受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

東京都立白鷗高等学校附属中学校

2021年10月19日(火)

伝統文化に根差した先進的な教育を実践し、国際社会で活躍するリーダーを育成

 都立白鷗高等学校附属中学校は、2005年に初の都立高校附属中学校として開校しました。その前身は1888年創立の東京府高等女学校で、現在では伝統文化教育とグローバル教育を推進しています。2019年度からは文部科学省のWWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業の共同実施校に指定され、帰国生や外国人生徒の受け入れを積極的に行うなどして、国際色豊かな教育環境を整えています。

 オンラインで開催された説明会の冒頭、今年度から校長に就任した宮田明子先生は、「伝統ある名門校として常に時代をリードしてきた本校は、いま、新たな学校としてさらなる変革を進めている最中です。世界で活躍できるリーダーの育成をめざし、『日本の伝統・文化理解教育』『課題探究型学習』『ダイバーシティ(多様性)教育』を特に重視しています」と述べました。

 同校では、中高6年間を3期に区切り、第1期(中1・2)は「学習習慣と生活習慣の確立」、第2期(中3・高1)は「自律の準備、基礎学力の定着」、第3期(高2・3)は「深い学びにつながる主体的・自律的学習」という目標を設定したうえで、各期の教育プログラムが成長段階に合わせた目標に沿って構成されています。

 また、台東区元浅草という立地を生かして、日本の伝統文化に触れる機会を豊富に設けています。一つ目の教育の柱である「日本の伝統・文化理解教育」について、宮田先生は「従来のプログラムにグローバルな視点を加えて強化していきます」と述べ、中学の音楽では三味線と琴が全員必修となっていることを説明しました。高1の「総合的な探究」の時間には、鳥越祭・流鏑馬体験、江戸切子体験などを通して地域の伝統文化に親しみながら学びを深めます。高2の「日本文化概論」では、「日本の生活文化」「将棋」「囲碁」「茶道」「華道」「書道」「日本音楽史」のなかから三つを選択して学びます。中学入試において、「囲碁・将棋」「邦楽(三味線、箏、囃子)」「邦舞・演劇(日本舞踊、歌舞伎、能・狂言)」に継続して取り組み、上級の資格や卓越した能力のある生徒を募る6名分の「特別枠」を設けているのも特徴です。

 二つ目の柱は「課題探究型学習」です。第1期には、学校周辺の地域を調べる「上野・浅草学」など、日本の伝統文化に根差したプログラムを実施します。続く第2期には、「世界の中での日本」に目を向けて、議論やプレゼンテーションへと発展させ、第3期には生徒自身が選んだテーマを掘り下げて論文を作成します。高3では、それを英語の論文に仕上げ、世界に発信します。

 三つ目の柱となる「ダイバーシティ(多様性)教育」では、発信力を重視した外国語教育に力を注いでいます。中学では英文エッセイ、高校では英語論文に取り組み、「英語で書いて伝える力」を鍛えます。また、英語以外の教科を英語で学ぶCLIL(内容言語統合型学習)やオンライン英会話も導入しているのが特徴です。さらに、オーストラリアの姉妹校との交流や、在校生宅でのホームステイといった留学生の受け入れ、ネイティブ講師が常駐する「ランゲージルーム」が設置されているなど、日常的に英語を使う機会も豊富です。中2では、スペイン語・ドイツ語・フランス語・中国語から1言語を選択する「第二外国語」が必修となり、希望者は高校でも選択授業で学習を継続できます。

 東京大学を訪れ、模擬授業を受けたり卒業生に大学を案内してもらったりする「上級学校訪問」(中3)、大学27校が集う「大学説明会」(高2)など、進路を見据えたキャリア教育も充実しています。高2の夏期休暇中には4泊5日の勉強合宿を実施するほか、卒業生がチューターとして学習アドバイスを行う「チューター制度」、難関大学志望者に向けた大学別の集中講座「チーム難関大」も開講されています。

イメージ写真 西校舎と東校舎に分かれるキャンパス。和太鼓、長唄・三味線、百人一首など、日本の伝統文化を大切にするクラブが多く、全国レベルで活躍しています

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