受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

海城中学校

2022年5月26日(木)

探究型学習で学習意欲を促進し、リベラルでフェアな精神を持った「新しい紳士」を育成

 1891年に古賀喜三郎が私財を投じて創立した海軍予備校を前身とする海城中学高等学校は、開校以来「国家・社会に有為な人材の育成」を建学の精神に掲げる完全中高一貫の男子校です。2021年9月に理科教育・STEAM教育の拠点となるScience Centerが完成し、科学的思考力を培う多彩な取り組みによって教育理念の「リベラルでフェアな精神を持った『新しい紳士』の育成」をさらに強化させています。

 この日のオンライン説明会では、まず、校長特別補佐で入試広報室長の中田大成先生が同校の教育の特徴について語りました。30年前から学校改革に着手し、近年では進学実績や学校活動にその成果が顕著に表れているそうです。この日の説明会では、国内最大規模の科学コンテスト「日本学生科学賞」に出場し、2位入選を果たした2人の生徒がクローズアップされました。それぞれ地学部と物理部に所属していた2人には長く接点がなかったのですが、生徒会活動(文化祭実行委員会)で出会ったことがきっかけで付き合いが始まり、紆余曲折を経て共同研究を開始しました。この日は、研究を続けるうちに人間として成長していく2人の軌跡をたどりながら、同校の学びのスタイルが紹介されました。

 そのキーワードとなったのが、「新しい学力」と「新しい人間力」です。同校では、両方をバランス良く備えた人材の育成をめざしています。「新しい学力」とは、課題設定・解決能力のこと。その力を磨くため、中学の社会科では探究型の総合学習を導入しています。学期ごとにみずから選んだテーマに対して取材や調査を重ね、自分なりの答えを導き出してレポートを作成し、中3ではその集大成として卒業論文を仕上げます。また、探究学習を発展させた自由参加型の特別講座「KSプロジェクト」も特徴的で、SDGsやプログラミングなどその内容は多彩。生徒のコアな興味・関心をとことん深掘りし、持続的な学習意欲につなげています。また、研究内容を公の場で発表するなど、学びの姿勢をオープンにすることで、異分野との融合が期待できる場にもなっています。

 一方、「新しい人間力」は、社会で共生・協働するために要求される力です。チームが一丸となって課題をクリアしながら互いの信頼関係を構築する「プロジェクトアドベンチャー」(PA)、即興劇をはじめとした演劇の手法により人間関係力や共感能力を鍛える「ドラマエデュケーション」(DE)という、二つの体験学習を取り入れて能力アップをめざしています。「PAやDEでは、コミュニケーション能力やコラボレーション能力の基礎を学びます。クラブ活動や学校行事、生徒会活動はその能力を応用する場です。精いっぱいの力を尽くし、その経験を積み重ねていくことでさらなる飛躍に結びつくはずです」と、中田先生は話しました。

 続いて、卒業生の進路に関する説明がありました。2022年春の卒業生の現役進学率はおよそ70%で、10年前より15ポイントも向上しています。特に近年では、在学中の活動や入学後の学習計画を評価する推薦入試で高い評価を得ており、今年は東京大学の学校推薦型選抜で2名、京都大学の特色入試で2名、東京工業大学の総合型選抜で3名が合格を果たしました。さらに海外の大学にも延べ20名校に合格し、4名が進学するなどグローバル教育の成果も着実に表れています。

 後半は入試広報室の塩田顕二郎先生から学校生活や施設、入試の説明がありました。特筆すべきは、物理・化学・生物・地学の専用実験室9室を完備したScience Centerです。「建物自体を教材に」をコンセプトに、あらゆるところに学びの仕掛けが施され、ソーラーパネルや風力発電機の仕組みも間近で見られます。

 2023年度の入試に変更はありません。最後に「過去問に取り組む際は、得点率65%を合格の目安にしてください」というアドバイスがありました。

イメージ写真 2021年7月完成の「Science Center」。360度カメラで撮影した実験授業の様子や部活動の紹介動画を埋め込んだVR映像は、学校ホームページでも公開されています

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