受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

女子美術大学付属中学校

2021年7月3日(土)

専門的な美術教育と教科横断型の学びを柱に、さらなる教育改革を推進

 1915年に私立女子美術学校附属の高等女学校として開校した女子美術大学付属高等学校・中学校は、「芸術による女性の自立」をめざし、「美術をとおして、我が国の文化に貢献する有能な女性を育成する」という教育理念を実践すべく、美術教育のパイオニアとしてさまざまな改革を推進しています。

 この日、オンラインで開催された説明会で校長の石川康子先生は、中学入試ではあえて実技試験を行っていない理由について「『ものづくりや、絵を描くことが大好き』という思いを入学後も持ち続けながら、さまざまな芸術活動に取り組むことで自己実現力と他者理解力が培われ、成長していってもらいたいからです。小6の段階で技能が伴わなくても、中高6年間でしっかりと伸ばしますのでご安心ください」と語り掛けました。

 中学校では、文部科学省が定めた教科・科目に加え、高校・大学への一貫性を考慮した美術の授業が週4コマ実施されます。高校は「知性が感性を支える」という同校の美術教育の方針に則り、普通科(普通課程)となっています。石川先生は、「今後の社会・経済で求められる思考」として、使う人・買う人のニーズをふまえてさまざまなものを企画・制作する「デザイン思考」と、何もないゼロの状態から自由に面白いものを作り上げていく「アート思考」の二つを挙げました。「系列の女子美術大学では、作家やデザイナーとしての表現力はもちろん、独創的な企画やこれまでにないニーズをゼロから作り出せる能力も育てようとしています。これからの社会人に求められる資質を、本校で培っていけると信じています」と結びました。

 「心が豊かで知性と感性の豊かな調和のとれた生徒の育成」をめざす同校は、教育目標に「智の美」「芸(わざ)の美」「心の美」を掲げ、特色あるプログラムを実践しています。広報部主任の中村晃子先生は、美術と関連した教科横断型の授業を紹介しました。たとえば、中1の数学では色とりどりの折り紙で多面体を作り、中3の技術・家庭では「ハウス模型」を制作します。日本人の英語科の教員とネイティブ教員がチームティーチングで指導する「Art English」は、同校オリジナルの授業です。中1は、実際に交流が深かったゴッホとゴーギャンの関係性を知識として学んだうえで、身につけた英語を使って、2人がどんな会話をしていたのかを考え、表現します。さらに高校ではモネの作品などの、場面・色彩・筆遣い・構図・主題などについて英語で鑑賞します。中村先生は「さまざまな教科と、生徒たちが好きな美術とを合わせることで、学ぶ意欲を引き出しています」と強調しました。

 進路については、卒業生の約90%が美術系の学部に進学し、そのうち約75%が女子美術大学・同短期大学部に推薦で進学しています。一方、美術系以外の学部・学科を志望する場合は、高3次の美術の授業(週10コマ)をすべて受験に必要な教科・科目に変更できます。受講希望者が1人でもいる教科・科目は、すべて開講されるとのことです。

 次に、美術科主任の遠山香苗先生が美術教育について紹介しました。同校には美術室が10室、CG室が1室あり、18名の美術科教員が本格的な指導を行っています。中学の授業は週4コマあり、風景画・静物画・工作・染物・陶芸・木工などの楽しい課題に取り組むことで、「美術が好き」という気持ちを大きく育てます。高1では週7コマ(絵画2、デザイン2、工芸・立体2、美術史1)、高2以降は週10コマに増え、「絵画コース」「デザインコース」「工芸・立体コース」に分かれてより専門的に学びます。

 2022年度の入試については、募集人員に変更があり、第1回(1日午前)が110名、第2回(2日午後)の「女子美 自己表現入試」が10名程度となります。第3回(3日午前)はこれまでどおり15名程度です。「2日午後の『女子美 自己表現入試』の出題については、サピックスの先生にお伝えしましたので、アドバイスをいただいてください」とのことです。

イメージ写真 ICT教育を推進する同校では、オンライン英会話のレッスンなど日々の学習でiPadを使用。生徒たちは作品を保管するツールとしても活用しているそうです。

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