受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

桐朋中学校

2021年7月12日(月)

「自主・自立の精神」の校風の下、豊かな心と高い知性を備えた創造的人間を育成

 桐朋中学校・桐朋高等学校は、国立市のほぼ中心に位置する中高一貫の男子校です。戦後日本の教育改革を主導し、初代校長を務めた務台理作の理念を継承し、1941年の創立以来、生徒と教員が自発的に探究心を燃やして、共に学び合っています。

 今回のオンライン説明会では、中学部長の村野英治先生が、自主・自立の精神が脈打つ同校の教育について語りました。はじめに村野先生が紹介したのは、同校の校風を象徴する最近のトピックスです。

 一つ目は、生物部鳥類班の活動について。最近、学園内の雑木林「みや林」で、日本最小のタカとして知られるツミが本格的な巣作りを開始したのが発見されたそうです。部員たちは「警戒心が強い鳥なので、周囲をコーンで囲んで保護したい」と教員に直談判し、保護活動をスタートしました。いたずら防止のため、当初は他の在校生には公表しない方針でしたが、「愛着を持ってもらおう」と思い直し、ツミの写真と説明書きを随所に掲示するなど、自主的に動き始めたといいます。村野先生は「こうして仲間と共にバイタリティーあふれる行動をとれるところが、桐朋生の真骨頂です」と話しました。

 二つ目は、オンラインでの新しい学びについて。中3の東北修学旅行は、各教科における事前事後の学習と密接に連動している伝統行事ですが、昨年は新型コロナウイルス感染症の流行により、やむを得ず中止となりました。しかし、教員たちの熱意によって、現地の方々によるオンライン講義やワークショップを実施できたとのことです。東北の駅弁とお土産も取り寄せ、「オンライン三陸の旅」を実現しました。同様に、語学研修や国際交流企画もオンラインで開催するなど、創意工夫で乗り越えています。

 次に、「桐朋の学び」を詳しく紹介する動画が上映されました。同校では、教科を超えた学びを実践するために、生徒の発達段階に応じた明確なテーマを掲げています。中1・2の共通テーマは「『私』を知る」「目に見える世界の把握~具体の世界の把握」「隣にいる『朋(友)』」です。たとえば、文学作品に対する人それぞれの味わい方の違いを知るなど、他者を通して自分という存在に気づくことが重視されています。

 中3・高1の共通テーマは「『私』世界からの脱却~社会との接点」「目に見える世界から目に見えない世界へ」「具体から抽象の世界へ」です。ミクロの原子の世界を化学式で理解するなど、目に見えないものについて論理的に考える力を磨きます。

 高2・3の共通テーマは「個の確立」「抽象の世界を論理で考える」です。高3の数学では、1人がクラス全体に解法を説明し、それを聞いた他の生徒たちは、その解法の分析や、異なるアプローチについて発言します。教員は補足役を務めるとのことです。また、高3の世界史では、新しく得た知識について「自分はどう思うか」などを積極的に発言し、単に知識を得るだけではなく、自分の意見を持つことをめざしています。

 英語は中高6年間で実践的な授業を行い、4技能を伸ばします。「大学進学後に英語で書かれた文献を読み、英語でプレゼンテーションができるくらいのレベルにまで高めている」とのことです。

 このように同校では、生徒たちの発達段階に合わせた指導で揺るぎない「個」を確立し、みずから「人と人とのつながり」に気づいて「他者」を尊重できるような人間性が身につくよう、6年間の教育をデザインしているそうです。このほか、卒業生が進路指導を手厚くサポートしていることについても紹介がありました。

 村野先生は最後に、「桐朋には本当にさまざまな生徒がいます。これからも、それぞれに居場所がある学校であり続けたいと考えています」と語り、説明会を締めくくりました。

イメージ写真 高い専門性を持つ教員が多く在籍し、学習指導に当たっています。クラブ活動も盛んで、全国レベルの実力を持つ陸上競技部・卓球部・将棋部など、多彩な部・同好会が活動しています

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