受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

自修館中等教育学校

2022年9月9日(金)

少人数制の下、開校以来の探究プログラムとこころの知能指数を高めるEQ教育を展開

 神奈川県の北西部に広がる丹沢山地を望む自修館中等教育学校は、1910年創立の自修学校を前身とする向上高等学校を運営していた向上学園が、1998年に開校させた進学校です。当初は中学校でしたが、2001年から中等教育学校になりました。完全中高一貫教育体制の下、これからの時代に求められる知性と行動力を育んでいます。

 オンライン説明会で、校長の小河亨先生は、「知行合一(ちこうごういつ)」という理念の下で同校の創立者が学校づくりを進めた経緯に触れ、次のように話しました。「知行合一とは、『行動が伴ってこそ真の知といえる』という意味です。また、本校では『自主・自律の精神に富み、自学・自修・実践できる生きる力を育成し、21世紀が求める人間性豊かでグローバルな人材を創出する』ことを教育目標に掲げ、それを実現するために『探究』『EQ(こころの教育)』『少人数』を学びの3本柱としています」

 続いて、入試広報室長の古跡雅宣先生が、その3本柱について詳しく説明しました。まず「探究」は成長に応じた内容で学びます。1・2年生(中1・2)では伊勢原市の行政と連携し、あらかじめ設定されたテーマに沿ってグループで活動します。3・4年生(中3・高1)では人文・自然・数理など12の分野別ゼミに分かれて探究活動を行い、4年生で約1万字の論文を完成させます。5年生(高2)になると生徒がみずからテーマを設定し、基本的に個人で自律的に活動することで思考力・表現力を磨きます。6年生(高3)では選択制となりますが、自主的に課題に取り組み、その成果を大学入試に活用する生徒も多いそうです。古跡先生は「探究は開校以来のプログラムであり、ベテラン教員も大勢います。生徒の興味を引き出す声掛けや、きっかけづくりのタイミングに長年の経験が生かされています」と話します。

 次に「EQ」についてですが、「EQとは、こころを知り、感情をコントロールする能力のことです。自分の感情を最高の状態に整え、必要なときにパフォーマンスを最大限発揮できるようにすることが狙いです」とのことです。具体的には年1回の「EQ診断」で自分の思考や行動の特徴を理解し、感情をコントロールする方法を学んで、コミュニケーション能力を高めていきます。さらにこれらの『探究』『EQ』の授業は、少人数でこそ最大の効果を発揮していることが強調されました。同校は1学年の生徒数が約120名の4クラス編成で、2名の担任を配置してきめ細かく指導しています。古跡先生は「生徒にはたくさんの教員とつながっている、という感覚を持っていると思います」と語りました。

 また、同校は全国的にも珍しい4学期制を採用しており、休暇も初夏・夏・秋・冬・春に分散して設定しています。夏休みは20日間と短くなりますが、長期の休みで生活リズムが乱れたり、前の学期の学習内容を忘れたりすることを防ぐ効果があるそうです。中高で重複する内容を整理して学ぶため、自然な進度で学習しながら大学入試の準備を早くから始められるのも、中等教育学校ならではのメリットだそうです。

 そのほかの新しい取り組みとして、2021年度から定期考査を廃止。「ふだんから学習習慣をつけてほしい」という狙いとともに、テスト前に部活動などを休止することを避ける目的もあるようです。古跡先生からは「部活動や委員会活動も大切な学びの機会だと考えています。定期考査はなくしましたが、単元が終わるごとに単元テスト、表現力活用テストなど、テストは定期的に行われています。成績不振の生徒には個別に指導し、指名制の補習講座も実施します」との話がありました。

 最後に2023年度入試について、変更点が説明されました。C日程が2月3日午後に変更されるのに伴い、試験科目は2科のみとなり、また2月5日のD日程は2科・4科選択に変更されるとのことです。

イメージ写真 小田急線「愛甲石田」駅よりスクールバスで4分。6学年全員が同じ校舎・フロアで学び、先輩と後輩が互いに刺激し合い、高め合っています

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