受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

東京学芸大学附属竹早中学校

2021年10月1日(金)

多様性のなかで、誰もが“好き”に挑める学校をめざす

 文京区小石川にある東京学芸大学附属竹早中学校の始まりは、1947年開設の東京第一師範学校女子部附属中学校と東京第二師範学校女子部附属中学校です。両校はそれぞれ「東京学芸大学附属竹早中学校」「東京学芸大学附属追分中学校」と改称。その後廃され、1954年に新たな附属中学校が開校し、現在に至っています。敷地内には併設の幼稚園と小学校もあり、中学校は附属小学校からの入学者と中学からの入学者がそれぞれ約半数という構成になっています。東京学芸大学の附属校として中等普通教育が行われる一方、教育に関する理論を実証する場として、最新の研究に基づく先進的な学びが実践されています。

 オンライン説明会の冒頭、副校長の森顕子先生は「自ら求め、考え、表現し、実践できる生徒を育てる」「他人の立場や意志を尊重できる、視野の広い生徒を育てる」「心身ともに明るくたくましい生徒を育てる」という同校の教育目標を紹介しました。高校内容の先取りなどは行っていませんが、これらの目標を実現するために、発展学習を豊富に取り入れています。

 リベラルな校風の下、学校行事は生徒が企画・運営を行います。なかでも毎年11月に行われる文化研究発表会は全校を挙げて盛り上がる一大イベントで、一人ひとりが興味のあるテーマについて発表するほか、合唱コンクールや文化部の発表なども行われます。「生徒が3年がかりで探究してきたテーマはどれもユニークで、研究と呼べるレベルに達しているものも多くあります」と森先生は話します。

 また、附属小から内部進学した生徒と中学から入学した生徒とは多彩な行事、校外学習、部活動などを通してすぐに打ち解け、みんなが同じ「竹早生」になるとのことです。「本校が独自の研究として進めているのが『多様性の研究』ですが、まさに竹早中は多様性を肌で学ぶことができます。附属小出身者は発言力や表現力に優れており、中学から入学した生徒は受験を経験している分、試験対応力に優れています。お互いが良い刺激を与え合いながら、一緒に成長できる環境です」と森先生は強調しました。

 次に、2020年度から取り組んでいる「未来の学校 みんなで創ろう。プロジェクト」に触れました。これは、政府により提唱された「Society5.0※」に向けて東京学芸大学、竹早地区の幼稚園・小学校・中学校、企業、教育委員会などがワンチームとなり、未来の学校モデルの開発をするプロジェクトです。森先生は「誰もが“好き”に挑むことができる、そんな学校モデルの開発を本校の子どもたちとわくわくしながら進めています」と語りました。

 続いて、教務主任の浦山浩史先生から入試と進路について説明がありました。2022年度の入試も前年度と同じ方式を採用し、面接試験は行いません。代わりに、筆記試験開始前の15分間で記入する「自己PRカード」の内容が評価されます。

 高校への進学実績についても紹介がありました。東京学芸大学附属高校には、附属中学3校(竹早中・世田谷中・小金井中)合計で男女約200名の枠があり、同校からは例年、卒業生の4割強(60名程度)が進学します。合否については、中学からの調査書と筆記試験の結果により、高校側が総合的に判断しています。浦山先生は「どの生徒にも一律に附属高校への進学を勧めているわけではなく、あくまでも選択肢の一つとして示しています。結果的に、4割強は私立高校に、残りの1割強は学芸大学附属高校以外の国公立高校に進学しており、生徒たちが実際に受験する学校はバラエティーに富んでいます」と話しました。一人ひとりの適性や志望する高校に合わせて、きめ細かい進路指導を行っているそうです。

※内閣府が定めた、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立させる、人間中心の社会(Society)のこと。

イメージ写真 東京メトロ「茗荷谷」駅から徒歩12分、東京メトロ「後楽園」駅と都営地下鉄「春日」駅からは徒歩15分。都営バス停「春日二丁目」の目の前にあり、伝統を継承しつつ、教育実験校として未来を創る学校です

www.u-gakugei.ac.jp/ 別ウィンドウが開きます。

ページトップ このページTopへ