受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

海陽中等教育学校

2022年6月11日(土)

ハウス(寮)での共同生活を通して、日本を牽引する明るく希望に満ちた人材を育成

 建学の精神に「将来の日本を牽引する、明るく希望に満ちた人材の育成」を掲げる海陽中等教育学校は、愛知県蒲郡市にある全寮制の男子校です。トヨタ自動車・JR東海・中部電力をはじめとする約80社の賛同を得て、2006年に設立されました。すべての生徒は中高6年間、「ハウス」と呼ばれる生徒寮で共同生活を送り、高い学力、協調性、社会性、多様な価値観を身につけていきます。

 SAPIX代々木ホールで開催されたこの日の説明会では、広報・生徒募集部長の近松貴史先生が登壇。最初に同校の卒業生がドローンを使用して学校の全景を撮影した動画を上映し、東京ドーム2.8個分の広大なキャンパスや、生徒が生活するハウス、充実した医療設備を整えた保健棟などを紹介しました。続いて、同校の沿革に触れた近松先生は、「バブル崩壊後、日本を代表する企業の経営者は、今後の日本を背負って立つリーダーの不足、そして社会で活躍できる人になるための教育が不十分だという共通認識を持ちました。そこで、社会で活躍するために必要な『対人能力』『問題解決能力』『自己管理能力』の三つを育成できる全寮制の中高一貫校を、イギリスで500年以上の歴史を持つ名門パブリックスクールのイートン校をモデルに設立したのです」と語りました。

 同校では、ハウスを一つの教育機関としてとらえています。「学力向上のための学校」と「人間力を高めるハウス」を両輪とし、学校の近隣に自宅がある生徒も含め、全員がハウスで暮らしています。近松先生が「全寮制のメリット」に挙げたのは、「時間」と「ミニ社会」です。「通学時間ゼロ」「スマートフォンの使用禁止」という環境にあるため、生徒たちは毎日の時間を学習や課外活動などに有効活用できるそうです。また、ハウスには北海道から沖縄まで全国各地から生徒が集まるため、ことばや背景となる食生活・文化なども出身地によってさまざまです。「生徒たちの性格や行動にも地域性が見られ、多様性のなかで『ミニ社会』を構築しながら、人間力を育むことができます」と、近松先生は説明しました。

 キャンパス内にある12棟のハウスでは、社会経験が豊富な教職員が寮長に相当するハウスマスターとなり、生活全般を指導。2~4階の生徒居住フロアでは、フロアマスターがきめ細かくサポートしています。この「フロアマスター制度」は同校ならではのシステムで、年間に約25人の若手社員が企業から派遣され、生徒たちと寝食を共にしながら13か月間、学習や生活のサポートをします。その経歴は、大企業の人事担当者から旅行代理店社員、航空会社パイロットなどさまざまで、最近では元スポーツ選手も多いとのことです。大学受験や就職活動を経験してきたフロアマスターからノウハウを学ぶなど、キャリア教育にもつながっています。学習面では、専門の教員がハイレベルな授業を行い、基礎学力と人間力をバランス良く伸ばしています。

 一方で、生徒が主体となって企画・運営するスポーツフェスタ(体育祭)や海陽祭(文化祭)をはじめとする学校行事も大切にしています。ハウス独自の行事としては、三河湾でのクルージング、富士登山、旅行なども実施され、生徒たちは縦と横の絆を深めていきます。

 このような環境で成長した生徒たちは、国公立大学や難関私立大学に数多く進学しています。第1~11期までの卒業生1109名のうち、93名が東京大学に進学。スタンフォード大学やブラウン大学など、海外の名門大学にも多数の合格者を輩出しています。

イメージ写真 東京駅からは新幹線を利用して2時間強でアクセス可能。三河湾に臨む開放的なキャンパスで全生徒が生活しています

www.kaiyo.ac.jp/ 別ウィンドウが開きます。

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