受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

東京都立白鷗高等学校附属中学校

2022年8月30日(火)

探究活動で日本の伝統文化を深く学び、次代を担うグローバル人材を育てる

 1888年創立の東京府高等女学校から数えて、今年で創立134年目を迎える都立白鷗高等学校。2005年に附属中学校を開校させ、都立初の中高一貫校となりました。教育理念に「開拓精神」を掲げ、社会でリーダーとして活躍できる、チャレンジ精神あふれる生徒の育成をめざしています。

 この日のオンライン説明会では、校長の宮田明子先生が教育内容について説明しました。2022年度から高校募集を停止し、完全中高一貫校へと移行する同校では、募集定員の増員に伴い、2023年から東校舎の建て替え工事を実施する予定です。宮田先生は「一時的にグラウンドなどが使用できなくなりますが、中高6学年の生徒が同じ敷地に集まることで、6年後の自分の姿をイメージしやすくなるというメリットもあります」と述べました。

 同校では、生徒たちのアイデンティティーの確立と、ダイバーシティ(多様性)の尊重を基盤とし、国際的な「競争」と「協働」の両方ができるグローバルリーダーの育成をめざしています。中高6年間の学びの柱となるのが、「課題探究型学習」「日本の伝統・文化理解教育」「ダイバーシティ教育」の三つです。

 6年間を通じて取り組む「課題探究型学習」では、日本と世界とのかかわりや世界のなかでの日本のあり方について考え、21世紀に取り組むべき課題を自分たちで見出し研究します。中学校段階では様々なグループ活動を行い、この「課題探究型学習」を通して「課題設定力」「資料調査力」「データ分析力」「論理構築力」「文章による表現・伝達力」「プレゼンテーションによる表現・伝達力」の六つのスキルを育てていきます。中1・2では、「伝統」をテーマに、校舎のある浅草・上野地区について、フィールドワークや伝統文化の体験を通して探究活動に取り組むとともに、教科と連携して理解を深めます。中3・高1では、「継承」をテーマに、地域行事への参加などを通してより本格的な地域探究へと発展させていきます。高2・3では、「開拓」をテーマに、生徒の興味・関心に基づいた探究活動をさらに深化させ、論文を作成します。プレゼンテーション能力の向上にも力を入れており、学校独自の設定教科・科目である「HAPiE(Hakuo Academic Program in English/ハッピー)」では、英語でのエッセイ・論文の執筆はもとより、プレゼンテーションを行えるところまで指導していきます。

 「日本の伝統・文化理解教育」では、先に挙げた探究活動を通して、地域の文化資源について理解を深めます。浅草流鏑馬やサンバカーニバル、灯篭流しなど、地域独自の行事について関係者の方々から直接学び、地域の発展について考えます。昨年度はコロナ渦で行事が中止となったため、これらの行事をいかに地域活性化につなげるか提言する取り組みを行いました。また、高2の学校設定科目「日本文化概論」では、全員が日本の生活文化について学び、茶道・華道・書道・囲碁・将棋・日本音楽史の中から2講座を選択します。日本音楽史では琴の演奏も行い、音楽では三味線を全員が演奏します。

 そして、「ダイバーシティ教育」も充実しています。中2・3では、第二外国語を必修教科として設置し、フランス語・ドイツ語・スペイン語・中国語のなかから1言語を全員が選択します。選んだ言語の学習をさらに深めたい生徒は、高1~3で選択科目として履修できます。英語教育については、東京都教育委員会が推進するGlobal Education Network20の指定校になっており、英語4技能のさらなる育成を図っています。その成果は英検®取得率にも表れており、中3時で2級以上が55.1%、準2級以上が89%に達しているとのことです。また、海外研修や留学は、フランスにある姉妹校への短期留学をはじめ、オーストラリア短期留学、アメリカ研修旅行(中3)、シンガポール修学旅行(高2・目的地は今後変更予定)などがあります。

 部活動は、日本の伝統文化を大切にする同校ならではの部が活躍しており、百人一首部、吹奏楽部、和太鼓部などが地区大会や全国大会に進んでいます。

 2023年度入試については、海外帰国・在京外国人生徒枠募集は1月25日、一般枠募集は2月3日に検査が実施される予定です。「10月に東京都から詳細が正式に発表されますので、ホームページ等でご確認ください」とのことです。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

イメージ写真 東校舎の建て替えにあたり、2023年度中に西校舎グラウンドに仮設校舎が完成し、6学年全員が一時的に同じ敷地に集います。新・東校舎建築工事は2027年まで行われる予定です

hakuo.ed.jp/web/ 別ウィンドウが開きます。

ページトップ このページTopへ