受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

成蹊中学校

2021年9月13日(月)

琴線に触れる学びで「0(ゼロ)to 1(ワン)」の発想力を育む

 吉祥寺駅から徒歩15分の広大なキャンパスに小学生から大学院生までが集う成蹊学園は、「個性の尊重」「品性の陶冶(とうや)」「勤労の実践」を建学の精神に掲げ、1912年に設立されました。「知育偏重ではなく、人格、学問、心身にバランスが取れた人間教育を実践したい」という創立者・中村春二の精神を受け継ぎ、平和な社会の実現と発展のために誇りを持って貢献できる人材の育成をめざしています。

 この日のオンライン説明会には、今年4月に校長に就任した仙田直人先生があいさつに立ち、「これからの時代には、新たなものを創造する『0(ゼロ)to 1(ワン)』の発想を持つことが大切です」と語りました。仙田先生は、AIには難しい「課題を発見する力」を育てることの重要性にも触れ、「本校には、『おもしろい!』と感じることができる本物に触れる学びが用意されています。生徒一人ひとりが自分の琴線に触れるものを深く掘り下げ、解明していくなかで、非認知能力を高めていきます」と強調しました。

 続いて、入試部主任の坂井史子先生が教育内容を説明しました。同校では、新しい学習指導要領で求められるさまざまな力を基礎力・対応力・行動力の3段階で伸ばしています。授業や行事では、生徒の「なぜ?」を大事にしており、疑問を持つことから始まり、調べ、仮説を立てて話し合い、実証実験を行って発表するという一連の流れに沿って、探究的な学びに取り組んでいるのです。「こうした探究活動の成果は、これまでも授業や文化祭でも発表してきましたが、今後はもっと外部に向けての発信の場を増やしていこうと考えています」と坂井先生。また、「右手にロジック(論理)、左手にレトリック(修辞)」を合言葉に、「論理的に説得する力とともに、伝え方も大事にしよう」と指導しているそうです。

 幅広い教養を培うリベラルアーツを重視し、多くの実験や実習を取り入れた「本物に触れる」教育を行っているのも特色の一つです。たとえば、学園の敷地内にある竹林で収穫したタケノコを家庭科の授業で調理したり、生物室にある100以上の水槽で飼育している多くの生き物を研究したりしていることが紹介されました。こうした体験活動が評価され、2019年には学園全体が「ユネスコ・スクール」に認定されました。持続可能な社会の発展に向けて、授業の中でもSDGsの取り組みを積極的に推進しています。

 社会とのつながりを学ぶうえで、大きな力となるのは企業との連携や卒業生の協力です。雅楽師・東儀秀樹氏のコンサート、エストニアで起業したOBによる希望者参加型のスタートアップ講座など、年間100以上の企画が実施されるとのことです。製薬会社とのコラボレーションでドリンク剤のパッケージデザインを考えるという企画もありました。

 大正時代から帰国生を受け入れてきた同校は、国際理解教育にも力を入れています。戦後まもなくスタートした留学制度も充実しており、アメリカの名門セント・ポールズ校との交流は約70年前から続けています。「全員で行く海外研修旅行のようなものはなく、生徒たちは自分の英語のレベルや行きたい国によって手を挙げて参加します」と坂井先生は説明します。留学のためのアカデミックスキル講座やSAT講座もあり、海外渡航が難しくなった現在でも、オンラインでの交流や留学報告会、国内でのエンパワーメントプログラムなどが実施されています。

 卒業後は、約3割が内部推薦で成蹊大学に進学しますが、残りの約7割の生徒は他大学を受験します。坂井先生は、「国公立大学の学校推薦型選抜に強く、医学部進学者も多いのが本校の特徴です。高3では文系8コース、理系10コースの進路別コース授業がありますが、このようなサポート体制が整っているので、多彩な進路を実現することができるのです」と話しました。

 2022年度の一般入試は例年どおり、2月1日と2月4日に実施されます。「ホームページから閲覧できる進学ガイドブックには、入試の傾向と対策が細かく掲載されています。参考にして過去問に取り組んでみてください」とのアドバイスもありました。

イメージ写真 豊かな緑に恵まれ、学習環境が整備されたキャンパス。「理科棟」には物理・化学・生物・地学それぞれの講義室や実験室を備え、本格的な実験や実習が行われています

www.seikei.ac.jp/jsh/ 別ウィンドウが開きます。

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