受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

早稲田中学校

2021年6月14日(月)

「人格の独立」を建学の精神に
〝幅広く学ばせる〟教育を実践

 早稲田大学の創設者である大隈重信の教育理念に基づき、坪内逍遙らによって設立された早稲田中学校は、今年で創立126年を迎えた伝統校です。早稲田渋谷シンガポール校を含め7校ある早稲田大学の附属・系属校のなかでも、最も長い歴史を誇っています。大学の建学の精神が「学問の独立」であるのに対し、同校は「人格の独立」を掲げ、自立心を育てるとともに、一人ひとりの個性を伸ばし、社会に貢献できる人材を育成しています。

 SAPIX代々木ホールで開催されたこの日の説明会において、副校長の金子一朗先生は「早稲田大学の草創期に大学を支えた人たちは、『学生たちを見ていると、中学校(旧制・5年制)などにおいてさまざまな経験を積み重ねてきた者ほど大学で伸びている』と感じたそうです。そこで、〝幅広く学ばせる中等教育機関〟をつくろうと設立されたのが本校です」と同校創設の経緯などについて触れました。そして、「建学の精神の『人格の独立』とは、どのような状況でも逆境に立ち向かい、正しく判断して行動できる心を指しています。こうした人材を育むには、中学・高校で失敗を恐れず、何事にも果敢に挑戦し、あらゆる分野の能力をバランス良く高めることが必要であると考えています」と強調しました。

 そうした教育理念は、同校の教育課程にも表れています。たとえば、高2からクラスは文系と理系に分かれますが、文系であっても数Ⅲのほか物理や化学を学び、理系も、地歴・公民、国語などを必修としています。習熟度別授業などは行っていませんが、ふだんから補習を実施し、理解に遅れが生じている生徒をフォローします。長期休暇中は各学年で希望制の講習を実施し、通常授業よりも発展した内容を学びます。

 アクティブ・ラーニングの一環として体験学習を取り入れているのも特徴です。中1の社会では、テーマごとにグループに分かれて活動する鎌倉研修、高2では、1年かけて計画を練って班別で活動する関西研修を実施。中3の理科では、埼玉県の長瀞で地層や化石を調査する地学実習を行います。いずれの研修でも、生徒は下調べ学習を徹底し、終了後は情報をまとめて、その成果を発表します。ほかにも、社会科の一環として、裁判の傍聴や首相官邸見学など、さまざまなプログラムが実施されています。「こういった経験は社会人になったときに役立つはずです。本校の建学の精神である『人格の独立』にもつながっていくのではないでしょうか」と金子先生は語りました。

「本物の芸術」に触れさせ
社会人としての教養を育む

 「幅広く経験させる」という取り組みは、実技教科にも反映されています。たとえば、音楽では1人1台の電子ピアノを用意。ピアノ初心者と経験者の教材を変えるなどして、全員を無理なく上達させています。また、家庭科教室には、調理の専門学校のような設備が整っています。金子先生は「新型コロナウイルス感染症が流行する前は、年間10回以上の調理実習を行っていました。裁縫の実習では、5分以内にワイシャツのボタン付けができるように訓練するほか、離乳食の試食会を行うなど、育児教育にも力を入れ、健康管理のために栄養学も学びます。一見、無駄に見える授業もあるかもしれませんが、世界中のどこに行っても衣食住を守れるような術を身につけるために、こうした教育は重要だと考えています」と話しました。

 林間学校やサマーキャンプなども行うほか、生徒が運営する体育大会や、興風祭(文化祭)、部活動は中高合同で行うため、学年を超えた交流が盛んです。海外研修制度も整っており、毎年約10名の高1生が、オーストラリアのメルボルン・グラマー・スクールへの18日間の交換留学プログラムに参加しています。

 学年ごとに企画する行事のなかでも、利根川・荒川歩行は同校の名物行事です。これは利根川上流から銚子の犬吠埼灯台までの約200キロを、1回につき20キロくらい歩行し、6年間かけて完歩するものです。このほか、劇団四季の演劇鑑賞や国技館での相撲観戦、歌舞伎鑑賞なども実施しています。これについて金子先生は、「本校では『本物の芸術』に触れる機会を多くつくっています。オペラ鑑賞では、日本で唯一の国立のオペラハウスである新国立劇場に、学生服ではなく、スーツにネクタイを着用して出掛け、芸術鑑賞の礼儀作法も学びます。社会に出ても恥ずかしくない程度の教養は身につけてほしいからです」と述べました。

早稲田大学への進学者は約半数
国公立大学への進学実績も好調

 早稲田大学の系属校ならではのメリットを生かしたプログラムも充実しています。たとえば、高校では早稲田大学の講義を聴講することができ、単位を取得すれば、大学進学後に、卒業単位として認められます。ほかにも、国際教養学部で学ぶ外国人留学生に1対5で教わる少人数実践型の英会話講座、三つの理工学部の実験室で行う理科実験、同校の生徒のために特別に行われる学部説明会、大学と連携したキャリア教育など、さまざまなプログラムが実施されています。

 また、1学年の生徒数約300名に対して、早稲田大学の推薦定員は167名ですが、毎年枠が埋まることはなく、卒業生の多くが、一般受験によって早稲田大学を含むさまざまな大学に進学しています。実際、この3月も、卒業生299名のうち早稲田大学に推薦で進んだのは159名でした。33名が東京大学に、13名が国公立大学の医学部医学科に合格しています。早稲田大学への被推薦権を保持したまま他大学を受けることはできませんが、「生徒の希望進路を実現するために教員全員が全力でサポートしており、現役進学率も高い」そうです。

 新型コロナウイルス感染症の影響下における学校生活については、健康と安全を第一に考えて対応しているとのこと。教室の入り口に消毒液を置くことはもちろん、換気を徹底するため、校内の窓の開閉工事を行ったり、中学校舎の手洗場を増設したりもしたそうです。「10月の興風祭(文化祭)は、今年は開催する予定ですが、状況によっては、オンラインでの実施も選択肢に入れています。昨年は、学校行事のほとんどが中止されましたが、今後はオンラインでの対応をするなど、工夫を重ねて、実施していきたいと考えています」と金子先生は話します。

 最後に、新校舎の建設が2023年竣工予定で進められていることについて説明がありました。新校舎には、理科実験室や図書館、トレーニングジムのほか、多目的スペースなども設置。また、グラウンドを広げ、屋内プールや屋内運動場、柔剣道場を設けるなど、運動スペースを充実させるそうです。金子先生は「新校舎とほかの校舎はすべて廊下で連結します。連結部分にはラーニングスペースを設け、生徒が集える憩いの場として活用する予定ですので、中高生の交流も盛んになるのではないかと思います」と話を結びました。

イメージ写真 東京メトロ東西線「早稲田」駅から徒歩1分の好立地。2023年に竣工予定の新校舎は、耐震性の高い地上6階・地下1階の建物です

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