受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

安田学園中学校

2022年9月14日(水)

「学校完結型学習環境」「探究」「人間力」をキーワードに、自学創造の力を培う

 安田財閥の創始者であり、幕末から大正時代にかけて銀行・生命保険会社・不動産会社などを興した実業家・安田善次郎翁が創設した安田学園。「実業界の有用な人物の育成は、社会発展の基礎である」という創設者の信念を実践すべく、1923年に開校した東京保善商業学校を前身としています。実業界やスポーツ界に広く人材を輩出してきた名門校として知られ、近年はさらなる飛躍をめざして中高一貫カリキュラムによる教育改革を推進しています。2014年には男子校から共学校になり、大学進学実績を着実に伸ばしています。

 この日の説明会であいさつに立った校長の稲村隆雄先生は、「グローバル化が進む社会を鑑み、本校では2012年から教育目標に『自学創造』を掲げ、みずから考え学び、創造的学力・人間力を身につけ、グローバル社会に貢献できる人材の育成に取り組んでいます」と述べました。

 その実現に向けて、同校では中高6年間を2年ごとに区切った3ステージ制をとり、成長段階に合わせた指導を実践しています。ステージⅠ(中1・2)では、自学自習の姿勢と規則正しい生活リズムを身につけ、論理的思考力や社会貢献をめざす「人間力」の基礎を培うことを目標としています。さらに客観的な自己評価を習慣づけ、自己肯定感の確立も図っているそうです。稲村先生は「中高6年間で学習はもちろん、学校行事や部活動にも打ち込み、さまざまな挑戦や体験を重ねていくなかで人間関係をじっくりと深め、自己肯定感を高めていってほしいと願っています」と結びました。

 続いて、副校長の志田憲一先生が、教育内容について紹介しました。現在、同校は「先進コース」「総合コース」の2コース制をとっていますが、2023年度以降は最難関国立大学への現役合格をめざす先進コースに一本化します。先取り学習は従来どおり進めていき、中3の1学期までに中学の範囲を学び終えたうえで、2学期から高校の内容に入ります。同校では「学び力伸長システム」として、中1から高2の2学期まで、自学自習の姿勢を身につけるためのさまざまな取り組みを行っています。たとえば、始業前には英語・数学の習熟度チェックテストを実施して、合格点に満たなかった生徒には、放課後に補習を課します。また、定期試験前1週間の「独習ウィーク」には、計画を作成して学習させるとともに、定期試験後には振り返りを行い、各学期末の「独習デー」でも弱点克服に取り組みます。さらに、高2の3学期からは「進学力伸長システム」と称し、放課後進学講座や独習に励む進学合宿などを行い、高3の授業は志望校群別の演習が中心となります。志田先生は「受験対策にも十分な『学校完結型の学習環境』を整えています」と語りました。

 このほか、「疑問・課題→仮説→検証」という思考サイクルに基づき、思考力・表現力・創造力を磨く「探究プログラム」にも注力しています。野外探究(中1・2)、地域研究(中3)ではフィールドワークに取り組み、興味を持って学ぶことの楽しさを経験します。ここで身につけたスキルは、物事を総合的に勘案して解を導く問題が増えている近年の大学入試にも有利となるそうです。

 国際化する社会を見据えて、英語教育も重視しています。ネイティブ教員による英会話の授業を多く取り入れるとともに、オンライン英会話を週1回、35分間実施し、「読む・書く・聴く・話す・発表する」の4技能5領域を効果的に習得していきます。

 こうした取り組みの結果、共学化以降、大学進学実績は年々上昇しています。2022年春には東京大学に3名、一橋大学に3名、早慶上理ICUに108名、GMARCHレベルに210名が合格しており、上位校合格者の大半は中学から入学した一貫生が占めているとのことです。

イメージ写真 2023年の創立100周年を節目に、制服をリニューアル。男子はブレザーに、女子は120通り以上の多彩なコーディネートが可能なスタイルになります

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