受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

富士見中学校

2021年7月1日(木)

「17の力」を意識した教科学習と探究活動を柱に、社会に貢献できる自立した女性を育成

 1924年に創立された富士見高等女学校を前身として、1940年から山崎学園の経営となった富士見中学校高等学校は、「純真・勤勉・着実」を建学の精神に掲げる女子校です。山種美術館(東京都渋谷区)の創立者で、初代理事長である山崎種二の「本物の芸術に親しんでほしい」という意向から、校内のいろいろなところに日本画や彫刻などが展示されており、生徒たちの感性を育んでいます。

 説明会の開始前には、体育祭の伝統演技である創作ダンスの映像が流れ、その後に校長の佐藤真樹先生が登壇しました。佐藤先生は「社会に貢献できる自立した女性の育成」という教育目標を紹介し、「ここでいう『貢献』とは、さまざまな課題を自分事としてとらえ、解決に向けて取り組むことを、『自立』とは、自分の人生を恐れず、みずから切り開いていくことをそれぞれ意味します。そして、生徒たちには本校で学ぶ6年間で、この教育目標を実現し、『何を大切に生きていきたいか』ということを発見してほしいと願っています」と話しました。

 また、同校では、教育目標を実現させるために、「自分の意見を形成する力」「チャレンジする力」など「17の力」を生徒に身につける必要があると考え、6段階のルーブリック※を設定。生徒たちは、この「17の力」を意識しながら、日常的な教科学習やさまざまな探究活動に取り組んでいます。

 続いて登壇した高3担任の岩堀夏子先生は、「社会貢献」と「自立」に導く探究プログラムについて詳しく説明しました。同校の探究プログラムは、学年ごとにテーマが掲げられています。たとえば、中2では学校所在地の「ねりま探究」というテーマに沿って学び、中学3年間で身近なことについて「問い」「調べ」「伝える」活動に取り組みます。高校ではSDGs(国連が定めた持続可能な開発目標)を手がかりに日本国内からアジア、世界へと視野を広げ、自分の将来のキャリアを考えるきっかけにまでつなげています。岩堀先生は「たとえば、高1が中1にSDGsについて説明する機会があります。その後で『17の力』のうちの『発表する力』や『多角的に考える力』などについて、生徒各自に記述しながら振り返ってもらいます。こうした振り返りを行うことは、『どんな力をどのように伸ばしていくか』という目標を立てることにつながるのです」と強調しました。

 続いて、生徒を「自立」に導くための学習計画や管理の仕方について紹介したのは、高2担任の山内咲季先生です。主に、iPadと生徒・学生向けのビジネス手帳(中学生に配布)の二つのツールを使い分け、管理していることを解説しました。まず、iPadは入学時に、1人に1台を支給。最新のアプリケーションを使って、課題や提出物をウェブ上で管理しているほか、デジタル問題集の活用、学校図書館の蔵書・新聞の検索、Zoom上での部活動への参加なども可能です。ビジネス手帳は、学習計画のほか、起床・就寝時間も記録できるため、生活習慣を整えられます。また、計画実行後にその内容の「振り返り」を記述するため、より良い学習法の発見などにもつながるそうです。

 最後に、入試広報部長の藤川建先生が大学合格実績について説明しました。2021年春は東京大学1名、東京外国語大学3名、東京農工大学5名、国際教養大学1名、早稲田大学48名、慶應義塾大学18名など、卒業生の約半数が国公立大学、早慶上理ICU、GMARCH、医学部医学科に合格しています。藤川先生はその背景について、「高3では、ほかの学年よりも1クラス多い7クラスを設置し、少人数制にすることで、担任が一人ひとりと向き合えるように配慮しています。また、今春の卒業生は、中3から本格的に探究プログラムに取り組んだ学年でもあります。自分の学んでいることが社会とつながっていることがわかり、自分も社会に貢献できるという気持ちが上がったことが、学習のモチベーションにもつながったのではないでしょうか」と分析しました。

※学習到達状況の評価基準を一覧表にした「ルーブリック表」に基づき、目標達成度を評価する方法

イメージ写真 普通教室棟となる本館、特別施設棟となる西館、そして図書館棟などが、昨年、創立80周年を記念して新築されました。また、昨年10月には東京理科大学と高大連携協定も締結。理系教育の充実を図ります

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