受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

ドルトン東京学園中等部

2021年10月20日(水)

学習者中心主義の教育メソッドを実践し、生徒の探究心や知的好奇心を高める

 ドルトン東京学園中等部は、2019年4月に調布市に開校した中高一貫校です。1908年に、アメリカの女性教育者ヘレン・パーカストが唱えた「ドルトンプラン」を基盤にした教育を実践しています。あいさつに立った校長の荒木貴之先生は、ドルトンプランの特徴について次のように説明しました。「『自由』と『協働』の二つの原理に基づく『学習者中心主義』の教育を実践し、生徒の探究心や知的好奇心を育てるとともに、個人の能力を最大限に高める『個別最適の学び』をめざしています」

 同校の教育の軸となるのが「ハウス(House)」「アサインメント(Assignment)」「ラボラトリー(Laboratory)」です。「家庭的な教室」を意味する「ハウス」は、同学年の生徒たちから成るクラスとは別に、学年の違う生徒たちで構成されるコミュニティです。学年を超えた多様な仲間と共に、学校行事をはじめとするさまざまな活動を企画・運営することで、社会性や協働する力を養っていきます。

 次に「アサインメント」とは、生徒と教員の間で交わされる契約(約束)に基づいて学習を進める仕組みのことです。学習の目的や目標をあらかじめ生徒に明示し、見通しを持って計画的に取り組む力が身につけさせるのが狙いです。入試広報主任の高野淳一先生は「アサインメントは『課題』ととらえるとわかりやすいかもしれません。たとえば、理科実験の授業では物理・化学・生物・地学などの各分野のアサインメントが難度別に用意されるので、生徒は自分のペースで実験の順番を決めて、スケジュール管理ができます。同じ教室にいながら、生徒たちはそれぞれ異なる実験に取り組み、そこに巡回する教員が一人ひとりに助言するのです」と説明しました。こうした取り組みの成果もあり、2019年には同校の生徒が「東京都科学コンテスト」で優勝しました。このほかにも、在校生は外部のさまざまな研究会や発表会に参加し、入賞もしているそうです。また、社会科では「江戸時代がわかるツアーを作ろう」というアサインメントで生徒が作成した「有名な神社や寺を回る『江戸のパワースポット巡り』」という企画案が、実際に校外学習として行われました。

 アサインメントを実行する時間と場所が「ラボラトリー」です。時間の使い方は自由で、授業内容を振り返っても、興味を持ったことに関する探究活動をしてもよいのです。これについて高野先生は「自由にしてよいといっても、まだうまく時間の使い方を決められない中学生もいます。そのため、『基礎ラボ』『探究ラボ』をそれぞれ週2時間ずつ設けました。『模擬国連を学ぶ』『ランチ改善プロジェクト』など約60種類のラボを選択制で受講できるようにして、多彩な学びの世界を知るきっかけにしています」と説明しました。そのラボの一つ「起業ゼミ」では、ソーシャルメディア・ソーシャルアプリに関する事業を行う企業と提携して本格的に企業を学びます。「飲食店と利用客を助け、フードロスも削減するアプリ」を開発して、法人化資金200万円を得る生徒も現れたそうです。もっとも、高野先生は「このラボは起業すること自体が目的ではありません。アサインメントのプロセスのなかで、さらに探究する力を養い、自分の学びを改善していく体験が大切なのです」と強調しました。

 学校創設4年目となる2022年4月には高等部が開校します。高等部のカリキュラムは学期完結制・単位制で選択科目を多く設け、先取りや学び直し、進路志望の変更など、生徒の多様なニーズに柔軟に対応できるようにします。

 最後に、2022年度入試に関する説明がありました。2月2日午前に「思考・表現型入試」、同日午後に「理数特待型入試」がそれぞれ新設されます。思考・表現型は事前提出の出願理由書と、英語または日本語の作文と面接による総合判定です。理数特待型は算数・理科の2科が課されます。

イメージ写真 校舎の中心にあるラーニングコモンズ(開放型の図書館)は、協働学習の場としても活用されています。2022年秋には新STEAM校舎が完成予定です

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