受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

恵泉女学園中学校

2021年6月24日(木)

聖書・国際・園芸を教育の柱に据え、世界に目を向け、平和を実現する女性を育成

 恵泉女学園は、第一次世界大戦を経験して「広く世界に向かって心の開かれた女性を育てなければ戦争はなくならない」と考えたクリスチャンの河井道により、1929年に創立されました。「聖書」を通して心を磨くこと、「国際」的な視点で世界の多様性を学ぶこと、「園芸」で命を育むことが3本の柱で、さまざまな分野で活躍する女性を輩出し続けています。

 この日の説明会では、学校紹介DVDの上映後、同校の卒業生でもある校長の本山早苗先生が、自分の考えを持ち、発信することのできる自立した女性の育成をめざす同校の教育について説明しました。

 まず、「聖書」では、生徒たちは毎朝の礼拝や聖書の授業を通して、「自分とは何者なのか」について考え、自分らしさを追い求めるとともに、主体性を持って生きていく姿勢を身につけていきます。「国際」では、国や言語・文化の違いを超えて、互いの価値観を受容する姿勢を身につけます。本山先生は「恵泉の国際教育はグローバルリーダーの育成というよりも、世界の平和をつくり出すために貢献できる『ピースメーカー』を育てたいと考えています」と強調しました。そして、同校の特色でもある「園芸」は、自然との共生をめざすものです。仲間と協力して畑を耕し、野菜などを収穫するまでの一連の作業にみんなで取り組むことで協働性を育んでいます。

 そして、4本目の柱ともいえるのが、創立以来力を注いでいる「芸術」です。近年のSTEAM教育やリベラルアーツにもつながる授業を行い、生徒の感性や表現力をバランス良く伸ばしています。その結果、音楽系・美術系の大学にも、毎年多くの卒業生が進学を果たしています。

 また、生徒の主体性を育むための同校ならではの取り組みについても説明がありました。一つ目は「個性の尊重」としての自由服です。本山先生は「ジーンズなども、自由に着用して登校することが可能ですが、学内での式典などがあるときは、それにふさわしい服装が求められます。TPOに応じて服装を選ぶための“教材”としての自由服でもあります」と話しました。

 キリスト教教育では、現在は新型コロナウイルス感染症予防のため、1学年のみ講堂に入り、他学年は中継で毎朝礼拝が行われています。そのなかで行われる「感話」では、生徒が持ち回りで自分の思いを素直に語ります。「感話の原稿は、中学1年生は原稿用紙3枚ほどですが、高校生は7~8枚にも上ります。『友だちはどのように考えているか』『先輩はどのような価値観か』を見聞きするうちに、自分の考えをしっかり確立していくことができます。これが恵泉教育の主体性を育むプログラムの土台となっています」と本山先生は説明しました。

 このような主体性を育む取り組みは、教科教育においても実施されています。たとえば、メディアリテラシーを身につけるため、中3の国語では「メディア」という授業も行われます。ここではディベートやグループでの新聞作成を通じて、メディアからの情報を批判的に読み解き、責任を持って発信する力を養います。

 一方、英語教育では、「当たり前のことを確実に身につける」ことで、確かな発信力を身につけます。検定教科書とオリジナル教材の併用による授業を軸に、単語テスト・レッスンテストもこまめに実施されています。どんな間違いをしたかを分析するための「直しノート」の提出を義務づけているのも特徴です。また、小テストの成績が一定の基準に満たない生徒には、指名制の補習を行っています。こうして培った英語力を応用・運用する機会として、ネイティブ教員とのセッションや、45年以上の歴史を誇る英語スピーチコンテストなども開催されています。

 最後に、2022年度入試については、入試広報部長の德山元子先生より、昨年度からの変更はなく、例年どおり実施する予定であることが伝えられました。

イメージ写真 蔵書数9万冊の図書館、可動式デスクを配した学習室、二つのコンピューター室などが一体になったメディアセンター。中央には大きなガジュマルの木が植えられています。

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