受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

普連土学園中学校

2021年7月9日(金)

一人ひとりの「賜物」を引き出す少人数制教育で、世の役に立つ女性を育てる

 アメリカに留学中だった新渡戸稲造と内村鑑三の助言を受け、アメリカ・フィラデルフィアのキリスト教フレンド派(クエーカー)に属する婦人伝道会の人々によって1887年に創立された普連土学園。日本で唯一のフレンド派の学校として、130余年にわたってキリスト教教育を基盤とした女子教育を実践しています。「一人ひとりを大切に、全ての人を敬い、世の役に立つ女性を育てること」を目標に、各学年とも3学級編成の家庭的な雰囲気のなかで、個々の生徒の個性を尊重しながら、全員に目の行き届く指導を行っています。

 校名の「普連土」という漢字について、校長の青木直人先生は「津田塾大学の創立者である津田梅子の父親で、農学者・キリスト者の津田仙によって命名されたもので、『普(あまね)く世界の土地に連なる』、すなわち『人を隔てるあらゆる壁を超えて世界中の人と連帯出来る人材を育む学校』であるようにという願いが込められています」と説明しました。また、さまざまな平和活動や奉仕活動に従事してきたフレンド派の歴史や、「誠実に仕事に取り組み、さまざまな人の考え方を尊重する」といった思想に触れ、「人は他者と向き合いながら生き、成長していくものです。昨年春には、新型コロナウイルス感染症の流行により休校となった期間がありましたが、本校でもオンラインツールを活用して授業や課題配信等で学習面をサポートしてきました。しかし、学校生活はやはり対面だからこそ価値があります。意見が異なっても互いに歩み寄り、血の通ったコミュニケーションを取るなど、目には見えない大切なものを重視する教育を、さらに充実させていきたいと考えています」と話しました。

 続いて、広報部長の池田雄史先生が教育内容およびカリキュラムについて説明しました。近年、大学進学実績を伸ばしている同校では、2021年春は卒業生128名のうち11名が東京大学や筑波大学などの国公立大学に現役で進学しました。また、慶應義塾大学へは11名、早稲田大学へは3名が進学しています。「ここ数年、理系学部への進学者が増えており、文系と理系が6対4の割合です。理系では女子校にしては珍しく、工学系を志望する生徒が多いのが特徴です」との説明もありました。その背景には、中1から高1までの4年間で約120回の実験・観察を行う充実した理科教育があります。池田先生によると「試薬を少量に分けておくなどの入念な準備を行う『マイクロスケール実験』の手法を導入し、生徒全員が必ず手を動かせるようにしています。実験後には、考察を通したレポートを書かせ、提出を徹底するなど、思考を言語化する指導もしています」とのことです。春・夏の長期休暇に開講する「教養講座」から発足した理科系サークル「Friends Fab」は、電子工作やプログラミングに取り組み、国際的なロボットコンテストでも活躍しました。また、理科部のロケット班も「ロケット甲子園」で優勝し、こちらも国際大会に出場するなどの実績を残しているそうです。

 英語教育にも力を注いでいます。生徒全員が英語で話す機会を増やし、ペアワークやグループワークを活性化させるために、中学では全学年でクラスを分割しての授業を行い、高校でも必修の授業はすべて習熟度別による少人数制で実施しているのです。さらに、中学では週6コマのうち、中1は週2コマを、中2・3は週1コマをネイティブ講師による少人数での会話指導に充て、「生きた英語」を身につけます。イングリッシュランチ、イングリッシュチャレンジ、イングリッシュキャンプ、英文日記の提出などの取り組みも豊富で、オーストラリアのフレンド派の姉妹校と連携した留学制度などの国際交流プログラムも豊富です。

 高校でも文理による学級分けはせず、選択科目制とすることで一人ひとりの多様な進路に対応しています。最近は、今後ますます募集定員が増えていくと予想される大学の総合型選抜入試や推薦入試に向けての対策も強化しているそうです。

イメージ写真 慶應義塾大学三田キャンパスに近い、静かで落ち着いた環境。水曜日に行われる「沈黙の礼拝」では、他者のことばに耳を傾けることができる「優しい心」が養われます

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