受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

足立学園中学校

2021年10月4日(月)

「社会の為」を念頭に、「志」を育む人間教育を実践する

 足立学園中学校・高等学校は、「足立の地に男子中等教育の場を」という地元の要望に応えて、1929年に設立されました。教育目標に「自ら学び 心ゆたかに たくましく」を掲げ、「志を持ち、みずから将来を切り拓いていく人財」の育成をめざしています。

 説明会の冒頭、入試広報部部長の相澤智子先生は、創立時より受け継がれる建学の精神「質実剛健 有為敢闘」について、「特に、『有為』(人のために)に重きを置き、さまざまな課題に対して主体的に探究する学びを重視しています」と述べました。

 中学では、入学時の成績により「特別クラス」「一般クラス」の2コースに分かれます。「特別クラス」は難関国公立大学や海外難関大学への現役合格を目標としたクラスで、特別奨学生入試の合格者、特別奨学生入試を受験して奨学生にはなれなかったものの、特別クラスに合格した成績上位者、そして一般入試の成績上位者で編成されます。進級時には成績によって、一般クラスから特別クラスに移ることも可能です。

 いずれのコースも、中2以降の英語・数学の授業は習熟度別に少人数制で行われています。続く高校では、難関国公立・海外大学を視野に入れた「探究コース」、難関私立大学進学を目標とする「文理コース」、総合型選抜で大学合格をめざす「総合コース」の3コース制になりますが、「中学からの内部進学生のほとんどが『探究コース』もしくは『文理コース』に入ります」と相澤先生。高校では、「答えのない課題に向き合い探究する能力」の育成をめざして、「課題探究」「進路探究」の二つを軸とした授業が行われています。そして高3では、生徒は希望する進路に合わせて選択した授業を受けます。月曜から土曜までの午前中の週24コマ分は必修ですが、月曜から金曜までの午後の週9コマ分の時間は各自が自由に選択できるため、午後は多くの生徒が300席を擁する地下の自習室で、自分がすべき学習に励んでいるそうです。

 また、早くからICT教育の拡充を図ってきた同校では、生徒全員がタブレット端末を所持し、日々の授業に活用しています。これについて相澤先生は「すでに複数のアプリケーションウェアを活用し、調べ学習や課題、プレゼンテーション資料の作成はもとより、情報を共有しながらの協働学習に発展させるなど、学びの幅が大きく広がっています」と述べました。2020年3月には、日本の中学・高校として唯一、Microsoft showcase schoolの認定校となりました。

 続いて登壇した校長の井上実先生は、同校がめざす教育について説明しました。生徒たちに伝えているのは、「夢なき者に成功なし」ということばです。井上先生は「ここでいう夢とは、志(こころざし)のことです。夢はただ、自分の欲求を満たすだけのものですが、それに対し志とは、世の中のために何かを成し遂げようとする覚悟を伴うものです。生徒たちには社会の一員として何ができるのかを意識しながら、進路を切り開いてほしいと願っています」と語りました。

 同校ではさまざまな学びを通して、「4J」と呼ぶ自尊心・自信・自負心・自己肯定感を高め、生徒の志を高めるための取り組みを行っています。千利休の訓をまとめた「利休道歌」の一節を引用した「守・破・離」を教育の根幹に据え、中1・2では「守(教え・型・技を忠実に守り、確実に身につける段階)」として、基礎・基本の定着を重視しています。「破(他の教え・型・技についても考え、良いものを取り入れ、発展させる段階)」に当たる中3・高1では、松下政経塾と提携した「志共育」や、足立区や助産師の協力による「紳士教育」を実施します。そして「離(教えや型から離れ、独自の新しいものを生み出し、確立させる段階)」となる高2・3では、オックスフォード大学ハートフォード・カレッジへの特別留学の機会もあります。井上先生は「何を学べば社会に貢献できるかを考えて大学を決めさせたいのです。そうして定まった進路を実現するためならば、わたしたちは全力でサポートします。それこそが我が校が掲げる『生徒第一主義』だからです」と結びました。

イメージ写真 年中無休で利用可能な自習室、蔵書数3万冊の図書室、武道場や屋上テニスコートを完備した6階建ての体育館などがあり、設備面も充実しています

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