受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

逗子開成中学校

2022年7月15日(金)

特色ある「海洋教育」で、人としての基礎を築き、主体的に生きる力を身につける

 逗子開成中学校・高等学校は、東京開成学校(現在の開成中学校・高等学校)の分校として1903年に開校した、神奈川県でも有数の進学校です。創立者は東京開成中学校の校長も務めた田邊新之助で、「都心から離れ、交通の便が良く、海と山に囲まれた逗子の地が教育に適している」として開校の地に選ばれました。校名は「開物成務(人間性を開拓・啓発し、人としての務めをなす)」にちなみ、校章の「ペンと剣と桜」には、「自分の考えを正しくことばで伝えることができ、相手のことを理解できる人になってほしい」という願いが込められています。

 説明会の冒頭、あいさつに立った校長の高橋純先生が教育方針について説明しました。最大の特徴として挙げたのは、逗子の海を利用した海洋教育です。同校では、教育課程特例校として「海洋人間学」が授業として認定されており、人文社会科学や自然科学を含めた総合的な観点に立って学びを進めていきます。なかでも、今年で35回目を迎える「遠泳実習」は、中学生活最大のイベントにもなっています。海岸から逗子湾内を1.5Km泳ぎ切る泳力を身につけるために、屋外温水プールを利用した水泳の授業が中学入学後の6月から始まります。まったく泳げなかった中1の生徒でも、顔を水につけることから始まり、スモールステップで少しずつ課題をクリアしながら上達していくそうです。中3になるといよいよ海での練習が始まり、7月に本番を迎えます。今年は、この説明会の2日前に遠泳実習が実施され、高橋先生は「直前はみんな不安な表情をしていますが、終わった後は達成感と自信に満ちた顔に変わります。生徒は遠泳を通して、苦手なことも目標達成のために努力すれば、成し遂げることができるということを理解するのです」と話しました。

 また、中学の3年間で生徒が協働して学び、作業し、海に挑むのが「ヨット製作と帆走」です。併設の専門施設「海洋教育センター」で、中1の秋からヨット製作を開始し、それと並行して「海洋学特別講座」で海に関する知識を得るとともに、生徒の研究心を育てます。3年間で4回のヨット帆走実習を行い、中2・3では自作のヨットで海に出て、操縦します。高校では、東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センターや海洋研究開発機構(JAMSTEC)による「海洋人間学講座」(希望制)を開講し、海を取り巻く環境や人との関わりなどを学ぶ機会を設けています。

 6年間の一貫教育では、授業と家庭学習の両輪で基礎学力を固め、学び続ける力を養います。中学では「学習の手引き」というオリジナルの手帳を活用し、予定と学習計画を記録して、自学自習の習慣を身につけていきます。また、授業とは別に、100以上の講座から自由に選んで受講できる「土曜講座」も人気です。自分の興味・関心に合わせて、知的好奇心を刺激する講座をいくつでも選択することができます。講座のテーマは実験や生物観察、ハイキング、演劇など多岐にわたり、生徒たちは趣味を増やしたり、考え方の幅を広げたりする体験を楽しんでいるそうです。

 高橋先生は、「女子の精神年齢が高くなる中高の時期に、委縮せず伸び伸びと学校生活を送れるのが男子校の良いところです。どんなタイプの子でも自分の居場所をつくることができ、一生の友人ができます。生徒には、自分がどんな存在で、どこに向かっていくのかを考え、自立してほしいと願っています」と結びました。

 最後に、教頭の小西信行先生が2023年度入試について説明しました。帰国生入試は12月26日、一般入試は2月1日、3日、5日に実施予定です。小西先生は、「各科目で65~70%の得点をめざしましょう。合格は実力の証です。ぎりぎりで合格しても入学後の心配はいりません。最後まであきらめない心で挑戦してください」とメッセージを送りました。

イメージ写真 JR横須賀線「逗子」駅から徒歩12分、逗子湾の海と緑に囲まれた恵まれた立地です。ヨット工作室や宿泊室を有した「海洋教育センター」を併設しています

www.zushi-kaisei.ac.jp 別ウィンドウが開きます。

ページトップ このページTopへ