受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

千代田区立九段中等教育学校

2021年10月21日(木)

「本物から学ぶ」体験を重視し、国際社会で活躍する次世代リーダーを育てる

 区立としては唯一の中高一貫校として2006年に開校した千代田区立九段中等教育学校。教育目標に「豊かな心 知の創造」を掲げ、国際社会に貢献する「次世代リーダーの育成」をめざしています。オンラインで行われた説明会の冒頭で、校長の牧野敦先生は、教育目標の「豊かな心 知の創造」に触れ、「本校がめざす『知の創造』とは、知識を詰め込むことではなく、予測不可能な未来に対応できる『確かな学力』を身につけることです。『確かな学力』を軸に、先人が重ねてきた体験と知恵を掛け合わせ、変化の激しい時代に対処できる人材を育てることが、本校の目標です」と述べました。

 続けて、総務部の髙橋省司先生が具体的な教育内容や学校生活について説明しました。学校の周辺に官公庁、大企業、大学、研究機関などが点在する同校では、その地の利を生かし、さまざまな教科の授業で、それらと連携した体験教育や講演会を実施しています。髙橋先生は「千代田区の公募制度により、熱心な教員も数多く確保できるため、英語や数学では習熟度に応じた少人数指導やチームティーチングも実現できます」と話しました。

 さらに、髙橋先生は同校の教育活動の基本方針として「学ぶ」「生きる」「鍛える」の三つを挙げました。「学ぶ」では、主要教科の通常授業を中心に紹介。まず、理科は「本物から学ぶこと」 を重視し、六つの実験室を活用した実験を多く行っているとのことです。開校当初から力を注ぐ英語は、ペアを組んで対話するスキットや、グループワークによる発表の機会を多く取り入れて、4技能をバランス良く伸ばしています。始業前には隔週で外国人留学生による「イングリッシュシャワー」が、放課後には外国人講師による「イングリッシュサロン」が実施されます。国語や社会ではディベートを多く取り入れて論理的思考力を育成しています。中1~3に相当する前期課程(1~3年)修了時には、3年間の学習理解度を図る「大樹」という実力テストを実施して、前期課程の学習をしっかり振り返ってから、高1~3に相当する後期課程(4~6年)に入るようになっています。

 続いて、「生きる」については、6年間かけて実施されるキャリア教育「九段自立プラン」について説明されました。1年生では「地域を知る」をテーマに、近隣の企業を訪問し、与えられた課題について解決策を提案します。2年生では「世界を知る」ことを目的に大使館訪問を、3年生では日本伝統文化学習「江戸っ子塾」と称して、助六だいこや囲碁・将棋など、日本の伝統文化に関する講座を開講し、その学んだ内容を海外研修で外国人に伝えていきます。それらを素地として、全員参加のオーストラリア海外研修旅行(3年)、シンガポール海外修学旅行(5年)、大学の研究者や学生と交流を深めるUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)海外大学派遣研修(4・5年生選抜)などがあり、海外に赴いて実践的な活動を行い、国際感覚と人間性を大きく向上させます。

 最後の「鍛える」については、授業前に「おはようスタディ」という自習時間を設けています。放課後には、教員と大学生チューターが指導する「放課後スタディ」の時間もあります。このように、授業以外でも学力を養成する取り組みをしています。また、学校行事も盛んです。特に、4年生で開催される伝統的な「至大荘行事」では、千葉県勝浦市の沖で最長2㎞の遠泳に挑み、心も体も鍛えます。髙橋先生は「こうした行事に没頭し、仲間と一緒に困難に立ち向かったことは一生の思い出になります。仲間を思いやり、高め合う心も育まれ、まさに心身共に成長していくのです」と強調しました。

 2022年度の適性検査は、例年と同様に2月3日に実施します。募集区分は、千代田区内に居住し、入学後も継続して居住する者を対象とした「区分A」と、それ以外の東京都内居住者が応募できる「区分B」とがあり、定員はそれぞれ80名です。入学者決定に当たっては、小学校からの報告書に記載された4~6年の3年分の評定も点数化され、適性検査の成績と合わせて判定されます。

イメージ写真 1~4年生は多くの特別教室がある九段校舎で、5・6年生は静かに学習できる環境が保たれている富士見校舎でそれぞれ学校生活を送ります

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