受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

中央大学附属中学校

2022年6月17日(金)

めざすのは大学や社会で生きる学び。6年間の探究活動で「真の学力」を育成

 1909年設立の旧制目白中学校が何回かの移転・改称を経て、中央大学と合併したのが1952年のことです。現在の東京都小金井市に移転し、中央大学附属高校となったのは1963年。2001年の共学化を経て、中央大学の創設125周年に当たる2010年4月に、高校と同じ敷地内に、中央大学で初めての附属中学校を開校しました。「自主・自治・自律」を基本精神として掲げる同校では、生徒みずからの活動を尊重する教育を展開しています。

 最初に、中央大学法学部教授で校長の石田雄一先生が登壇し、「大学のゼミにおいて、本校出身者の多くは斬新かつ独創的な提案を行い、中高で培ってきた思考力・発想力・表現力を発揮しています。これは『教養総合』の賜物でしょう」と述べました。

 この「教養総合」は、同校の教育の柱です。中3の「教養総合基礎」では「日々を見る眼」を養うことに、高1の「教養総合Ⅰ」では「問い」を探すことに主眼を置きます。高2の「教養総合Ⅱ」では、「グローバルフィールドワーク」「Project in ScienceⅠ」「トランスサイエンス」「グローカルフィールドワーク」を国内外で行い、課題解決の「本質」に迫ります。高3の「教養総合Ⅲ」では、「卒業研究」(文系)または「Project in ScienceⅡ」(理系)で論文作成に取り組みます。2018年からはスーパーサイエンスハイスクール校(SSH)に指定されており、「Project in ScienceⅡ」では実験や観察に基づいたオリジナルの研究に取り組ませ、その成果を大学生の前で発表することも行われているとのことです。

 次に、中学校教頭の篠薫先生が中学の教育内容について説明しました。「教養総合」は高校から本格的に取り組みますが、中学ではその土台をつくる「体験型学習」を重点的に行っているのが特徴です。篠先生はその具体例として、既存の教科の授業と関連させながら生徒たちがみずから計画した行程で地理・歴史・文化などの探究活動・発表を行う「ワンデイエクスカーション」(中1・2)、京都・奈良移動教室(中2)、沖縄修学旅行(中3)を紹介しました。

 また、「体験型学習」とともに同校が力を入れている、「Project in English」についても説明がありました。「この授業は、英語力だけではなく表現力も育てようというもので、身近なテーマについてグループで調査し、英語で発表します。週1コマ、ネイティブ教員と日本人教員によるオールイングリッシュで学びます。高校では週2時間になり、食糧や環境、資源など、より国際的、社会的問題が発表テーマとなります」と篠先生。一方、高2の「教養総合Ⅱ」で行う各種フィールドワークは、アジアやヨーロッパなど海外でのプログラムが主流でしたが、ここ2年は国内で実施されているとのことです。

 続いて、副校長の大島誠二先生が中高大連携プログラムと進路について説明しました。中央大学との連携プログラムには、「ロースクール法教育」(中3)、「簿記講座」(中3~高3)のほか、大学の授業を専攻履修できる「高大接続先行履修」(高1~3)など、多数の講座を開講しています。大島先生は、「自分の進路を決定するのは高3の1112月です。それまでに、大学の幅広い分野の講座を受講し、自分の個性や志望と大学の学部・学科などとのマッチングを図ることができます」と話しました。

 中央大学への進学枠は卒業者数の約9割で、例年、1割前後が他大学に進学しています。内部推薦枠の選考は、高校3年間の全科目合計の学業成績によって順位をつけ、成績優秀者から希望する学部・学科を選んでいくとのこと。中央大学への被推薦権を保持したまま、国公立大学を受験することも可能です。私立大学については、医学部など中央大学では学べない学問領域に限って被推薦権を持ったまま受験ができます。他大進学者は、指定校推薦も含め自らの意志で中央大学以外の選択を行うものが大半です。

 最後に、大島先生は参加者にこうメッセージを送りました。

 「受験勉強にとらわれる必要がない本校では、大学進学後に、さらには社会に出た後に生きる学びを重視し、実践しています。また、学校生活においてはルールで縛るのではなく、何が正しいのかを生徒自身に考えさせています。6年間かけて、型にはまならい個性豊かな人材を育てていきたいと考えています」

イメージ写真 蔵書数19万冊を誇る大型図書館、人工芝グラウンド、野球場、三つの体育館など恵まれた環境の下、生徒たちは伸び伸びと学校生活を送っています

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