受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

成蹊中学校

2022年9月9日(金)

本物に触れる探究学習を通して、ゼロから物事を創造できる人材を育む

 「個性の尊重」「品性の陶冶(とうや)」「勤労の実践」を建学の精神に掲げる成蹊学園は、1912年に設立された歴史ある伝統校です。創立者・中村春二がめざした「知育偏重ではなく、人格、学問、心身にバランスの取れた人間教育を実践したい」という理念を受け継ぎ、平和な社会の実現と発展のために誇りを持って貢献できる人材を育成しています。

 この日のオンライン説明会で登壇した校長の仙田直人先生は、「建学の精神を実践するうえで、リベラルアーツを重視した幅広い教育と、『本物に触れる体験』を重視しています」と話しました。その具体例として、実験や実習を取り入れた学びを紹介。天体や気象を観測できる施設を校内に設けているほか、学園の敷地内にある竹林で収穫したタケノコを家庭科の授業で調理したり、新鮮なブタの内臓を使って、本格的な解剖実験を行ったりしていることを伝えました。

 また、生徒の「なぜ?」という疑問を大事にし、探究的な学びに取り組んでいるのも特徴です。「AIが急速に浸透している時代ですが、AIは1の課題を100にできても、ゼロから1を生み出すことはできません。本校では、解答のない社会で、新たな物事を創造する『0(ゼロ) to 1(ワン)』の発想を持つ人材を育むために、探究学習を拡充しています」と語りました。

 同校の探究学習は、疑問を持つことから始まり、調べ、仮説を立てて話し合い、実証実験を行って発表するという一連の流れに沿って行われます。また、ふだんの授業や学内に加え、校外でもプレゼンテーションの場を設けています。2021年には外部から審査員を招いて、高2の夏休みの家庭科の課題で優秀な成果を収めたグループによる発表大会を実施。最優秀賞を獲得した生徒は「医療的ケアが必要な子どもを受け入れられる保育園が足りない」という社会課題について発表し、高校生国際シンポジウム(全国で進められている探究活動、課題研究の発表会および審査会)にも出場しました。ほかにも、こうした活動は盛んで、中3~高2までが英語でプレゼンテーションを行う「Change Maker Awards」をはじめ、生徒たちはさまざまな外部の大会に参加しているそうです。

 2019年には成蹊学園全体がユネスコスクールに認定されました。持続可能な社会の発展に向けて、授業のなかでもSDGsにかかわる取り組みを積極的に推進しています。SDGsについて理解を促進するため、小学校で出前授業などを実施したほか、エストニアで起業したOBの協力の下、「SEIKEI Startup CAMP 2022 in GOTO」と題した三菱みらい育成財団助成のプログラムに参加。長崎県の五島列島を訪れ、島の課題を発見し、解決策を提示するなど、幅広い活動を行っています。また、社会とのつながりを学ぶために、企業と連携したプログラムも展開。製薬会社とのコラボレーションでドリンク剤のパッケージをデザインするなど、多様な企画を設けています。

 1935年に国際学級を設立し、帰国生の受け入れを開始した同校は、国際理解教育にも注力しています。アメリカのセントポールズ校とは70年ほど前から交換留学を続けています。豊富にそろった留学制度に加え、海外渡航が難しくなった現状を踏まえ、オンラインでの交流や留学報告会、エンパワーメントプログラムなども充実させています。2022年度からは、高1・2を対象にしたカナダへのターム留学(3学期の9週間)もスタートすることになりました。

 高校卒業生の約3割は内部推薦で成蹊大学に進学します。残りの約7割は国公立大学、早稲田大学や慶應義塾大学をはじめとする難関私立大学、医歯薬系学部、芸術系学部、海外大学など、多様な進路を選択しています。また、「卒業生の話を聞く会」や大学見学会、海外進学志望者向け指導などを通じて、生徒の主体的な進路選択をバックアップしていることも伝えられました。

イメージ写真 JR・京王井の頭線「吉祥寺」駅から徒歩20分。小学生から大学院生までが集う広大なキャンパスが広がり、豊かな緑に恵まれているのも魅力です

www.seikei.ac.jp/jsh/ 別ウィンドウが開きます。

ページトップ このページTopへ