受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

佐久長聖中学校

2022年6月20日(月)

「授業・体験学習・寮」の三位一体の教育で、自分で考え、行動できる人材を育成

 1964年に佐久高等学校として設立され、1995年に長野県初の中高一貫教育校となった佐久長聖中学・高等学校。個性を尊重した学習指導体制を整え、難関大学に多数の合格者を輩出する進学校としての評価を高めています。生徒寮を「家庭的なぬくもりを感じることのできる学びの場」と位置づけ、県内から入学する生徒にも寮生活を推奨しているのが特徴です。

 この日、SAPIX代々木ホールで行われた説明会の冒頭、学園の理事長で精神科医でもあるイチカワドイル徳恵先生は、長野県佐久市にあるキャンパスの立地について、「軽井沢に近く、最寄りの佐久平駅までは東京から北陸新幹線で75分程度と、比較的アクセスの良い場所にあります」と紹介。そのうえで「保護者の方のなかには、わが子が中学校から親元を離れ、寮生活を送ることについて心配なさる方もいらっしゃるでしょう」と語り掛けました。

 寮生活のメリットとしては、規則正しい生活と学習習慣が身につくこと、加えて、自立(律)心や社会性、感謝や思いやりの心が育まれる点などが挙げられますが、「自宅がくつろぎの場であるように、寮においても緊張を緩め、一定程度の自由が必要」という考えから、新たな取り組みをスタートさせているそうです。中学校生徒寮「聖朋館」は校舎に隣接していて、専任の教職員が共に生活し、生活面から学習面まできめ細かくサポートしています。

 寮では、毎日1時間半、宿題や授業の予習・復習に取り組むための「夜の学習会」がありますが、就寝前の45分間は「自室活動」とし、友だちと語り合ったり、くつろいだりと、「各自が好きなことをやる時間」にしています。今年度からは寮での新たなイベントとして、各界から招いたゲストと理事長による対談がスタート。1回目は弁護士として活躍する卒業生が登場しました。参加した生徒からは「死刑制度についてどう思うか」「無期懲役とはどういう刑か」など、さまざまな質問が出たそうです。また、週末には、高校生が「学習サポーター」を務め、中学生に勉強を教える取り組みもスタートしました。

 続いて、校長の佐藤康先生が同校の教育方針について語りました。渋谷教育学園渋谷中学高等学校で入試対策部部長と柔道部総監督を務め、同校の発展に尽力した経歴を持つ佐藤先生は、8年前に校長に就任して以来、指導体制を整えるうえで「自由な学習環境のなかでも、自分で気づき、律することができる『自主性』を育てる」ことを心がけてきたと言います。その第一歩として導入したのが「ノーチャイム」と「カジュアルデー」です。ノーチャイムは、授業の開始や終了を告げるチャイムを鳴らさないというもので、時間を自己管理する大切さを日々の生活のなかで学ぶのが狙いです。また、月に1度のカジュアルデーは、生徒も教員も「何を着てもいい日」で、中高生らしい服装を自分なりに考え、楽しみながら自主性を養うことを目的としています。

 「自分で考え、行動する意欲を後押しするのは『Want to』の感覚」という方針は、体験学習にも反映されています。高3への進級を控えた高2の3月に行われるリフレッシュツアーでは、生徒は行き先の異なる3種類のプランから各自が希望するものを選んで参加します。高校生を対象とする海外研修も四つのプログラムから選択できます。

 学習指導体制は、中1では全生徒が共通の授業を受けますが、中2からは、高校内容を先取りする「アドバンストクラス」と、学習指導要領が定めた内容をじっくりと学ぶ「スタンダードクラス」に分かれます。アドバンストクラスでは英語と数学が習熟度別授業となるほか、学力の定着度合いに応じた選抜講座(東大医進講座)を開講し、最難関大学へ挑む学力の養成を図ります。また、英語教育にも力を注ぎ、中高ともに複数のネイティブ教員が在籍しています。週1回のオンライン英会話、学生インターンシップの受け入れ、ネイティブ教員と英語を楽しむプログラム「Active Conversational English」なども実施しています。

イメージ写真 中学3年間の体験学習「探究プロジェクト」には、乗馬体験・紫米作り・藍染め・和紙作り・キャンプ実習・スキー教室など地域に根差したプログラムが豊富に盛り込まれています

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