受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

東京農業大学第一高等学校中等部

2021年9月16日(木)

「知耕実学」で社会人基礎力を養い、社会で活躍する人材を育てる

 東京農業大学の付属校として、1950年に創立された東京農業大学第一高等学校。中等部は2005年に開校しました。「知耕実学」という教育理念の下、体験・経験・観察を重視した実学教育を積極的に実践し、知的好奇心や探究心を育てています。

 オンライン説明会の冒頭、入試広報部の川崎剛先生は「本校が育てたい生徒像は、『社会で活躍する人物』です。経済産業省が提唱する『社会人基礎力』には『前に踏み出す力』『考え抜く力』『チームで働く力』という三つの能力がありますが、本校では授業や行事を通してこれらの能力を育成していきます」と述べました。

 教育理念の「知耕実学」を実践するための取り組みの一つに、中3の「課題研究発表」があります。これは、自分の興味や関心のある分野で課題を設定し、1年間かけて論文をまとめ、プレゼンテーションを行うものです。生徒は社会問題から身近なことまで、それぞれ好きなテーマに取り組んで研究・考察し、最後には1枚のポスターにまとめて発表します。この課題研究を通して、「情報収集」「資料の作成」「発表」の基礎を学び、自分の考えを深めながら将来を具体的にイメージしていきます。

 また、知的好奇心を育て、考える力を磨くためのプログラムに「一中一高ゼミ」があります。ここでは、主に平日の放課後、教科や学年の枠を超え、各自が興味のあることについてゼミ形式で学びます。教員は自分の専門分野・得意分野を生かして講座を開くことができ、生徒も予約や手続きをせずに、開講当日に自由に参加できます。年間約80講座が開かれ、そのテーマも「人体の構造と機能」「漫才を鑑賞しよう」などバラエティに富んでいます。川崎先生は「生徒の発案で開講したり、生徒が講師役を務めたりすることもあり、自由な雰囲気のなかで教養を深める機会となっています」と語りました。

 キャリア教育にも力を入れています。中1・2では『ENAGEED(エナジード)』という次世代型キャリア教育コンテンツを導入し、「今はない未来の仕事とは」「クラスで協力し合うには」といった正解のないテーマに対してグループワーク形式で学びます。グループワークは「ポジティブフィードバック」「アクティブリスニング」「オーバーコミュニケーション」の三つのルールにのっとって行われ、自分の意見を積極的に表現し、行動するマインドを育みます。川崎先生は「グループワークを通して、『自分の考えを発信したり、小さな失敗をしたりすることは恥ずかしくない』と理解し、意見を出し合いながら改善する方法を学んでいくのが狙いです」と話しました。

 隣接する東京農業大学の施設を活用した体験学習ができることも魅力です。東京農業大学の厚木キャンパスで行う中1の稲作体験では、田植えから稲刈りまで一連の米作りのプロセスを体験します。中2では、大学の研究施設を利用して新米と古米の違いを科学的に検証する「お米の科学」、中3では麴や発酵について学ぶ「味噌づくり」などの実習を行います。また、アクティブ・ラーニングを重視する同校では、さまざまなタイプの生徒が刺激をし合いながら考えを深められる「共学校」という環境が最適だと考えています。川崎先生は「明るく素直で、自然や生き物が好きな、優しい生徒が多い学校です」と結びました。

 2022年度入試については例年どおりで、2月1日午後の第1回と2日午後の第2回が2科(算数・理科または算数・国語)、4日午前の第3回が4科となっています。

イメージ写真 東京農業大学に隣接したキャンパスは、緑豊かで閑静な住宅街の中にあります。大学の施設を活用したアクティブラーニングも盛んです

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