受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

聖光学院中学校

2022年6月15日(水)

学びのチャンスを広げ、「複線の人生」に必要となる力を育む

 聖光学院は、フランスのキリスト教教育修士会を母体とする聖マリア学園によって、1958年に中学校が、1961年に高校がそれぞれ設立されました。「紳士たれ」をモットーに、カトリックの世界観に基づいた全人格的な人間教育を行い、献身の精神と高度な学識を兼ねた人材を育成しています。

 この日の説明会で校長の工藤誠一先生は、「校長就任以来、本校を『開かれた学校』にしたいと考えて教育活動を行ってきました」と語り、同校の特色ある教育内容について説明しました。中2の土曜の3・4時限には、外部の専門家を講師に迎えた「選択芸術講座」を設定し、国際人としての豊かな感性を育んでいます。独自の体験講座「聖光塾」にも外部からの特別講師を招き、多彩な活動を展開します。同時に「学校に縛りつけない教育」をめざして、生徒の学外での幅広い活動もバックアップしています。

 「一つの道を選び取ってひたすら歩む時代は終わり、これからは、“複線の人生”を念頭に置いた人生100年時代の教育が必要です。そのためにも、中高6年間は、リベラルアーツを身につける時期といえるでしょう」と言う工藤先生は、中1から聖書について学ぶことの意義について、次のように話しました。「西欧の美術・音楽・文学など芸術にはキリスト教が大きな影響を与えています。時代が変わってもその本質は変わっていません。つまり、2000年以上前に書かれた聖書が、われわれに生きる知恵を与えてくれるのです」。

 こうした豊かな学びを土台にして伸ばしているのが、英語力とICTを活用する力です。昨年度から導入された「Seiko Study Camp」(中3~高2)には、朝から夕方まで英会話をする「English Course」と、国際的・社会的な問題に関する英語と日本語の講演を聞き、洗足学園の生徒とともに英語でグループディスカッションを行う「Academic Course」の2コースがあります。このほかにもフィリピンの講師と結んだオンライン英会話など、英語力向上のさまざまな取り組みを実践しています。工藤先生は「ここ数年は海外研修などが難しい状況でしたが、国内に居ながら、これまで海外で行っていたようなプログラムを高いレベルで実施できるようになりました」と話しました。

 探究・情報科教育については、中1からノートパソコンを活用して日常の学校生活のなかで使いこなしている様子が紹介されました。情報の授業も数学の教員が担当し、データ解析やPythonを用いた本格的なプログラミングを学んでいます。

 「本校は、旧態依然とした教育を行う学校ではありません。絶えず工夫し、『走りながら変える』学校です」という工藤先生。学校行事へのこだわりは強く、コロナ禍でさまざまな制約があるなかでも宿泊行事や体育祭、学園祭など、そのほとんどを中止ではなく延期にして、感染対策を講じながら、できる限り実施してきました。そうした行事の多くが生徒主体で行われ、自主性や企画力を発揮する機会となっています。また、既存の枠を超えた活動を支援するために、有志による「公認団体」の立ち上げを奨励しており、生徒たちはe-Sports大会の開催やウクライナ支援の英語劇などの活動にも取り組んでいるそうです。工藤先生は「自分で活路を切り開いていくことができるように、多面的なスキルを伸ばし、『個』としての自分を強くしていくことが大切です。生徒がチャレンジすることには柔軟に対応し、神様からもらっている一人ひとりの『タレント』を伸ばしていきたいと考えています」と話しました。

 最後に、工藤先生はマザー・テレサのことばを紹介したうえで、「生徒たちには人々にぬくもりを伝える人として社会に出ていってほしい、そんな願いとともに教育にあたっています」と力強く語り、説明会を締めくくりました。

イメージ写真 2014年に竣工した機能的な校舎は、環境にも配慮した設計。隣接の「ザビエルセンター」は自習スペースとして開放され、高3生は夜の9時まで利用できます

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