受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

千葉市立稲毛国際中等教育学校

2021年10月25日(月)

グローバル・リーダーの育成を目標に、千葉県初の公立中等教育学校が誕生

 2022年4月、千葉県初の公立中等教育学校として千葉市立稲毛国際中等教育学校が開校します。その前身となるのは千葉市立稲毛高等学校と、2007年度に誕生した同高校の附属中学校です。これまで両校で実践してきた教育活動を継承しながら、6年完全一貫教育体制に移行し、国際教育や課題解決型学習といった取り組みを拡充させていく予定です。

 オンライン説明会の冒頭、校長の伊澤浩二先生は「AIが台頭し、社会や生活が劇的に変化する時代を生き抜く子どもたちに求められるのは、自分で未来を切り拓く力ではないでしょうか」と語り掛け、「地域・世界・未来を切り拓くグローバル・リーダーの育成」という教育目標に触れました。その実現に向けて、併設型公立中高一貫校時代から同校が力を注いできたのが、社会課題やその解決策を見いだすための探究型学習と、国際社会での活躍を見据えたグローバル教育・英語学習です。その成果について、伊澤先生は「大学進学実績が着実に伸び、東京大学をはじめとする国公立大学や難関私立大学に多くの合格者を輩出する進学校として認知される存在になりました。何よりも誇れるのは、大きな夢と高い志を持つ生徒が集まり、切磋琢磨する環境が整っていることです。皆さんもぜひ、その一員になってください」と結びました。

 具体的な教育内容については、中学教頭の勝部恭央先生が説明します。最大の特色は、社会問題や世界的な課題について深く考える体系的な探究活動「Inage Quest」にあります。現在の附属中学では、「iちばn(一番)プロジェクト」「道プロジェクト」「成田プロジェクト」「東京ABCプロジェクト」といった日本の伝統文化や地域への理解を深めるための活動が行われています。たとえば「成田プロジェクト」は、訪日外国人へのインタビューを通して国際交流のスキルを磨くとともに、成田の伝統文化について学習した内容を発信する貴重な機会となっています。現在は新型コロナウイルス感染症の流行により中止されていますが、状況が改善したら再開される予定とのことです。一方、高校生は千葉市の諸問題に関する調査を行い、提言する「千葉市創生プロジェクト」や、ゼミナール形式で個人の探究テーマに取り組む「SDGs(持続可能な開発目標)リサーチプロジェクト」という活動をしています。勝部先生は「地元に密着しているのが公立校の強みです。その特性を生かして、生徒が自分たちの目線で地域の課題を見つける研究を行い、市長にプレゼンテーションする『千葉市創生プロジェクト』という活動につなげています」と語りました。

 また、同校では早期に基礎学力を着実に身につけ、応用力を育むカリキュラムの下、論理的な思考力を養う数学と、グローバル・リーダーに欠かせない英語の学習に特に力を注いでいます。予定されている前期課程3年間の授業時間数は、数学が525時間、英語が595時間に上ります。勝部先生は「標準的な公立中学校の授業時間数は420時間ですから、じっくりと基礎固めができます。3年次から高校の学習内容に入りますが、時間をかけてしっかりと学び、理解が不足している生徒には課外でのフォローも十分に行っていきます」と説明しました。続く後期課程では選択科目を増やし、生徒一人ひとりの将来に応じた学びを実現させていきます。

 現在、中高合わせて9名の外国人教員が勤務する同校では、日本人教員による指導も含め、すべての英語の授業がオールイングリッシュで行われています。さらに、5年次・6年次の選択科目として、中国語・ドイツ語・フランス語の授業が週2時間あり、どの言語もネイティブ教員が指導します。外国の中高生との交流を図る行事や交換留学制度のほか、アメリカ、カナダ、オーストラリアでの海外語学研修(5年生全員対象)、福島県のブリティッシュヒルズでの英国合宿(4年生全員対象)も実施される予定です。

イメージ写真 大規模改修工事を経て、2024年冬には、ICT環境の充実した新しい校舎が完成します

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