受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

聖学院中学校

2022年7月27日(水)

探究型学習「ICEモデル」やSTEAM教育で「生徒が学びたくなる授業」を実践

 聖学院中学校は、1903年にアメリカの宣教師が設立した神学校を母体とするプロテスタントの男子校です。誰もが神様から授かったかけがえのない賜物(たまもの)を発見し、世界のために貢献していく「Only One for Others」の教育をスクールモットーに掲げています。

 オンライン説明会であいさつに立った広報部長の児浦良裕先生は、冒頭で「Only One for Others」を体現するための教育の三本柱として、「探究型授業」「グローバル教育」「体験学習」を挙げました。まず授業では、すべての教科で「ICEモデル」に基づいた探究型学習を行っています。ICEモデルとは、Ideas(基礎知識)、Connections(つながり)、Extensions(知の応用)という学習段階の頭文字を取って名づけられた学習・評価方法です。単元ごとに「学びのストーリー」を作り、課題の解決に向けた「問い」の投げ掛けから始まります。生徒たちは、1人1台の専用デバイスを使って、基礎的な知識やそれを活用する方法を学び、課題解決策を提案します。児浦先生はICEモデルの事例となる授業動画を紹介し、「2年前の新型コロナによる休校をきっかけに、このような授業がスタートしています。教員が工夫を凝らし、多くの動画を作成したことで、アイデアも広がりました。今ではオリジナル動画が1900本にも上っています。今後、分散登校などがあったとしても、本校はオンラインと対面授業のハイブリッドで、柔軟に対応できるでしょう」と力強く語りました。

 グローバル教育にも力を注いでいます。英語教育では、習熟度別授業を採用。中1では、帰国生・国際生対象の「SSコース」と、小学校以外で英語学習経験のある生徒を対象とした「経験者コース」が設定されていますが、生徒の9割は英語の学習を始めたばかりだそうです。児浦先生は「音やリズムを活用し、発話を促すようなアウトプットを主体とした授業を行っているためか、みんな積極的に話し、飛躍的に英語でのコミュニケーション力が養われています」と説明しました。

 また、海外研修が充実しているのも魅力です。英語圏での研修のほか、アジアではPBL型のプログラムを実施。30年以上の実績を持つ「タイ研修旅行」では、山岳少数民族と交流しながらボランティア活動に取り組み、「カンボジアMoG」では、現地の社会起業家と協働してソーシャルビジネスの支援活動に励んでいます。このような経験をきっかけに、海外大学に目を向ける生徒も増え、アメリカのペンシルベニア大学やワシントン大学をはじめとする世界ランキング上位校にも続々と合格者を輩出しているそうです。

 中2から高2まで年1回、宿泊を伴う体験学習を全員参加で実施しているのも特徴です。その内容はプロジェクトとしての実践を兼ねたもので、たとえば、農村体験学習(中3)では、新潟県糸魚川市の農家の方々と共に、田植えなどを体験するほか、街の魅力を伝えるための取材も敢行。作成したPR冊子を配布するために、印刷費をクラウドファンディングで募るなど、生徒が主体となって活動しています。このほか、高1では地方創生に取り組むソーシャルデザインキャンプを実施するなど、貴重な原体験の場となっています。

 2021年度からは、新たな教育にも取り組んでいます。まず、中学では「情報プログラミング」の授業を通して現代に必要な情報リテラシーを学び、動画作成や“ものづくり”のプログラミングなどのスキルを身につけています。高校では「グローバルイノベーションクラス」を新設。一般教科の単位を取得しながら、論理的思考力を高める「Liberal Arts」、SDGs(持続可能な開発目標)を英語で学ぶ「Immersion」、ものづくり・ことづくりのスキルを学ぶ「STEAM」、ゼミ形式の「Project」といった独自の科目が設けられていることが伝えられました。

イメージ写真 「駒込」駅から徒歩約5分の閑静な住宅街に建つ校舎。3Dプリンターやレーザーカッターなど、ものづくりに必要な設備が整った「ファブラボ」という最先端の施設もあります

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