受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

普連土学園中学校

2022年7月6日(水)

家庭的な雰囲気の「少人数主義」の下、他者に歩み寄れる成熟した人材を育てる

 1887年、米国留学中の新渡戸稲造と内村鑑三の助言を受けて、キリスト教フレンド派(クエーカー)に属する婦人伝道会によって創立された普連土学園。日本で唯一のフレンド派の学校である同校の校名には、「普(あまね)く世界の土地に連なる」ように、すなわち「この地上の普遍、有用の事物を学ぶ学校」であるように、という願いが込められています。

 この日の説明会では、最初に、広報部長の池田雄史先生から、教育内容や学園生活について説明がありました。池田先生は冒頭、同校の教育の主軸である少人数主義について触れ、「1学年約130名と小規模なので、生徒たちの仲が深まりやすいのが特徴です。毎年のクラス替えや部活動などを通して、ほぼ全員が顔見知りになっていきます。さらに、学習面でも少人数制の長所を生かし、一人ひとりの力を最大限に伸ばしています」と話しました。

 たとえば、中学の数学では、クラスを2分割した少人数授業とチームティーチングで基礎力を固め、中3後期から高校の学習内容に入ります。英語についても、中学1年時より分割授業を導入。なかでも、ネイティブ教員が指導する英会話は、1クラスを3分割して、生徒全員が英語で話せる機会を増やし、さらにペアワークなどのアクティビティーも充実させて「生きた英語」を身につけさせています。

 進路についても、卒業するまでホームルームは文系・理系では分けずに混合型とし、選択科目制によって、生徒それぞれの希望する進路に対応しています。選択科目には、英語の新聞や雑誌などを読み、それに基づいてディスカッションするCCU(Cross Cultural Understanding)や、ネイティブ教員が英作文を指導する授業など多彩です。また、国語科から独立した「論文科」を設置し、専門教員10名が論文指導に当たっています。

 毎朝20分の礼拝が行われているのも特徴です。水曜は「沈黙の礼拝」、木曜はクラス礼拝、月・火曜は教員、金曜はさまざまな委員会の委員長が前に出て話をするなど、曜日によって内容が異なります。池田先生は「クラス礼拝では生徒全員に話す順番が回ってきます。興味のあることを自由に話せるので、生徒間で共通点などを知るきっかけになり、仲を深めているようです。そうやって、礼拝全体で、先輩・後輩や教員との距離も縮める良い機会になっています」と語りました。

 このほか、文系・理系の枠を超えた学際的な学びの場として、春・夏の長期休暇中や放課後に「教養講座」が開講されています。この教養講座からは電子工作やプログラミングに取り組む理科系サークル「Friends Fab」が誕生し、国際的なロボットコンテストで活躍しました。また、理科部のロケット班も「ロケット甲子園」で3年連続の優勝。国際大会に出場しました。

 国際交流プログラムも豊富です。たとえば、イングリッシュ・ランチや、英語だけを使って2泊3日を過ごすイングリッシュ・キャンプのほか、オーストラリアやアメリカのフレンド派の学校と連携した留学制度も用意しています。また、AFSという国際教育交流団体を通して、イタリアやフィンランドなど、英語圏以外の国に留学する生徒もいます。

 最後に、校長の青木直人先生が登壇。同校がキリスト教の女子校であることに触れながら、「共学では無意識に男女の役割を分けてしまうこともあります。しかし、女子校では力仕事なども全員で取り組むので、たくましく成長します。また、フレンド派の『一人ひとりの人間はかけがえのない存在』『さまざまな人の考え方を尊重する』という精神の下、生徒たちがお互いの個性を認め合っているので、どんなタイプの生徒にも居場所のある学校です」と強調しました。そして、社会貢献に生かすさまざまな平和活動や奉仕活動に従事してきたフレンド派の歴史なども紹介しました。

イメージ写真 静かで落ち着いたキャンパス。2022年春は卒業生121名のうち8名がお茶の水女子大学や千葉大学などの国公立大学に現役で進学しました

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