受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

東京都市大学等々力中学校

2021年7月5日(月)

教育システムを再構築し、「ノブレス・オブリージュ」の精神を育む

 東急グループの礎を築いた実業家・五島慶太氏が、1939年に創設した東横商業女学校を前身とする東京都市大学等々力中学校。2009年の校名変更、2010年の共学部設置など意欲的に学校改革を進め、「高潔な若人が果たすべき責任と義務」を考えることができる「ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)」の精神を持ったグローバルリーダーの育成をめざしています。

 オンライン説明会に登壇した校長の原田豊先生は、「本校では、2010年の共学部設置以来、『システム』『環境』『教員の熱誠』という三位一体の改革に継続して取り組んできました」と述べ、その概要を説明しました。同校では、朝テストを利用して授業で学んだことを確実に定着させる「システム4A」という学習システムを導入し、生徒みずからが1週間の学習計画を立てて時間管理の能力を培う「TQ(Time Quest)ノート」を活用しています。1席ごとに間仕切りを付けた約150席の自習室に加え、チューターによる質問対応などの学習支援環境も整備し、自学自習力の育成と基礎・基本の徹底を図ってきました。また、職員室を各学年のフロアの中心に配置して、「生徒をよく見る」指導を心がけています。

 こうした教育活動の成果が表れ、同校は近年、難関大学への合格実績を大きく伸ばしています。2021年3月は国公立大学に過去最高の54名が合格。原田先生は、「現役進学率は毎年87%以上です。こうした躍進は、教員が生徒一人ひとりとしっかり向き合ったうえで、質の高い進路指導を行っている結果だと考えています」と話します。

 続いて、2015年から進めている「等々力改革第2ステージ」の説明がありました。その一つが、AIによる記憶定着アプリ「Monoxer」によって、これまでの「システムA4」を発展させた新学習システム「システムZ(ゼータ)」です。高校卒業までに全員が英検®2級を取得することを目標に、生徒たちは毎朝10分間、各自の学習計画に合わせて配信される英語検定の問題に取り組みます。また、中1・2の2年間で約200もの実験を行う理科教育「SST(Super Science Todoroki Program)」や、全学年でタブレット端末を活用したICT教育に力を入れていることも紹介されました。

 音読指導を重視した英語教育も、同校の特色です。家庭学習で覚えた英文を白紙に書いていく「暗写テスト」のほか、放課後のオンライン英会話や英検®対策講座、希望者対象のイングリッシュサマーコースといった、英語力を高めるさまざまなプログラムを実施しています。全員参加のオックスフォード語学研修旅行(高2)や、イギリスの名門・ラグビー校との交流など、英語を使う機会も豊富です。

 原田先生は、ラグビーの元日本代表・福岡賢樹選手がトライの後、派手なパフォーマンスをした際に親から「トライは自分の力だけで勝ち取ったものではない」と諭されたというエピソードも紹介し、「一つの結果には多くの人の努力や支援があります。本校は、こうした『お陰様』の意識を大事にして、ノブレス・オブリージュの精神を根底に置いた教育を着実に行っていきます」と結びました。

 次に、教頭の二瓶克文先生から中学入試に関しての説明がありました。入試では、最難関国公立大学への現役合格をめざす「S特選コース」と、首都圏の中堅国公立大学、難関私立大学をめざす「特選コース」のどちらかを選んで受験します。問題の難易度が高いS特選入試からは特選へのスライド合格があり、2月3日午後の第2回特選入試で得点が高かった受験生は、S特選への逆スライド合格の可能性もあります。2022年度の募集要項は8月中旬頃に発表予定ですが、内容が決まれば簡易版をHPに掲載するとのことです。現時点で確定している変更点として、これまで2月1日午後に行われていた算数1教科の入試が2日の午後に移動することが伝えられました。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

イメージ写真 自習室の利用は、中1~高2が20時まで、高3が21時までです。クラブ活動の終了後に受講できる進学対策の講座も用意されています

www.tcu-todoroki.ed.jp/ 別ウィンドウが開きます。

ページトップ このページTopへ