受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

神奈川学園中学校

2022年9月14日(水)

実体験を重視し、生徒に寄り添う教育で「生きる力」と「判断力」を育む

 1914年に設立された横浜実科女学校を前身とする神奈川学園中学・高等学校は、ミッションスクールが多い神奈川県にあって、数少ない宗教色のない完全中高一貫の女子進学校です。「女子に自ら判断する力を与ふること」「女子に生活の力量を与ふること」を建学の理念に掲げ、生徒一人ひとりの可能性を引き出す人間教育を実践しています。

 この日の説明会であいさつに立った校長の及川正俊先生は、「今年8月、コロナ禍で2年間中断していたオーストラリア海外研修を再開しました。本来は中3で行うプログラムですが、実施できなかった現高1生・高2生の希望者を対象とし、200名を超える生徒が参加しました」と述べました。続けて、こうした海外での体験が学びへのモチベーションにもなることにも触れ、「本校では、安心できる学校生活を土台に、教科学習と豊かな実体験を大切にして、『自立』し『判断力』を持った生徒を育てています」と強調しました。

 次に、広報室長の藤澤里悠太先生が教育の三つの柱として「国際教育」「理数教育」「総合・探究教育」を挙げ、その内容を説明しました。「国際教育」では、中学校の英語の授業に「KG流ラウンドシステム」を導入していることが大きな特徴です。藤澤先生は、「1冊の教科書を、違う方法で1年に4回、繰り返し学習します。このラウンドシステムによって、どの生徒もどんどん発話できるようになっていきます」と、その効果をアピールしました。国際交流や語学プログラムには、中1のTGG(東京グローバルゲートウェイ)研修や中2の国内英語研修があり、今年度は中3全員参加のオーストラリア海外研修も実施する予定とのこと。高校でも校内英語研修のほか、希望制のターム留学やカナダ研修が用意されています。

 その一方、「理数教育」にも力を入れ、4室の理科実験室を活用して中学3年間で100を超える実験・観察を実施。レポート指導もていねいに行い、思考力・表現力・探究力を育てています。中2から習熟度別となる数学は、毎年改編するオリジナルテキストを使用し、無理のない形で先取り学習を展開。藤澤先生は、「数学にも実験を取り入れ、生徒のなかにある“知りたい!”という気持ちを引き出すことにポイントを置いて授業を行っています」と話しました。

 「総合・探究教育」としては、学年ごとにテーマを設けて学びを深める「Kanagawaプロジェクト」が紹介されました。中3の海外研修や、各自の興味・関心に合わせて5か所から行き先を選択する高1の国内フィールドワークもその一つです。高2では、総合学習を「探究」と位置づけ、1年かけて各自が選んだテーマに取り組んでいきます。

 このような教育の成果として、2022年3月の卒業生の4年制大学進学率は93%に上り、理系進学率も39%と大幅に増加しました。国公立大学、早慶上理を含めたGMARCH以上の難関大学への合格実績も順調に伸びています。藤澤先生は、「進路指導では、一人の生徒に対して、多くの教員がさまざまな角度からサポートしています」と力強く語りました。

 続いて、入試広報委員の木立有紀先生から、学校生活についての説明がありました。一人ひとりに寄り添う教育を重視している同校では、中学は「2人担任制」を採用して生徒を多面的に見守り、学習計画や日常生活を書き込んで毎日提出する「Diary」によって、自立した学習の実現をめざします。また、ゲームや共同作業によって「エンカウンター」を行い、友人との関係を深める機会を設けています。「時代に合わせて校則も改正するなど、本校には、生徒が必要だと考えたことを学校全体で検討して変えていく文化があります」と木立先生。球技大会や文化祭などの学校行事も生徒が主体となって作り上げ、毎年開催する図書委員会主催の全校講演会では、生徒自身が講演者の選定・依頼から当日の進行まで行っているそうです。

イメージ写真 文化祭ではクラスごとにテーマを決めた展示発表も行います。今年度は開催日を公演部門と展示部門の二つに分け、外部公開も実現しました

www.kanagawa-kgs.ac.jp/ 別ウィンドウが開きます。

ページトップ このページTopへ