受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

国本女子中学校

2021年10月4日(月)

カナダ・アルバータ州の海外認定校を校内に設置し、グローバル時代を見据えた国際教育を推進

 世田谷区喜多見にある国本女子中学校・高等学校は、80年近い歴史を持つ伝統校です。1942年の創立以来受け継がれている情操教育を大切にする一方、近年では、グローバル時代を見据えた国際教育と教養プログラムを融合した中高6か年の教育改革を推進しています。

 オンライン説明会の冒頭、今年4月に校長に就任した坂東修三先生は、「ジェンダーギャップやジェンダーバイアスが根強く残り、ほかの先進国のようには女性の社会進出が進まない日本において、女子校の意義は大きいと考えます。本校では、知性や教養に裏打ちされた豊かな内面を育むと同時に、英語とデジタル機器をコミュニケーションツールとして使いこなせる、改革意識や発信力のある女子の育成をめざします」というメッセージを送りました。

 次に、副校長の豊田ひろ子先生が具体的な教育内容を説明しました。同校ではカナダ・アルバータ州教育省と提携して、その校舎内に日本初のアルバータ州海外認定校(AAIS)としてKAIS(Kunimoto Alberta International School)を2020年4月に開校させました。これに合わせて「ダブルディプロマ(DD)コース」と「リベラルアーツ(LA)コース」の2コースがスタートしました。このうちDDコースの生徒は、国本女子とKAISの両校に在籍して日本とカナダのカリキュラムを同時に学びます。日本にいながらカナダの中学校と同じ学習環境で、世界でも高い水準の教育プログラムを受けることができ、高校卒業時には日本とカナダの両方の高校卒業資格を取得します。

 中1~3の「KAIS Middle Program」の中心となるのは、アルバータ州認定教員による教科横断型の「ELA(English Language Arts)」の授業です。豊田先生は「日本とカナダの両方のコンテンツを効果的に習得できるようコーディネートされており、日本型のインプット教育と北米型のアウトプット教育を融合させたユニークな内容です」と説明しました。ニュースや広告などを題材に、身につけた英語を駆使して表現活動を行い、「英語を学ぶ」のではなく、「英語で学ぶ」基礎を築きます。週12時間の英語の授業のうち5時間を「ELA」に充て、残りの7時間はスピーキングとライティングに重点を置いたレベル別授業を実施。英語4技能を徹底的に鍛え、中3までに英検®2級以上の取得をめざします。

 また、全員が参加する放課後講習では、教員と共に東京大学や慶應義塾大学の女子学生がチューターとして指導に当たり、英語以外の学習もフォローしているそうです。高校3年間の「KAIS Diploma Program」では、生徒一人ひとりがみずから考え、協働して課題に取り組むアクティブ・ラーニング型の学びを実践します。全体の3分の2の授業がオールイングリッシュで行われ、高校では英検®準1級以上の取得を到達目標としています。

 さらにDDコースでは、中3時と高2時にカナダでのサマープログラムに参加する海外研修制度もあります。希望者はカナダに1年間留学することも可能で、国際理解・異文化理解をより深めることができます。なお、DDコース在籍者の約半数を占める帰国生に対しては、最初は英語よりも日本語の教科学習を重視して基礎学力を高め、段階を経て英語で学ぶ授業時間数を増やして知識を深めていきます。一般生に対しては、日本人教員とネイティブ教員とによる少人数制授業により、徹底的なサポートで中2までに英検®3級以上の取得をめざします。

 一方、LAコースはその名前のとおり、ICT機器を活用しながら、教科横断型・探究型の総合的な学びを通じて教養を深め、幅広い進路選択を可能とするコースです。日々の授業で基礎学力・英語力・ICT活用能力を高めていくとともに、多彩なプログラムを通して感性を磨きます。また、著名人を招いての講演会など、本物に触れる機会を与えることで豊かな感性を育み、主体的に学ぶ姿勢も養います。豊田先生は「本物の教養人と出会うことで、それぞれの生徒が将来なりたい自分を描きやすくなる活動をしています。学力だけでなく、自己肯定感や健やかな人間関係を育む力を育てています」と結びました。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

イメージ写真 KAISの職員室の様子。ネイティブ教員の後方にある部屋(ガラス張り)がイングリッシュラボです

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