受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

実践女子学園中学校

2021年6月11日(金)

持続可能な世界の実現に貢献するために必要な「実践力」と「感性」を育む

 「堅実にして質素、しかも品格ある女性の育成」を建学の精神とする実践女子学園は、近代女子教育の先駆者・下田歌子によって1899年に創設された伝統校です。渋谷駅から徒歩10分、表参道駅から徒歩12分という、通学に便利で、かつ閑静な文教地区に立地しています。緑豊かで広々としたキャンパスには、蔵書が8万5000冊で、ICT関連設備を備えた図書館をはじめ、充実した施設・設備が整っています。

 説明会の冒頭、校長の湯浅茂雄先生は、「未来を主体的に生き、社会を支え、発展させる人材育成のための教育」として、同校が力を入れていることを三つ挙げました。一つ目は、長い人生を心豊かに生きるための「感性表現教育」。二つ目は、社会・世界・未来に向けて、主体的な学びを身につける「探究教育」。三つ目は、少子高齢化がますます進む未来の日本で、諸外国からの文化・習慣の異なる人材と協働するのに必要な「グローバル教育」です。同校ではこの三つを教育の柱とし、創立者の教育理念を現代に受け継ぎながら、さまざまなプログラムを実践しているとのことです。

 また、湯浅先生は、創設者の信念を表す「揺籃(ようらん)を揺るがすの手は、以てよく天下を動かすことを得べし」ということばを紹介しました。「これは『赤子が眠るゆりかごを揺らす愛情に満ちた手で、社会を、世界を、変える』という気概で学び、実践せよという教えです。これからも、創立者が唱えた教育の原点を継承しつつ、持続可能な世界の実現に貢献するために必要な『実践力』と『感性』を備えた人材を世に送り出していきます」と結びました。

 続いて、教頭の財前雅代先生が、湯浅先生が挙げた教育の三本柱についてさらに詳しく説明しました。まず、「感性表現教育」では、日本の文化を通して生徒たちの心を育てます。たとえば中1での『日本文化実習』は、茶道・華道(桂古流)・華道(小原流)・筝曲(山田流)・筝曲(生田流)・和装着付・仕舞のなかから一つを選び、1年間学ぶものです。また、中1と高3では礼法の授業を行いますが、これは美しい所作やことば遣いを身につけ、人とのかかわりを大切にできる女性を育てるのが狙いです。次に「探究教育」では、中1~高1の総合的な探究の時間で「未来デザイン」という科目横断型の授業を展開しています。「共生」「共感」「違いを知る」という観点から、「社会」「環境」「国際・異文化理解」の三つのテーマについて、関連するSDGs(持続可能な開発目標)の視点を学ぶものです。そして、「グローバル教育」では、文化継承の意義を知り、世界に目を向け、教科教育で身につけた言語ツールを武器に、自分と他者の違いを楽しむ「地球市民」の育成をめざしています。そのためのプログラムとして、留学だけでなく校内における研修や異文化交流行事も実施し、生徒たちの成長をサポートしています。

 また、推進しているICT教育については、担当の小川貴章先生より説明がありました。同校では昨年度から、生徒には自由にコンピューターを活用させることを基本に、自分専用のコンピューターを学校に持ち込むBYODを実践してきたため、さまざまなソフトが学びに用いられています。昨年春の新型コロナウイルス感染症の流行による休校期間中も、先生方が作成した動画を配信したり、授業や個人面談などをオンラインで行ったりと、さまざまな場面で活用しました。

 説明会の途中では、企業からのミッションに対し、グループでアイデアを出し合ってプレゼンテーションを行う「クエストエデュケーション」の2021年全国大会で、大和ハウスの企業賞を獲得したグループ3名による発表が行われました。その全員が帰国生ですが、「日本の家はみんな四角い!」という発見から始まったそうです。建築を通してお互いの個性を認め合うという発表内容には、参加者から大きな拍手が贈られました。

 2022年度入試では、定員や試験の難度などが変更される予定です。「詳細は8~9月ごろに発表されるので、学校のホームページでご確認ください」とのことでした。

イメージ写真 2万5000㎡もの広大なキャンパスには、新校舎の桃夭(とうよう)館、体育館、人工芝のグラウンドなど充実した施設がそろっています

hs.jissen.ac.jp 別ウィンドウが開きます。

ページトップ このページTopへ