受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

愛光中学校

2022年8月30日(火)

「深い知性」と「高い徳性」を兼ね備えた「世界的教養人」の育成をめざす

 1953年、カトリック聖ドミニコ修道会によって創立された愛光中学・高等学校。キャンパスは、愛媛県松山市の自然豊かな場所にあります。男子のミッションスクールとして開校しましたが、2002年に共学化。県内でもトップレベルの進学校として知られています。

 この日、オンラインで開催された説明会では、総務部長の和田誠先生が説明を担当しました。2021年には創立70周年記念事業として新キャンパスが完成し、円形の特徴ある外観の建物を中心とした学舎は、光を取り入れた開放的な雰囲気です。構内には男子寮も併設され、全国各地から中高合わせて約400名の生徒が共同生活を送っています。和田先生は、同校の建学の精神「われらの信条」が目的とする教育について、「世界的教養人の育成」と「愛と光の使途」を挙げ、「世界的教養人」とは「深い知性」と「高い徳性」を兼ね備えた人物であると述べました。

 「深い知性」は、最新のICT技術と、教科書や書籍といった従来の教材を織り交ぜた授業で育みます。中学でiPad、高校でChromebookを全員が購入。Googleの各種アプリや「ロイロノート」を活用し、ICTスキルを伸ばしていきます。一方、アナログツールも大切にしており、たとえば中1の国語では、井上靖の著書『しろばんば』を1年間かけて精読します。登場人物の心情をじっくりと読み取るとともに、地理的背景にも注目し、該当する場所については「Google Earth」を使って調べ学習を行うなど、新旧のツールをハイブリッドに活用した授業を展開しています。また、休校期間中にオンラインで行われた地理の授業で、「Google Map」を使った課題を出したところ、コロナ禍で営業ができない松山市の飲食店を生徒たちが自主的に調べ、「マイマップ」の機能を使って料理の持ち帰りができるお店の地図を作成しました。この取り組みは松山市の飲食店を助け、Googleの日本法人が取材に訪れたそうです。

 「高い徳性」は、キリスト教精神の下で行われる行事や課外活動などを通じて体得します。学園関係者を追悼する「追悼式」や、クリスマスに行う「クリスマス祝会」など、宗教的な行事では厳かに過ごすことを大切にしています。また、CLE(Christian Life Education)と呼ばれる宗教の時間では、週に1度、理事長のホアン・ベルモンテ神父が、聖書を用いて「生命」について深く考える授業を行っています。このほか、ドミニコ修道会のルーツをたどるヨーロッパ研修(希望制)や、台湾の姉妹校との交換留学、卒業生を招いた講演会の開催などを通して、少しずつ徳性を身につけていきます。

 部活動は午後6時までと決められていますが、およそ9割の生徒が参加し、短い時間のなかでも集中して効率的に活動しています。競技かるた部や俳句部は全国大会レベルの成績を収めているそうです。

 同校の特色の一つである寮生活についても説明がありました。寮は男子のみが利用でき、中1・2、中3・高1、高2・3の三つの建物に分かれています。海外を含む全国各地から集まった多様な仲間との集団生活を通して自立心を育み、学習習慣を確立するとともに、一生の友人を得る貴重な経験ができます。居室はコロナ禍以降、すべて個室となりました。集団学習に取り組む部屋には1人1台の机と棚が完備されています。

 進路については、高2で文系・理系に分かれますが、例年、生徒の7割以上が理系を志望し、そのうち半数以上が医学部をめざしているそうです。2022年春の実績(現役・既卒を合わせた総数)は、東大17名、国公立大学医学部医学科47名、国公立大学151名と高い合格実績を誇っています。

イメージ写真 松山空港からタクシーで約10分の場所にある新校舎。寮生の保護者との面談はオンラインも活用しているため、無理に来校する必要はありません

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