受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

甲陽学院中学校

2021年8月31日(火)

中高が別の場所で実践する
発達段階に応じた教育

 2017年に創立100周年を迎えた甲陽学院は、関西を代表する男子進学校として知られています。この日の説明会では、まず進学資料室室長の杉山恭史先生が、完全中高一貫校でありながら、中学と高校が別の場所に立地する同校の特色を紹介しました。どちらのキャンパスも同じ西宮市内ですが、中学は海側に、高校は山側に位置し、校舎や講堂、グラウンドなどすべての施設が両方にあるほか、学校行事やクラブ活動も別々に行っています。杉山先生は「中学生と高校生とでは、発達のスピードや内容に大きな違いがあります。それぞれに合った教育環境が用意できるのが別立地のメリットです。中だるみもありません」と話します。

 一方、教員は原則として6年間の持ち上がり制で、生徒一人ひとりの学業面や精神面を継続的かつていねいにケアしています。中高とも週6日制で、習熟度別クラスは設けず、土曜午前に4コマの授業がある分、平日は15時過ぎに授業が終了。放課後にクラブ活動や自分の好きなことに打ち込む時間をしっかり確保しているのです。クラブ活動については、兼部も可能であることから、中学生の参加率は100%を超えているそうです。

 次に、生徒の自主性を重んじる伝統についての話に移ります。原点は、創立者の伊賀駒吉郎の「子どもたちがそれぞれの個性を発揮できる、自由な学校をつくりたい」という思いにあります。自由を尊び、校風として掲げるのは「明朗・潑溂・無邪気」。そこには、生徒一人ひとりに伸び伸びと育ってほしいという願いが込められています。

中学では「自立」をめざし
高校では「自律」の精神を養う

 後半は、中学と高校の違いについて詳しい説明がありました。中学でめざすのは「自立」です。生活の基本、学習の基本を身につけるため、制服の着用や礼儀作法の体得を徹底し、授業では実験や実習を重視します。生物では必ずカエルの解剖を行うなど、実際に手を動かして学ぶ体験を積み上げるとともに、宿題やノートのチェックを細かく行っているとのことです。校外学習や夏の合宿、スキー合宿など、学校行事も充実しています。

 中学3年間で「自立」した生徒が高校でめざすのは「自律」です。高校では服装も髪型も自由で、生徒の自主性が尊重されます。みずからの手で未来を開く3年間と位置づけられています。また、文系と理系とでクラスを分けないため、卒業まで各クラスに両方の生徒がおり、お互いに刺激し合うことで、生涯の友人になっていくそうです。「教育の最大の目標は自立と自律。甲陽学院が考える自由とは、自律としての自由です」と杉山先生。その実践が中高それぞれのやり方でされていることがよくわかります。

 最後に、東京大学31名、京都大学57名など、今春の大学合格実績の報告がされました。杉山先生は、例年同様に安定した結果だったと振り返りつつ、「いわゆる『いい大学』に入ることが目標ではありません。自分で決めた学問の道を追究する『いい大学生』になり、社会で活躍できる『いい人間』になってもらうことがわたしたちの願いです」と強調。コロナ禍で公開行事の実施が難しいなか、「せめて写真で生徒の生き生きとした表情を見てください」とたくさんの画像を映し出しながら、この日の説明会を締めくくりました。

イメージ写真

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