受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

鶴見大学附属中学校

2021年10月13日(水)

禅の精神に基づく人間教育と教科エリア型校舎で主体的な学びの姿勢を育む

 曹洞宗大本山總持寺(そうじじ)を母体とする鶴見大学附属中学校・高等学校。JR鶴見駅より總持寺の境内を通って徒歩15分という立地です。大学、同歯学部附属病院、同短期大学部附属三松幼稚園といった施設が並びます。校名に大学附属とありますが、鶴見大学にあるのは文学部と歯学部のみなので、内部進学するのは例年卒業生の5%程度です。

 この日のオンライン説明会の冒頭で、同校の卒業生でもある国語科の佐々木こづえ先生が最近の10年間で同校が「変わった点」と「変わらない点」を紹介しました。

 まず、変わった点として挙げたのが、共学化されたことと校舎がリニューアルされたことです。もともと同校は女子校でしたが、2008年に共学化され、「教科エリア+ホームベース型校舎」が完成しました。生徒たちはホームベース(各クラスのホームルーム教室)を拠点としながら、各教科の特徴を考慮して設計された教室に移動し、主体的に学ぶ環境を構築しました。また、教育の三本柱に「学力向上」「人間形成」「国際教育」を掲げ、進学校としてのさまざまな取り組みをスタートさせました。

 変わらない点は、建学の精神「大覚円成(だいがくえんじょう) 報恩行持(ほうおんぎょうじ)」です。同校では禅の精神に基づく人間教育を実践しており、生徒には「感謝を忘れず真人(ひと)となる」というわかりやすい表現で建学の精神を伝えています。佐々木先生は「禅は信仰ではなく心の鍛錬・修行です。日々の所作をていねいに行い、感謝の気持ちを抱き、自己を反省するという時間を設けて、日常的に心を穏やかに整える術を身につけるものです」と説明しました。具体的には、始業前の毎朝10 分間で黙念、読経を行い、心を落ち着かせてから学習に入ります。また、昼食の前には、命をいただくことに感謝し、それに値する自分であるかどうかを振り返るなど、学校生活の随所に自分自身を見つめる時間を設けているそうです。

 次に、前述の教育の三本柱のうち、「学力向上」について説明がありました。同校では「3ステージ制」として中高6年間を2年ごとに区切り、ステージごとに学習到達目標を設定しています。生徒のつまずきや伸び悩みを早期に解決し、一人ひとりが希望する進路の実現につなげるためです。中1・2では国公立大学・難関私立大学をめざす「難関進学クラス」と、基礎学力養成を主眼とした「進学クラス」とがあります。中3・高1ではそれぞれ「特進クラス」と「総合進学クラス」とに分かれ、高2・3ではさらに文系・理系に分かれて、目標に向かって本格的な学習に取り組みます。授業は少人数制で先取り学習を取り入れ、スパイラル学習で学力の定着を図っています。遅れがちな生徒には卒業生チューターによる学習相談、指名制補講、長期休暇中の習熟度別教科講習などを行っており、フォロー体制も万全です。

 「国際教育」については、新型コロナウイルス感染症の流行により、中3全員でオーストラリアに行く体験型語学研修修学旅行をはじめ、海外語学研修が実施できない状況が続いています。それでも、国内で学ぶ留学生と、放課後に英語で交流する「イングリッシュラウンジ」や、スペインの日本語学校に通う学生とオンラインで話す「日本スペインおしゃべり交流会」を実施するなど、現状でも可能な形式で国際教育を継続しています。

 こうした学びを支える施設の紹介もありました。同校の図書館は約8万冊の蔵書数を誇り、大学の施設も利用できます。佐々木先生は「大学図書館や附属幼稚園ではインターンシップができますし、附属病院での医療体験なども行っています。職業体験や学びの機会を数多く設定しています」と話しました。

 最後に、入試広報統括部長の川野正裕先生が2022年度の入試概要について説明しました。難関進学クラス計3回、進学クラス計2回、適性検査入試1回の計6回行われる入試について、川野先生は「それぞれにスライド合格があるので、成績に応じたクラスに入学できます」と話しました。また、難関進学クラスと適性検査入試の成績上位者には特待生制度が適用され、2021年度の特待生合格者は41名だったそうです。

イメージ写真 教科エリア型校舎には、教科研究室・メディアセンター・教科教室からなる教科エリアが、すべての教科ごとに配置されています

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