受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

自修館中等教育学校

2021年10月21日(木)

「探究」と「EQ(こころの教育)」を柱に、自学・自修・実践する「生きる力」を育成

 神奈川県伊勢原市にある自修館中等教育学校は、1910年創設の自修学校を前身とする、向上高等学校を運営する向上学園を母体とした、共学の中等教育学校です。「明知・徳義・壮健」を建学の精神に掲げ、こころを育て、伸び伸びと生きる力を身につけることをめざしています。

 オンライン説明会の冒頭、校長の安井正浩先生は「自主・自律の精神に富み、自学・自修・実践できる『生きる力』を育成し、21世紀が求める人間性豊かでグローバルな人材を創出する」という教育目標に触れ、「感性豊かで、自己肯定感の高い、実行力のある優れた生徒を育てるためには、『自学・自修・実践』が重要です」と語りました。同校は1学年4クラスで、生徒数が約120名という小規模な学校です。主・副2名の担任がきめ細かく指導するため、生徒はアットホームな雰囲気の下、安心して学習に取り組むことができます。安井先生は「子どもたちは無限の可能性を秘めています。その可能性を、少人数の環境のなかで6年間、教員が寄り添いながら伸ばしていきたいと考えています」と結びました。

 次に、入試広報室長の古跡雅宣先生が教育内容について話しました。同校は全国的にも珍しい4学期制を採用しており、休暇も初夏・夏・秋・冬・春に分散して設けています。そのため夏休みは20日間と短くなりますが、長期間にわたる休みによって生活リズムが乱れたり、前の学期の学習内容を忘れてしまったりすることを防げるメリットがあるそうです。学校行事は、丹沢山系に近い立地を利用した2・3年生(中2・3)の「丹沢クライム」、全校生徒を対象に行う「スポーツ大会」「探究文化発表会・自修祭」「合唱コンクール」「スキー教室」など多彩で、企画・運営も生徒たちが中心となって行うものも多いです。

 実践的な英語力を習得するため、国際教育にも力を注いでいます。週5コマの授業に加え、ネイティブ教員による英会話を実施しているほか、それぞれの学力に応じて、レシテーションコンテストや英検®講座なども行っています。5年生(高2)全員がカナダでホームステイする7泊9日の「海外フィールドワーク」や希望制の海外研修、ニュージーランドの姉妹校との交換留学制度など、生徒の視野を広げるプログラムも充実しています。

 同校の教育の柱となっているのが「探究」と「EQ」(こころの教育)です。「探究」は2020年度からは6年間の「C-AIR(シー・エア)プログラム」に刷新され、「社会とのかかわり」を軸とするプログラムに取り組むようになりました。1・2年生(中1・2)はグループ活動が中心で、伊勢原市の行政と連携して1年生は人文社会学系の、また2年生は自然科学系の課題解決の方法を考えながら、探究方法を学びます。3・4年生(中3・高1)では「言語・文学」「地理・歴史学」「数理科学」「物理学」など12分野に再編したゼミに分かれて探究活動を行い、4年生で約1万字の学術論文を執筆します。5年生(高2)は自分で設定したテーマに沿って個人やグループで自立的に活動し、思考力・表現力を磨きます。このプログラムは6年生(高3)では選択制となりますが、大学進学後を視野に入れて自由課題に取り組み、その成果を入試に生かす生徒も多いそうです。

 また、1~3年生では、「EQ(こころの知能指数)理論」を応用した科学的視点に基づく「SS(セルフ・サイエンス)」の授業を実施。生徒たちは、年1回の「EQ診断」で自分の思考や行動の特徴を理解し、感情をコントロールする方法を学んで、コミュニケーション能力を身につけます。保護者向けのEQセミナーも実施しており、好評を得ているとのことです。古跡先生は「本校には『一人ひとりが自修館』ということばがあるとおり、生徒の可能性を最大限に伸ばすことを常に考えている学校です」と締めくくりました。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

イメージ写真 小田急線「愛甲石田」駅からスクールバスで約5分。2019年にリニューアルした図書館は、多彩な探究学習で使用する学術資料などが充実しています

www.jishukan.ed.jp/ 別ウィンドウが開きます。

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