受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

湘南学園中学校

2021年10月27日(水)

総合学習を軸とした「湘南学園ESD」で「持続可能な社会の担い手」の育成をめざす

 神奈川県の藤沢・鵠沼の地元有志が「自分たちの学校をつくろう」と、1933年に創立した湘南学園。建学の精神に「個性豊かにして 身体健全 気品高く 社会の進歩に貢献できる 明朗有為な実力のある人間の育成」を掲げる同校は、生徒一人ひとりの個性を認め、伸ばしていく教育を実践しています。

 説明会の冒頭、校長の伊藤眞哉先生は「湘南学園ESD」について話しました。ESDはEducation for Sustainable Developmentの略で、「持続可能な開発のための教育」を意味し、その内容はSDGs(持続可能な開発目標)と密接にかかわっています。同校は、2013年にESDを推進する学校の一つとしてユネスコスクールに加盟し、気候変動や紛争など地球上の諸問題を解決するための17の具体的な目標であるSDGsの考え方を教育に取り入れています。

 この「湘南学園ESD」は、「教科教育」「グローバルな学び」「食育」「協働を学ぶ自治活動」「総合学習」「キャリアデザイン」という六つの学びで構成され、そのなかで軸となるのが、30年前から継続して取り組んできた総合学習です。生徒の発達段階に応じた多彩なプログラムを実施して、さまざまな事柄との関連性を推察し、“自分事”としてとらえる力や、本質を見極める洞察力を養っています。中学では、湘南地域を起点に、視野を他地域へと広げ、人々との出会いや体験学習を通して「協働する」ことの意味を学びます。そして、高校では、世界の諸問題に目を向け、実社会に生きる人々に学びながら、社会とのかかわりを通して自分の生き方を考えていきます。

 グローバル教育にも力を注いでいます。歌やダンスのワークショップでショーを作り上げる「ヤングアメリカンズ」や、3日間英語漬けで過ごす「イングリッシュキャンプ」のほか、中3ではカナダ・バンクーバーへの研修旅行を予定しています。サステナブルシティ(持続可能な都市)として知られるバンクーバーで、環境を大切にした街づくりについても理解を深めます。

 進学指導については、「大学入試改革に対応すべく、選択授業の充実化を進めている」とのことです。近年、総合型選抜や学校推薦型選抜による受験者が増加している状況を踏まえて、伊藤先生は「今後は大学入学共通テストや小論文対策のほか、データサイエンス、グローバル地域研究、サステナブルキャリアなどの授業を通して思考力アップを図り、点数主義からの脱却をめざしていきます。学校生活でのすべてが学びになります。ESDを1本の木にたとえると、さまざまな取り組みによって一人ひとりの枝葉が伸びていき、周囲から得たものをエネルギーに変えて自分の幹や根っこに蓄えていくというイメージです。それらの学びが、個々の人生を支えていくしっかりとした土台となってくれることを願っています」と結びました。

 続いて、入試広報主任の小林勇輔先生が、学校の現状と新型コロナ対応による変更点について説明しました。緊急事態宣言が発令されていた今年9月には、すべての授業をオンラインで実施しました。生徒は自宅で自分が所有する端末を使うBYOD方式か、登校して授業を受ける方法のいずれかを選択したそうです。また、今年の中1から、成績の評価方法を変更し、学年順位の表記を廃止しました。小林先生は「他者と比較するのではなく、自分の内側に軸を持つようにさせることが狙いです」と説明しました。

 2022年度入試については、「複数回受験者対象の優遇措置と、湘南学園ESD入試などについて若干の変更があります。詳細は最新の募集要項をご確認ください」とのことでした。

イメージ写真 保護者が生徒の「食育」のために立ち上げたNPO法人・湘南食育ラボが運営するカフェテリア。地元の食材を使ったメニューを用意しています

www.shogak.ac.jp/ 別ウィンドウが開きます。

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