ライティングワークショップ」(5年生)も実施。東京農工大やお茶の水女子大と連携した研究活動も進め、毎年、多くの生徒が国内外の科学コンテストに挑戦して優秀な成績を収めています。

 「国際理解教育」にも力を注ぎ、今年4月には東京外国語大とも高大連携の協定を締結しました。数学と同様、英語でも少人数での習熟度別授業を行い、オンライン英会話(3・5年生)を導入して、総合的な英語力を育成しています。3年生の海外語学研修ではオーストラリアで2週間のホームステイを経験し、5年生では海外修学旅行でシンガポールとマレーシアを訪れます。また、昨年度からは、海外での進学や活動についての話を聞くオンラインでの「グローバルカフェ」もスタート。生徒たちは、多彩な国際交流のプログラムを通してグローバルマインドを育んでいるそうです。

 同校は、今春、東京大に18名の合格者を輩出するなど、毎年難関大学にすばらしい合格実績を挙げています。しかし、鳥屋尾先生は「本校は、大学進学だけを目標にした学校ではありません。知的好奇心が旺盛で、積極的に新しいことにチャレンジする、そんな子どもたちに入学してほしいと願っています」と強調しました。

イメージ写真 1年生の生物の授業の様子。物理・化学・生物・地学の各分野の専門の教員が担当し、観察・実験を中心としながら科学的な事象に対する疑問を持たせる授業を行っているのが特徴です

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