受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

東京学芸大学附属国際中等教育学校

2022年8月23日(火)

国際バカロレアを推進力とし、グローバル社会で活躍するための素養を身につける

 東京学芸大学附属国際中等教育学校は、2007年に東京学芸大学の附属校で唯一の中高一貫校として誕生しました。開校以来、グローバル社会の担い手となる人材を育成するための教育を実践しています。

 この日のオンライン説明会の冒頭、校長の荻野勉先生は「本校は、多様で異なる人々と共生・共存でき、進展する内外の国際化のなかで活躍する力を持った生徒を育てる学校です」とあいさつし、教育内容について説明しました。

 同校の大きな特徴は、入学時の1年生(中1)の約30%、6年生(高3)の約45%を帰国生と外国籍の生徒が占めていることです。2010年に国際バカロレア(IB)中等教育プログラム(MYP)認定校になったことに始まり、2011年にはユネスコスクール加盟校に、2014年にはスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定校に、2015年にはスーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定校になりました。さらに、国際バカロレア(IB)ディプロマプログラム(DP)認定校にもなるなど、国際色豊かな生徒が在籍する学校ならではの教育活動を展開しています。

 教育の核となるのは、「国際教養」と呼ばれる独自の学校設定科目群です。ここでは、国際理解・人間理解・理数探究の三つの柱を中心に、学校行事、フィールドワーク、海外研修なども含めて6年一貫教育を行います。これらの活動を通して育成したいのは、「現代的な課題を読み解く力を持った生徒」「知識とイメージを自分で再構成する力を持った生徒」「対話を通して人との関係を作り出す力を持った生徒」「異文化への寛容・耐性を持った生徒」です。

 荻野先生は「IBは、多様な文化への理解・尊重、厳格な評価の仕組み、共感できる心の育成などを理念としており、本校がめざす生徒像との親和性が高いのが特徴です。政府や国際機関と協力しながら、チャレンジに満ちた国際教育プログラムと、厳格な評価の仕組みの開発に取り組んでいます」と話しました。IBを支える教育原理には、「探究を基盤とした指導」「効果的なチームワークと協働」「概念理解に重点を置いた指導」「ルーブリック(目標達成度を評価するための表)を取り入れた評価活動」などがあり、それぞれ授業のなかで実践されています。「探究を基盤とした指導」「効果的なチームワークと協働」については、授業ではさまざまな問いを立てながら、グループ学習、ディベート、ディスカッション、プレゼンテーションなどに取り組んできることが紹介されました。答えのない問いに対してチームで「最適解」を見つけるとともに、コミュニケーション能力も養うのです。

 「概念理解に重点を置いた指導」では、授業での学びをどう現代社会の問題解決に役立てるかを考えていきます。たとえば「水俣病」を扱う場合、国語では「文学作品から水俣病被害者の世界に深く潜る」、社会科・地歴公民科では「高度経済成長という時代背景を理解し、国・企業・市民の立場から自分の考えをまとめる」、数学では「疫学的データの分析・評価をする」、理科では「原因物質の作用について、実験を通して理解する」というように教科横断的に学びます。最終的に他の状況にも応用できる、転換可能な学びを実践しているのです。

 「ルーブリックを取り入れた評価活動」では、「何がどれくらいできれば何点になるか、どのような能力が育成されたことになるか」といった学習の到達点を具体的に示して、新学習指導要領がめざす「目標に準拠した評価」を実現しています。最後に荻野先生は「特色ある学習や研究活動を通して、物事を理解する視点が養われ、そのアカデミズムが生徒の自立心を支えています。また、さまざまなバックグラウンドを持つ生徒がお互いに多様性を尊重し合う環境があるのも本校の魅力です。壁にぶつかっても乗り越えられる力がつきます」と結びました。

 2023年度の入学者選抜は、例年どおり2月3日に実施される予定です。

イメージ写真 人工芝を敷いた中庭は、昼休みの生徒たちの語らいの場になっています。2022年度末には校庭の人工芝化が完了する予定です

www.iss.oizumi.u-gakugei.ac.jp/ 別ウィンドウが開きます。

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