受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

恵泉女学園中学校

2022年6月28日(火)

「聖書」「国際」「園芸」を柱とした教育で世界平和に貢献できる女性を育成

 1929年、クリスチャンの河井道によって創立された恵泉女学園。第一次世界大戦を経験した創立者の「広く世界に向かって心の開かれた女性を育てなければ戦争はなくならない」という思いを継承する同校は、キリスト教に基づく教育を通して、さまざまな分野で世界平和に貢献できる女性を育成しています。

 この日の説明会では、学校紹介DVDの上映後、同校OGでもある校長の本山早苗先生が登壇し、「聖書」「国際」「園芸」の三つを柱とした同校の教育について説明しました。まず、「聖書」では、毎朝の礼拝や聖書の授業を通して自分らしさを追求し、主体的に生きる力を鍛えます。「国際」では、コミュニケーションツールとしての確かな英語力を培うとともに、国や言語、文化の違いを超え、互いの考えや価値観を受容する広い視野を広げます。本山先生は「本校の国際教育がめざすのは、世界平和を下支えするピースメーカーを育てることです」と語りました。そして、同校の特色でもある「園芸」は、命の尊さを知り、自然との共生をめざすものです。種をまき、畑を耕して収穫する喜びを仲間と分かち合うことで、チームワーク力を育んでいます。

 加えて、四つ目の柱となるのが「芸術」です。同校では、Science、Technology、Engineering、Arts、Mathematicsを総合的に学ぶSTEAM教育やリベラルアーツの要素を盛り込んだカリキュラムを実践し、生徒の感性や表現力をバランス良く伸ばしています。そのため、毎年、卒業生の1割ほどが音楽や美術を専攻する芸術系の大学に進んでいます。

 一方、「考える恵泉」として思考力と発信力の育成にも力を注ぎ、生徒の主体性の向上を図るとともに、自立を促しています。本山先生は同校に制服がないことを一例に挙げ、「服装は個性を表現する手段ですが、TPOに合わせることも大切です。ふだんはジーンズで登校していても、式典などがある際は自分で考えてふさわしい服装を選ぶ必要があります。いわば、自由な服装も教材の一部です」と語りました。

 また、毎朝の礼拝で行われる「感話」では、生徒全員が年に3回ずつ、大勢の生徒たちの前で自分の思いや日ごろ考えていることを語ります。「他者の考えを知り、『自分ならどうするだろうか』と掘り下げることで、主体的に生きていく姿勢や互いを尊重し合う心が芽生え、自分の考えをしっかりと持てるようになります」と、本山先生は話します。

 学習面では、中3で行う「メディア」という授業が特徴的です。メディアリテラシーの習得を目標としたプログラムで、ディベートやグループでの新聞作りを通し、メディア情報を正しく読み解き、批評的に考えたり、責任を持って情報発信したりするスキルを養います。

 理系科目では、グループごとにテーマ設定・実験・結果分析・結論発表に取り組む「探究実験」、専門家の指導の下、継続的な研究に挑む「サイエンスアドベンチャー」を実施しています。さらに、それらの成果発表を兼ねた「サイエンス・デー」を開催したり、希望者が自由研究を行う「理科好きを増やそうプロジェクト」を実施したりして、理系分野の学習意欲を刺激しています。

 「英語の恵泉」といわれる同校では、英語教育にも非常に力を入れています。高3の英検®取得率は2級が78%、準1級以上が14%で、高1と高2の生徒全員が受験した英語4技能検定GTECの平均点は949.9点と、全国平均の776点を大きく上回りました。「基礎をしっかり固めるため、テストでの誤りを分析した『直しノート』の提出や原書のブックリポートの面談を課すなどして、日ごろから学習習慣の定着を促しています。無理な詰め込みをしない「涵養な学習」を行っている成果といえます。校外のさまざまなスピーチコンテストでも毎年優秀な成績を収めており、単なる英語力だけではなく、伝える力を磨く英語教育を実践しています」と、本山先生は強調しました。コロナ禍で中止していた海外留学は、2023年1~2月のオーストラリア中期留学から再開できる見込みとのことです。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

イメージ写真 ホームルーム24室分の広さがあるメディアセンターは、9万冊の蔵書を誇る図書室、コンピュータ教室、学習室、放送スタジオなどを備えています

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