受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

駒込中学校

2021年9月17日(金)

仏教主義に基づく人間教育を守りつつ、AI時代を見据えた新しい学びを展開

 1682年に上野・不忍池のほとりで了翁(りょうおう)禅師が開設した「勧学講院」を起源とする駒込中学校。仏教主義に基づく人間教育を守る一方、新しい時代に対応する教育をしようと学校改革を意欲的に進め、難関大学への合格実績を伸ばしています。

 説明会の冒頭、校長の河合孝允先生は、「AIの台頭で、スマート化が叫ばれる時代を迎え、伸ばすべき能力も大きく変わっています」と参加者に語り掛けました。英語教育の充実に努める一方、科学・数学領域を強化するSTEM(Science,Technology,Engineering,Mathematics)教育や情報機器を活用したICT教育を導入するなど、さまざまな教育改革を進めてきた同校。その根底にあるのは「将来の自分を見通す力」が必要という考えであり、それを身につけるための原動力や行動力を伸ばすための教育を実現させようとしているのです。「社会で活躍する人材となるためには、もちろん、仏教の教えにある『智・徳・体』がバランス良く備わっていることも不可欠です。学園の顧問を務めた渋沢栄一氏の訓育『忘己利他(己を忘れて他を利するは慈悲の極みなり)』の精神を礎に、他者を敬い、自分の能力を社会のために役立てる心を養っていきます」と述べました。

 新型コロナウイルス感染症の影響下においても「学びを止めない」ための対応に力を注いできたことについても報告がありました。全教室に電子黒板を配置し、生徒全員がタブレット端末を所持するなど、早くからICT教育の環境を整えていた同校では、昨年の休校期間中はZoomによる双方向型のオンライン授業や分散登校を実施しました。「学習の遅れは回避できましたが、それとともに対面での学びの重要性を再認識したとのことです。さまざまな事態を想定して準備を重ねてきましたが、この2学期は、並行してオンライン授業を行う、分散登校でスタートしました」と河合先生は話します。学校は、教科学習だけをする場ではないという考えから、共同活動や校外学習も可能な限り実施しています。たとえば、長野県菅平で行う林間学校は中1の夏休みの恒例行事ですが、参加者全員がPCR検査を受けて実施しました。

 「本校の建学の精神は、天台宗の開祖・伝教大師最澄のことば『一隅を照らす』です。そのためには、自己を見つめ、さまざまなことに気づく体験を多く与えなくてはなりません。生徒一人ひとりの主体性を育て、得意分野を伸ばしていけるような取り組みを、これからもどんどん深化させていきます」として、河合先生は高校の理系先進コースの有志が、WPO Japan(自立型ロボット部門)や国内初の「ドローンサッカー大会」で優勝や準優勝に輝いたことを紹介しました。また、東京都主催の「TOKYO STARTUP GATEWAY」で優勝を勝ち取り、二つの会社を起業してみずから社長となって卒業した女子生徒についても触れ、同校の教育の成果をアピールしました。

 今年度からは、幅広い分野をバランス良く学びながら自分の適性を見つめ、専門性を高めることを目標に、中学は学年全体が「国際先進コース」に統一されました。数理探究とグローバル教育を組み合わせた文理融合型のカリキュラムの下、豊かな人間性を培う取り組みを実施していきます。入試の成績により「Sクラス」「Aクラス」の習熟度別に分けますが、クラスは進級時に見直して入れ替えを行います。続く高校では、国公立大学・難関私立大学をめざす「特S・Sコース」、海外大学進学も視野に入れて学ぶ「国際教養コース」、理系学部をめざす「理系先進コース」に分かれます。

 また、自宅学習を補うためのアプリを導入し、卒業生の大学生がチューターとなって指導する「学習サポートセンター」も設置しました。このように、学校完結型のフォローアップ体制も万全です。英語力の養成にも力を注ぎ、クラスを2分割して行う英会話の授業やオンライン英会話が導入されているほか、スピーチコンテストやレシテーションコンテストなど、人前で英語を使う機会も数多く設けられています。

イメージ写真 日光山研修(中2)、比叡山研修(高1)など仏教に根差した学校行事を行っているのも特色です。食育の指導も兼ねて中学は給食となっています

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