受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

東京学芸大学附属国際中等教育学校

2021年8月27日(金)

国際バカロレアを推進力とし、教科横断的取り組みで問題解決力を培う

 今年で創立15年目を迎えた東京学芸大学附属国際中等教育学校は、2007年の開校以来、グローバル社会の担い手となる人材を育成する教育を実践してきました。

 この日のオンライン説明会は、初めに校長の荻野勉先生が「本校は、多様で異なる人々と共生・共存でき、進展する内外の国際化のなかで活躍する力を持った生徒を育てる学校です」とあいさつし、教育内容について説明しました。

 同校の大きな特徴の一つに、1年生(中1)で30%、その後も6年生(高3)まで外国人生徒・海外帰国生徒を受け入れることで、最終的には45%を超えるという外国人・帰国生徒の比率の高さがあります。2010年に国際バカロレア(IB)中等教育プログラム(MYP)認定校となり、2011年にユネスコスクール加盟校に、2014年にスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定校に、 2015年にスーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定校となり、さらに国際バカロレア(IB)ディプロマプログラム(DP)認定校にもなるなど、国際色豊かな生徒が在籍する学校ならではの教育活動を展開しています。

 同校の教育の核となるのは、「国際教養」と呼ばれる独自の学校設定科目群です。ここでは、国際理解・人間理解・理数探究の三つの柱を中心に、学校行事やフィールドワーク、海外研修などを含めた6年一貫教育を行います。これらの活動を通して育成したい生徒像は、「現代的な課題を読み解く力を持った生徒」「知識とイメージを自分で再構成する力を持った生徒」「対話を通して人との関係を作り出す力を持った生徒」「異文化への寛容・耐性を持った生徒」です。

 荻野先生は「IBは、多様な文化への理解・尊重や厳格な評価の仕組み、共感できる心の育成などを理念としており、本校がめざす育成したい生徒像との親和性が高いのが特徴です」と話します。IBを支える教育原理には、「探究を基盤とした指導」「効果的なチームワークと協働」「概念理解に重点を置いた指導」「ルーブリック(目標達成度を評価するための表)を取り入れた評価活動」などがあり、それぞれ同校の授業のなかで実践されています。「探究を基盤とした指導」「効果的なチームワークと協働」では、さまざまな問いを立てながら授業を行い、グループ学習、ディベート、ディスカッション、プレゼンテーションなどに取り組むことで、答えのない問いに対してチームで「最適解」や「納得解」を見つけます。

 また、「概念理解に重点を置いた指導」では、授業での学びをどう現代社会の問題解決に役立てるかを考えていきます。具体的には、たとえば、「水俣病」を扱う場合、国語では「文学作品から水俣病被害者の世界に深く潜る」、社会科では「高度経済成長という時代背景を理解し、国・企業・市民の立場から自分の考えをまとめる」、数学では「疫学的データの分析・評価をする」、理科では「原因物質と副作用について、実験を通して理解する」というように教科横断的に学び、そこに知の転移を促し、水俣病以外のテーマでも広く問題解決に活用できる視点を学び取ります。

 「ルーブリックを取り入れた評価活動」では、「何をどれくらいできれば何点になり、どのような能力が育成されるか」といった学習の到達点を具体的に示すことで、新学習指導要領のめざす「目標に準拠した評価とその観点」を実現しています。荻野先生は「本校は、さまざまなバックグラウンドを持つ生徒が集まる、多様性を尊重する学校です。また、特色ある学習や研究活動を通して、物事を理解する視点が養われ、そのアカデミズムが生徒の自立心を支えています」と結びました。

 2022年度の入学者選抜は、例年どおり2月3日に実施される予定です。詳細は公示ならびに同校ホームページをご確認ください。

イメージ写真 生徒は通常授業では私服、式典時のみ紺のブレザーに指定のネクタイとエンブレムを着用します。2022年度に中庭とグラウンドに人工芝が設置される予定です。

www.iss.oizumi.u-gakugei.ac.jp/ 別ウィンドウが開きます。

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