受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

聖学院中学校

2021年8月31日(火)

「ものづくり」「ことづくり」で世界に貢献できる人材を育成

 聖学院中学校は、1903年にアメリカの宣教師H・H・ガイ博士によって設立された神学校を起源として、1906年に開校した伝統ある男子校です。「神を仰ぎ 人に仕う」という建学の精神の下、キリスト教に根差した全人教育を実践しています。

 この日のオンライン説明会であいさつに立った広報部長の児浦良裕先生は、「スクールモットーである“Only One for Others”は、生徒一人ひとりが神様から与えられているかけがえのない賜物(たまもの)を発見し、他者のため、世界のために貢献していくという意味です。本校は、この理念を基盤に教育活動を行っています」と語りました。

 同校では、すべての授業で「ICEモデル」に基づいた探究型の学びが行われています。学習段階の頭文字を取って名付けられたこの授業は、単元ごとに「学びのストーリー」を作り、課題の解決(Extensions)に向けた「問い」を投げ掛けることから始まります。生徒たちは、1人1台の専用デバイスを駆使して、基礎的な知識(Ideas)やそれを活用する方法(Connections)を学び、課題解決策を提案していきます。説明会では、新型コロナウイルス感染症の影響下で行われた、ICEモデルを使ったオンライン授業の様子も動画で紹介されました。同校は、2020年4月の一斉休校直後からオリジナルの授業動画を配信し続けており、その数は2020年度は1200本、累計で約1700本に上るとのこと。児浦先生は「多くの動画を作成したことで、授業の在り方を検証できました。双方向の授業や学習支援アプリなどを組み合わせた効果的な仕組みを作り、オンラインと対面授業のハイブリッドなスタイルにも柔軟に対応できるのが本校の強みです」と強調しました。また、生徒自身が家庭学習の内容を選択して計画する「できたこと生徒手帳」「自学ノート」によって、自学自習を習慣化できていたことも、休校期間中に大いに役立ったそうです。

 グローバル教育では、英語教育と海外研修に力を入れています。入学時から習熟度別の英語の授業を行い、帰国生・国際生対象の「SSコース」のほか、中1には、小学校以外で英語学習経験のある生徒を対象とした「経験者コース」を用意。そのほかのクラスでは、音やリズムを活用し、発話を促す学習スタイルをとっているため、中1から英語を本格的に学ぶようになった生徒も飛躍的に英語でのコミュニケーション力を伸ばしています。

 一方、海外研修については、英語圏だけでなくアジアでのPBL型のプログラムを実施しているのが特徴です。30年以上続く同校独自の「タイ研修旅行」では、山岳少数民族と交流しながらボランティア活動に取り組み、「カンボジアMoG」では、現地の社会起業家と協働してソーシャルビジネスの支援活動を行います。こうした経験を通して、海外大学への進学を希望する生徒も増えており、アメリカのアイビーリーグなど、世界大学ランキングの上位校に複数の合格者を輩出しています。

 2021年度から、高校に新クラス「グローバルイノベーションクラス」が開設されました。一般教科の単位を取得しながら、論理的思考力を高める「Liberal Arts」、SDGs(持続可能な開発目標)を英語で学ぶ「Immersion」、ものづくり・ことづくりのスキルやツールを学ぶ「STEAM」、ゼミ形式の「Project」の四つの独自科目を学びます。一方で、中学では「情報プログラミング」と「Global Innovation Lab」の授業を実施し、現代に必要な情報リテラシーやスキルを身につけています。児浦先生は「本校のSTEAM教育、ICT活用は大きく進化しています。そのなかで、『ものづくり』『ことづくり』を通して、世界に貢献できる人を育てていこうと考えています」と結びました。

イメージ写真 2021年に新設された「ファブラボ」には、3Dプリンターやレーザーカッターなど、STEAM教育に対応した設備が整っています

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