受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

横浜共立学園中学校

2021年7月16日(金)

創立の精神を受け継ぐきめ細やかな指導で、豊かな人間性を育む

 横浜共立学園は、1871年、米国婦人一致外国伝道協会から派遣された女性宣教師が設立したアメリカン・ミッション・ホームを起源とする伝統校です。今年、創立150年を迎えた同校では、「ひとりの人間を無条件に尊重し愛する」というキリスト教精神を根底に置き、世界の平和に貢献する女性の育成をめざしています。

 横浜・はまぎんホールで開催されたこの日の説明会は、学校生活の様子を収めた動画の上映から始まりました。入学式、秋桜祭(文化祭)、運動競技大会、クリスマス礼拝といった行事や部活動が紹介され、生き生きとした生徒たちの様子が映像を通して伝わってきました。

 続いてあいさつに立った校長の小澤伸男先生は、同校の沿革に触れ、「本校が創立された150年前の日本では、女性は教育の機会も、社会で能力を発揮する機会も与えられていませんでした。来日した3人の女性宣教師は、こうした状況に接し、日本で最初の女子寄宿学校を建て、子どもたちに愛情を注いで、豊かな人間性を育む人格教育に取り組みました」と説明しました。

 続いて、教育内容や学校生活の説明がありました。キリスト教に基づく教育活動が行われている同校では、毎朝の礼拝を大切にしています。小澤先生は「聖書のことばに向き合う時間は、神の愛を知り、隣人を愛し、他者に仕える心を育てる大切なものです。生徒たちは礼拝を通して、勉強で高めた能力をほかの人のために使っていくことこそ本当の豊かさであるという価値観を培っています」と話します。

 創立以来、女子校であり続けてきたことも同校の特徴の一つです。小澤先生は、女子校のメリットについて、「性別に縛られることのない環境の中で、生徒たちは安心してお互いの個性を出すことができ、理解し合い、高め合える信頼関係が築かれます。それによって、枠にとらわれない自由、枠の外に踏み出していく自立の精神も養われます」と述べ、「自分や他人の個性を尊重し、認めることができるのは、生徒に寄り添う教員の指導と支援によって、自分が大切にされていると確信できるからです」と強調しました。

 教科教育においても、きめの細かい学習指導が行われています。モットーとしているのは、学校の授業で生徒全員がしっかりとした学力を養うことです。正しい学習習慣を身につけさせるために、中1からノートのとり方をていねいに教え、頻繁にノート提出や小テストを実施して学力の定着を図っています。学習の遅れがちな生徒には、夏休みに補習を受けさせるほか、教員が日常的に声を掛けて個別に指導も行っています。高2からは将来の進路に向けて選択科目が大幅に増え、さらに高3になると、大学受験に向けて演習問題に取り組むようになります。クラスにもお互いを支える一体感が生まれ、休み時間に勉強を教え合う風景もよく見られるそうです。

 生活面については、「時間を守る」「ものを大切にする」「あいさつをする」の三つを呼び掛けています。また、部活動は学園生活をより有意義にするためのものと位置づけられ、勝敗や実績に過度にこだわるようなことはありません。下校時刻もきちんと決められているため、学習に支障を来すことはなく、家族との時間も大切にすることができます。

 新型コロナウイルス感染症の流行による昨年春の休校期間中は、オンライン会議アプリを利用してオンデマンドの授業を配信しましたが、生徒一人ひとりに目を向けることを重視しているため、授業は可能な限り対面で実施していくとのことです。小澤先生は「今後もICTは有効に活用していきますが、一方で、技術習得に振り回されないようにしなければとも思っています。世界で活躍できる創造力・発想力・論理力を持ち、『人に仕える』リーダーを育成するために、中高時代には、その素地となる『言語』と『論理』の力を身につけることが重要だと考えています」と結びました。

イメージ写真 2018年に南校舎が完成し、横浜市指定有形文化財(第1号)に指定されている本校舎の改修も行われました。現在は、屋上にグラウンドがある新校舎を建設中で、2022年3月の竣工を予定しています

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